野老の里

奥武蔵をメインに日帰りの山歩きを中心としたブログです

奥武蔵へようこそ 平成23年2月6日 新柵山から大平尾根

2011年02月10日 | 奥武蔵へようこそ
(山毛欅山を望む)

節分を過ぎたせいか大分暖かくなってきましたね。花粉症持ちには辛い季節になってきたとも言えますが。さて今回はときがわ町にある新柵山(あらざくやま 490.2)から山毛欅山(ぶなやま 833)まで行き、グリーンラインを経た後、越生飯盛山から大平尾根を下って戸神集落まで歩いてきました。当初の予定では大平尾根から北に下って大築山を経て六万部塚まで行くはずだったんですけどねぇ・・・。まあでも戸神へ下る道はなかなか良いルートでした。

アプローチはときがわ町営バス(イーグルバスに委託)を使うのですが、これが実に不便。始点はJR明覚駅から徒歩で25分位離れたせせらぎバスセンターで、歩き以外に越生駅・小川町駅・武蔵嵐山駅などからバスセンターへバス便があります。休日一番バスの8:05発に乗るべく、朝4時半に起きて出発します。列車に乗り、空がだんだんと白み始めると天気が悪そうなことがわかります。早い出発で天気予報を確認していなかったのですが、携帯電話で確認すると夜は雨の予報が出ていました。出来るだけ早く帰りたいなぁという気持ちがこの後のアクシデントを引き起こしたのでしょうか。

(朝の明覚駅)

予定より早い列車に乗ったこともあって、越生駅7:30発のバスまで50分近く時間が余ります。そこで明覚駅まで乗ってせせらぎバスセンターまで歩くことにします。木造のモダンな駅を降りるとバスターミナルがあり、ここからもせせらぎバスセンターへ行くことができますが、本数は少なめ。駅前から延びる車道を進んで信号のある交差点を渡ります。ここが早くも間違いでバスセンターへは交差点を左折しなければならないところ、そのまま細い車道を進んでしまい、気付いたのは都幾川を渡った辺り。戻ってもよかったのですが、そのまま道なりに歩いて広い県道を南下することにしました。車道からは愛宕山(183)と金比羅山(213.7)の背後に平たい弓立山(426.9)が横たわるのが見えます。しばらく田園地帯を進むと車の行き交う県道に差し掛かります。県道を南下して交差点に差し掛かるとときがわ町第二庁舎。第二庁舎から明覚駅方面へ少し戻るとせせらぎバスセンターです。真新しい木製のデッキと東屋がなかなかお洒落。でもトイレがないんですよね。

(愛宕山・金比羅山・弓立山)

(せせらぎバスセンター)

日の差さない曇り空の下、一時間ほど待って日向根行きのバスに乗り込みます。乗客は私一人だけ。いくら町営バスとはいえ、バス便を維持できるのでしょうか。登山口の馬生(ばしょう)バス停へは15分ほどで到着。全長禅寺登り口と書かれた標柱脇の車道を少し上ると擁壁の切れ目から登山道が延びています。道標はありませんが、ここが新柵山の登山口です。エアリアには道のないバリエーションルートながらも、道ははっきりとしています。小屋の建つ伐採地からは展望が得られますが、夕方の空のような曇天では遠望は利きません。傾斜のきつい所はジグザグに登ります。結構倒木が多く、それを潜らなければなりません。するとその一つに思い切り頭をぶつけました。かなり痛みますが、血は出ていないようです。とりあえず気にせず進むことにします。傾斜が緩むと気持ちの良い植林の道となります。

(新柵山の登山口)

(伐採地からの眺め)

地形図だと広くなった尾根に出た辺りで362のピークへの道を分けます。362のピークへの道も明瞭だったので、北へ尾根伝いに下りられる道があるのではないでしょうか。新柵山の肩へ差し掛かると傾斜の急な登りが待ち受けます。道をジグザグに切っていないので、ジリジリと登っていくほかありません。肩から少し登ると平らな尾根が続く新柵山(490.2)に到着です。三角点があるほかは手製の山頂プレートがあるだけの展望の無い山頂です。三角点の先にもう少し高そうな所もあったので、本当はもう少し標高が高いのかもしれません。

(新柵山)

山頂を辞し、明瞭な道を進みます。482のピークは北から巻けるようですが、上がってみると縦走路方面にピンクテープが付いています。482のピークを下ると道は尾根の南側をトラバースしていきます。尾根に上がってみましたが、奥武蔵にしては珍しく枝打ちしておらず、枝に引っかかれます。止む無く巻き道へ戻ると長岩と書かれた看板が立てられています。かつてこどもたちが滑り台にして遊んだ岩と書かれていましたが、どこにあるのか全くわかりません。更に進むと光岩と書かれた看板もあります。この看板の近くには今日初めての道標もありました。北の八木成へ下れる道があるようです。

(枝打ちされていない尾根)

ぶな峠と書かれたほうへ進むと広い林道へ出てしまいます。林道を進んでいくと現在地がわからなくなってしまいました。林道が途切れた先へそのまま進みますが、藪っぽくて尾根から離れてしまっているようです。コンパスで南へ踏み跡を下っていくと尾根を大きく寸断する林道に突き当たります。一旦林道へ下りて更に南へ下るとぶな峠方面への道標のある分岐に出ました。椚平・西平と書かれた方面も書いてあったので、この辺りが日向根集落の上部に当たるのでしょう。

(尾根を寸断する林道)

ここから先、地形図に書かれた破線は現在林道になっています。尾根の南側を進む林道はダートである以外は舗装路を歩いているのと変わらないキツさです。傾斜の緩んだ所で尾根へ上がってみますが、どうも尾根が林道で寸断されてしまう所もあるようです。途中で面倒になったので667.1の三角点近くまで林道を歩くことにします。667.1三角点峰の近くに南へ下る林道と合流する地点には西平方面と書かれた道標があります。道標の近くに尾根へ上がる踏み跡があるので、尾根へと上がってみます。尾根は西側が雑木林でようやく林道の薄暗さから解放されます。まずは667.1三角点峰へ行ってみると周囲はまたも薄暗い植林の中です。展望のないピークには三角点と割れた山頂プレートが散らばっていました。プレートを組み合わせてみると三角点名の椚平と書かれた上に小さく羽賀山と書かれていました。

(林道から尾根への取り付き)

(羽賀山)

往路を戻ると檜の生えた広い尾根になります。だんだんと傾斜が急になるとすぐ脇を林道が通っているのが見えました。一箇所転げ落ちそうな急な斜面を登りきると周囲は落ち着いた雑木林となります。葉の落ちた明るい770のピーク付近を進むと何か緑の絨毯が見えてきました。尾根を覆う広い笹薮です。流石に藪漕ぎは面倒なので、藪を避けるべく尾根を巻いて行きますが、尾根を外れると結構な急傾斜です。仕方なく藪へ突っ込むと薄っすら踏み跡があり、木の枝に銀テープも括りつけてあります。膝上の笹薮を掻き分けていくと正面に山毛欅山(ぶなやま)が見えてきます。笹が無くなると急傾斜の山毛欅山が立ち塞がります。踏み跡もテープも無くなったので歩き易そうなルートを適当に探して登っていきます。山頂付近は植林帯となっているので檜を利用して少しずつ上がっていくと山毛欅山頂(833)です。道標があるだけで展望や山頂プレートのない地味なピークです。

(広い尾根)

(笹薮の道 左奥が山毛欅山)

綺麗に植林された山毛欅山から歩きやすい道を下るとぶな峠に出ます。ここで初めて中高年のご夫婦ハイカーに会いました。これまで林道を行き交う二輪ライダーにしか会わなかったので、ちょっとほっとしました。ご夫婦から少し離れて昼食を取ることにしました。食事をしながら下山先を考えます。帽子を脱いだところいくらか血が滲んでいたので、これ以上無理はできません。計画書にエスケープとして用意しておいた戸神へのルートを下ることにしました。

(ぶな峠)

ぶな峠からはのんびりとグリーンラインを歩きます。782のピークを見送ると道標があります。尾根に上がると気持ちの良い道が続くのですが、車道に上がる所で廃車が捨てられているんですよね。何とか撤去してもらいたいものなのですが。車道の向かいの尾根も緩やかな雑木林が続きます。周囲が植林となると飯盛山頂(816.4)です。山頂標識が立つものの、展望はなく、電波塔が木の間越しに見えます。

(飯盛山)

山頂から緩やかに下ると飯盛峠です。そのままグリーンラインを進むと電信柱脇から越生飯盛山への踏み跡が延びています。よく見ると山頂方面の踏み跡以外に巻き道もあるようです。思ったより急でない斜面を登ると越生飯盛山の小さな山頂です。展望の無い山頂にはかつて山頂標識があったようですが、プレート部分が持ち攫われていました。

(越生飯盛山への取り付き)

山頂からはこれまた転げ落ちそうな急坂を下ります。手がかりになりそうな木が無いので、ストックを出してゆっくりと下っていきます。自信の無い人は登り口まで戻って巻き道を行くほうが安全です。巻き道に合流すると傾斜の緩やかな幼木帯となります。作業道が交錯するので一番広い道を下っていくと舗装された林道に出ます。この大平尾根は林道を歩かなければならないのが惜しいところなんですよね。林道から尾根に付いた巻き道に上がり、再び尾根を進みます。尾根の北側は雑木林で、踏み跡を進むと大築山の道が分かれます。道標が立っているので大築山方面へ下るのはそれほど難しくないでしょう。

(幼木帯の小道)

(林道が見える)

(大築山分岐)

大築山分岐を見送ると踏み跡は林道へ下るように付いています。そのまま尾根通しに進もうとしましたが、潅木の藪が面倒になり、林道へ下ることしました。林道に出ると「城山ハイキングコース」と書かれた道標が立てられていました。林道を進み、カヤトの小ピークを見送るとヘアピンカーヴとなる所に展望台が出来ています。ここが野末張(のすばり)見晴台です。北側の展望が得られますが、今日は大築山の尾根が薄っすらと見える程度。ベンチがあるのでここで少し休憩を取りました。

(野末張見晴台)

展望台から林道を横切ると更に尾根通しに踏み跡が続きます。ラズベリーの栽培スペースを過ぎると林道と分かれるヘアピンカーヴに出ます。道標はあじさい山だけを指していますが、戸神もこの道を下っていきます。昔ながらの尾根道の脇には広い展望台が出来ており、枝垂桜が植樹されています。展望台からは南側の展望が開け、越上山などが見えるようです。

(展望台)

(展望台からの眺め)

展望台から先はブルドーザーで開かれたような広い道が延びています。あじさい山公園への道標を見送るとブル道は尾根の南側を巻いていきます。このままだと566.5三角点峰を巻いてしまいそうなので、尾根を忠実に辿ります。藪っぽい道を進むと羽賀山(566)と書かれたプレートが括りつけられています。三角点はどこにあるのかわかりませんでした。

(羽賀山)

そのまま更に尾根通しに下るつもりでしたが、岩がちの急な斜面となってきたので、止む無く巻き道へ下ります。道はだんだんと細くなり、傾斜が急になると龍穏寺の分岐に出ます。道標はかなり風化していますが、戸神への踏み跡はこれまで以上に明瞭です。分岐から戸神へ向かう道は奥武蔵でも有数の美しい小道と言って良いでしょう。龍穏寺や高山不動、子ノ権現などの参詣道として使われたこの道は今でも往時の雰囲気を色濃く残しています。傾斜の急な所はジグザグに道が付けられるなど、かなり歩きやすい道です。戸神の集落に近づくと明るい切り開きに出ます。下のほうに舗装路が見えているので、私有地なのかもしれません。やがて民家の裏に出ると登山道もここまで。あとは車道を30分ほどだらだらと下り、川を渡ると麦原入口バス停に到着。バスが来るまではまだ30分以上あったので、越生梅林に寄ってみることにしました。梅林に着いてみたものの、まだ梅はつぼみの状態。満開になるにはあと2週間くらい掛かりそうです。麦原入口で乗る予定だったバスに乗り込んで、越生駅へと向かいました。

(参詣道として使われた小道)

(切り開き)

(戸神集落からの眺め)

(越生梅林 花はまだつぼみ)

(白梅)

(福寿草)

(猫)

全体的には展望の無い地味なルートで歩く人は多くありません。ただアプローチが不便なことを除けば、バラエティに富んだ面白いルートだと思います。日向根から山毛欅山への尾根ルートはバリエーションルートと言ってよいでしょう。それ以外は一般ルート。初心者にもお薦めです。

DATA:
明覚駅6:46~7:16せせらぎバスセンター(ときがわ町営バス13分)8:19馬生~9:03新柵山~9:39日向根分岐
~10:14羽賀山~10:50山毛欅山~10:56ぶな峠~11:19飯盛山~11:22飯盛峠~11:29越生飯盛山~11:51大築山分岐
~12:06野末張見晴台~12:19枝垂桜のある展望台~12:25あじさい山分岐~12:29羽賀山~12:49龍穏寺分岐
~13:14戸神登山口~13:46麦原入口~14:06越生梅林(川越観光バス10分)越生駅

ときがわ町営バス せせらぎバスセンター~馬生 300円

地形図 正丸峠 越生

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