野老の里

奥武蔵をメインに日帰りの山歩きを中心としたブログです

奥武蔵へようこそ 平成26年3月16日 前編 七国峠から岩井堂観音

2014年03月17日 | 奥武蔵へようこそ
(岩井堂の頂上からの眺め)

3月も半ば。寒さも緩み、日も長くなった。どこか山にでも行こうかと調べていたら、奥武蔵の各自治体が登山自粛を呼び掛けていた。例年をはるかに超える大雪であったため、武甲山などのやや高い山では雪崩の危険があるという。だからといってあっさり諦める訳にもいかないので、雪が融けていそうな霞丘陵から美杉台への丘陵地帯を歩いてみることにした。

出発は入間市駅から。東青梅駅行きの西武バスに乗り、金子橋バス停へと向かう。霞丘陵へは東青梅駅から塩船観音を経由するのが一般的だ。だが今日は飯能の美杉台も歩く予定なので、霞丘陵の東半分に当たる七国峠へ登り、成木川沿いの岩井堂観音へ下ることにした。金子橋バス停は入間市と青梅市の境に当たる所にある。霞丘陵は青梅市側にあり、厳密にいえば奥多摩の地域に入る。バス停近くのセブンイレブンで準備を整え、車道を東へ歩き出す。七国峠への登路はいくつかあるようだが、どれがわかりやすいのだろうか。住宅が建ち並ぶ通りを進み、まず目に入ったのは病院の看板。紙の地形図にも病院の脇に破線路が描かれている。だが少々病院に近すぎ、通れるか不明な部分がある。もう少し先まで歩いてみよう。近くの農地からは大岳山が見える。雪が多そうだ。

(青梅市の茶畑)


(梅と大岳山)

しばらく進むと七国山薬王寺との看板が見えてきた。丘陵の上のほうに二つの寺院のマークがあり、そのどちらかなのだろう。「七国山」という山号にも興味を惹かれたので、薬王寺を目指すことにした。路地に入り、住宅街を進むと次第に傾斜が急になる。この車道はどこまで続いているのだろう?そう思い始める頃、大木の向こうに楼門が見えてきた。七国山薬王寺に到着。駐車場からは南西側が少し開け、真っ白な富士山が見えた。今日は気温が上がりそうなので、見られるのは今のうちかもしれない。境内に入るとまず目に入るのは立派な鐘楼門。門を潜ると広くて整備された庭が目を見張る。奥にはツツジが植えられ、初夏の頃は賑わいそうだ。ここは真言宗のお寺なので、弘法大師の像などもある。しかし早朝だとあまりお邪魔する気にもならず、境内を出て、先へ向かう。

(薬王寺の駐車場から富士山)


(楼門)


(ツツジの庭)

車道は砂利道へと変わる。杉檜が植えられ、いくらかは山っぽい雰囲気もある。道は上へと延びているので、これを辿れば良さそうだ。墓地を抜け、林に入ると左手から舗装路が現れる。薬王寺への道のもう少し先から直接登れる車道があったようだ。傾斜が緩んでくると再び砂利道になる。この辺りから雑木林も混じってくるようになる。ベンチがあったので、ザックを下ろして一息入れる。丘の上部はほぼフラットになっていて道も広いので、林を整備するためのクルマが十分入って来られそうだ。225.9の三角点の近くには上田教会と書かれた大きな看板がある。この辺りは立正佼成会が管理しているので、その支部の一つなのだろう。225.9の三角点は林道右手の小山の上にある。人の手が入っていることもあり、周辺も綺麗に整備されている。枝越しには大岳山の山頂部が見える。

(フラットな道 ベンチが置かれている)


(225.9の三角点とプレート)


(三角点峰からの大岳山)

三角点ピークの左手には広場がある。森林整備のための駐車スペースとなっているようだ。また青梅市の設置した案内板と道標がある。これまでにも分岐があったのだが、道標を見たのはこれが初めてだ。必要最小限の道標しか置かない方針なのだろう。更にもう一つ道標があり、そこには現在地について「七国広場」と書かれていた。阿須丘陵と書かれていたので、飯能側で設置したのだろうか?見晴の無い林道を進んでいくと七国峠の手前に弥兵衛松と書かれた碑が足下に置かれた松の木がある。峠を守っていた弥兵衛さんに因んだものだという。まだ小さな松の木を見ていると後ろからなんとクルマがやって来た。ボクを追い抜き、峠手前の待避所で停まる。中からは初老の男性が出てきた。周辺をウロウロとしていたが、何しにやって来たのだろう?

(七国広場の道標)


(弥兵衛松)

弥兵衛松のすぐ先が七国峠だ。ななくにとうげと読むそうだ。七国とは武蔵・駿河・甲斐・信濃・上野・常陸・相模を指すという。飯能側で設置した案内板によると峠付近はかつて見晴らしが良かったそうだ。現在は杉檜に覆われ、見晴らしは全くない。七国峠から少しで次の分岐に出る。右は秋葉大権現、左は上州道となっていて、岩井堂観音へは左に入る。フラットな道の左右には所々分岐があるが、ほとんどは佼成会の作業道となっている。左に尾根道が分かれる所で尾根に上がってみると238のピークであった。手彫りのプレートの存在が有り難い。

(七国峠)


(238のピークにあるプレート)

238のピークを踏み跡に沿って下ると道標のある分岐に出る。岩井堂へは岩蔵温泉方面が正しい。ところがボクは山道と書かれたほうを下ってしまった。最初は尾根道だったが、倒木のある地点を過ぎると右手に急降下する。そこからは踏み跡薄い沢沿いの道となっていた。整備された石積みの護岸などもあり、210.3の三角点の南側にある沢に入り込んだものと思われる。分岐に戻り、岩蔵温泉方面へ進むとすぐに次の道標が現れる。ここでようやく飯能市の岩渕・美杉台の地名が出てきた。岩渕・美杉台方面の道も相変わらず広い。途中左手に広い道が分かれるが、これも佼成会の作業道だ。初めて歩く所なので、結構戸惑う。

(238のピーク近くの分岐 山道を間違って進んでしまった)


(人の手が入った沢)

あまり下る気配の無いまま次の道標が見えてきた。そこには「秋葉神社ヲ径テ 尾根下ニ至ル」とある。地形図を上に見ていくと尾根という地名がある。これは221のピークを経て尾根という地区に下る道であろう。秋葉神社方面に入っていくと飯能市が設置した境界標が埋設されていた。これから歩く道は青梅市と飯能市の境界となっている。境界標が埋まっているということはおそらくこの道で間違いないはずだ。これまでよりも細い道で個人的には青梅側よりも好ましく感じる。そろそろ221のピークが近づく頃、西側が開けた伐採地に差し掛かる。結構大きな建物が見えていて、地形図にある老人ホームと思われる。その背後にある山がゴルフ場のある山だとすると奥に見える山並みは奥多摩辺りに当たるようだ。少し伐採地を下ると武甲山辺りも見える。

(秋葉神社を示す道標)


(伐採地からの眺め)


(手前の山はゴルフ場のあるピーク)


(奥多摩方面)


(大持山や武甲山も見える)

広い道が延びる鞍部から緩やかに登り返すと221のピークに着く。ここからは西と北に下る道と東の秋葉神社への道が延びている。境界標のある辺りは伐採され、明るい春の光が降り注いでいる。展望は得られないものの、気持ちの良い所だ。東に進み、小さな突起に上がると秋葉神社の小屋掛けが建っている。鳥居を潜って下る道は麓の八幡神社へと通じている。往路に戻ると岩渕秋葉山と書かれた小さな道標が立っていた。ここからは秋葉山方面でなく、北へ延びる明瞭な踏み跡を進む。すると朽ちかけた道標があり、しっかりと県道岩井堂と書かれていた。

(221のピーク近くの境界標)


(陽だまりの道)


(秋葉神社 この辺りが221に当たるのだろうか?)


(朽ちた道標)

尾根下への道は実際に歩いてみると地形図の破線路とは異なり、一本東側にある尾根を下って「尾根」と書かれた辺りに下ってくる。破線路はむしろ途中にある尾根上の分岐を左側に入った道だ。この道は更に途中で左に小さな踏み跡がある。踏み跡に入ると小さな社のある小ピークに出る。社は個人の方が一家の繁栄を願って建てたもののようだ。小ピークから先は急な斜面となっていて、下ることはできない。往路を戻る。本線は破線路を下るが、素直に最初の分岐まで戻り、尾根下へと下っていく。下り始めは尾根の東側斜面をトラバース気味に下っていく。広い尾根の上に出る辺りで傾斜も緩くなる。とても歩きやすい。やがてそれほど高さのない崖地の上に出る。崖下は中世の城跡のような平らな地形が広がっている。人の手が入ったような感じもするのだが…。薄い笹薮を抜けると民家の裏手に出る。下り立った車道は県道195号富岡入間線で、目の前には尾根下バス停がある。

(左は破線路・岩井堂向かいの崖地の小ピークへ至る)


(破線路はこんな山道)


(小さな社 個人的なものらしい)


(尾根下へはトラバース気味に下る)


(崖地から平場を見下ろす)


(尾根下バス停 七国峠への入口の目の前にある)

実はこのとき岩井堂の詳しい場所を知らなかったのだが、車道を西に行けば岩井堂バス停があるのはわかっていた。そこでとりあえず車道を西に進む。県道195号からは成木川が遠く、川岸にあるという岩井堂はかなり遠くにあるように感じる。車道の左側がコンクリートで固められた崖地に差し掛かると車道の向かい側に岩井堂観音の看板が見えてきた。交通量の多い道路を駆け足で渡り、入口に着くと上へ下へと石段がある。下への石段はかなり長そうなので、まずは上がってみることにした。石段を上がると鳥居があり、米粒状の岩峰の下に社が設けられていた。岩峰を右から巻くように石段が付けられている。石段を回り込むとテラス状になった岩峰の上部に出られる。頂上に登ると西側の展望が開ける。七国峠はあまり展望が得られなかったので、ここの開放感は格別のものがある。目の前の景色は大半が下畑地区だ。奥に見える遠くの山並みは奥多摩辺りに当たるらしい。ここでようやく昼食のパンを摂ることにした。

(岩井堂観音の入口)


(米粒状の岩峰)


(巻いて頂上へ至る)


(岩場の頂上)




(頂上からの眺め)

開けた岩峰の西側の下にも石段が延びていて、ここから入口にあった下の石段につながっているようだ。石段を下り、転落防止用の柵が取り付けられた急斜面を下っていくと岩井堂のお堂の前に出る。岩井堂観音には不思議な謂れがある。かつて岩峰上に安置されていた観音様がある日、嵐で成木川へ落ちてしまった。その観音像は川を下り、浅草浦で引き上げられ、浅草寺の観音様として祀られることになったという。浅草寺の縁起にも江戸浦で漁撈中に観音様を引き上げた旨があり、それに準えたものなのかもしれない。お堂の裏手には頭の無い仏像が多数安置されており、観光客の姿も無く、やや寂しげな雰囲気を醸し出していた。

(頂上から直接お堂へ下る)


(成木川を見下ろす かなりの崖だ)


(岩井堂)


(頭の無い仏像)


(成木川)


後編に続く。

DATA:
入間市駅(西武バス)金子橋バス停7:47~8:04七国山薬王寺~8:26三角点(225.9)~8:35七国峠~8:48ピーク238~9:15岩渕・美杉台分岐
~9:29秋葉山入口~9:57秋葉神社~10:33尾根下バス停~10:40岩井堂観音

西武バス 入間市駅~金子橋(河辺駅北口・河辺駅北口経由東青梅駅行き)
       飯能駅南口~岩井堂(河辺駅南口・東青梅駅・岩井堂行き)

参考HP 七国山薬王寺 阿須丘陵七国コース

地形図 青梅 飯能

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