野老の里

奥武蔵をメインに日帰りの山歩きを中心としたブログです

奥武蔵へようこそ 平成24年9月1日 かまど山から大高山

2012年09月04日 | 奥武蔵へようこそ
(飯能アルプス稜線から)

二ヶ月ぶりに奥武蔵の山を歩くことにした。ルートは武蔵横手駅から未踏のかまど山を経由して、飯能アルプスとの名もある正丸峠から天覧山への稜線に出る。下山は正丸峠までを予定として、適当な所でエスケープすることにした。下山が大事などと言っている割には如何かとは思うのだが、このルートは何度か通っているので、気の向いたところで下山するのも悪くないと思う。

朝、自転車に乗り、小手指駅を目指す。ここのところ小手指へ出かけることがあり、自宅から意外と近いことが分かった。飯能方面へ出かけるのであれば、池袋線一本のほうが楽なので、今後この駅を使うことが多くなるだろう。電車に乗り、入間駅が近付くと北西方面の展望が大きく開ける。一瞬だが奥武蔵の山並が一望できるので、山好きな人は是非注目してほしい。特に冬場降雪後は奥武蔵とは思えないほどの雄大な眺めに出会うことができるはずだ。東には真っ赤な朝焼けが見える。今日は一日良くない天気のようだ。飯能駅で電車を乗り換えると随分と車体が濡れている。山のほうは朝方雨が降ったのだろう。山へと入っていくとますます天気は悪くなっていく。武蔵横手駅に着くと愛宕山には白く靄が掛かっていた。

駅舎で準備を整えたら、国道を秩父方面に向かって歩き始める。最初の橋のたもとにかまど山を示す道標が立っている。橋を渡り、踏切を越えると道は二手に分かれる。地形図を見ると右がかまど山、左が久須美坂のようだ。右の車道を上がっていくとかまど山・白子栗園を示す道標と時計が立っている。出来れば踏切のところに道標があると分かりやすいのだが。この辺りは民家が立ち並び、地元の小父さんに「早いですね」と声を掛けられる。確かに6時頃から歩き始める人はあまりいないだろう。車道が尽きると暗い植林へと入っていく。振り返ると白子の集落と愛宕山が一望できる。

(左に見えるのが愛宕山)

道標にしたがい右に大きくカーヴを切った後、尾根に乗る。最初こそ傾斜は緩やかだが、山頂へ向かうにつれて急になる。それでも登り始めて15分で三角天と書かれた標識の立つピークに出る。樹林に囲まれ、展望は無い。あったとしても今日の天候ではどうしようもないだろう。それにしても疲労が激しい。水を3リットル積んでいるとはいっても、荷は前回より軽いはずなのだが。三角天から緩やかに登るとかまど山(293.3)の頂上だ。三角点の埋設された山頂は結構広く、丸太のベンチも並ぶ。一先ずベンチに腰を下ろして水を飲む。

(三角天)


(かまど山頂上)

さてエアリアだとここから飯能アルプスの稜線に向かって破線となっている。かまど山頂上の道標を見ると三角天と武蔵横手駅方面のみを指していて、稜線へは何も指し示していない。檜らしき木の側には奥武蔵の破線ルートでお馴染みのプラ製道標が立っている。それを見ると稜線へは山頂標識の向いにある急斜面を下っていくようだ。念のためコンパスを使ってみるとプラ製道標のとおりである。暗い急斜面を下ると直ぐにフラットな尾根となる。ここも地形図のとおりだ。下草が綺麗に刈られた奥武蔵らしい尾根を進む。はっきりとした尾根なので迷う要素は無い。少し傾斜が急になったなと思うと見慣れた飯能アルプスの稜線に出る。カマド山と書かれた木が越し方を指し示すように立っている。かまど山から来るのなら若干迷うかもしれないが、飯能アルプスの稜線からなら実線ルートと言えるだろう。

(暗い斜面を下りていく)


(尾根上の踏み跡は明瞭)


(飯能アルプス稜線に出たところ)

天覧山から正丸峠へと連なる尾根は近年飯能アルプスと呼ばれている。流石に天覧山周辺は除外する向きもあるようだが、巻き道の少ないタフな道はトレラン愛好者に好まれているらしい。3年前に歩いたこの道は結構しんどかった記憶があるのだが、今日はどうだろうか。道はこれまで以上に整備され、下草が煩い所は無い。ただ記憶どおり細かなアップダウンが多い。また踏み跡は明瞭だが、支尾根にも明瞭な踏み跡があり、テープを見落とすと迷いそうだ。一箇所展望の開けた所があり、靄が掛かる様子はまるで水墨画のようだ(一番上の表紙画像を参照のこと)。現在位置は分かりにくいが、手前に送電鉄塔が二つ見える辺り、
正面に見える山は深沢山近くの三角点峰だろうか?

(稜線の道)

稜線にはゴルフ場が間近まで迫り、芝刈り機のエンジン音が鳴り響く。こっちも熊除けの鈴を鳴らしてやろう。やや急な斜面を登りきるとゴルフ場ともお別れ。それとともに雨がポツポツと降ってきた。予想通りだ。風の通らない稜線に雨は好都合だと思ったのも束の間、雨足はどんどん強くなる。送電鉄塔の立つ辺り(338のピーク辺り)でついに本降りとなった。雨具を羽織る暇も無い。あと少し歩けば東峠なので、そこから一旦東吾野駅へ下りることにした。樹林帯は何とか濡れずに済むが、東峠の車道に下り立つと凄まじい土砂降りである。雨具は着けずに折り畳みの傘を差して下ることにした。

(送電鉄塔)


(東峠)

車道はいくらか傾いているせいか、雨が溜まって川のようになっている。深い所だと足を取られる程に流れは速い。幸いにも雷は鳴っていないので、落ち着いて下っていく。途中給水場らしき所に天覚山への登り口がある。こんな陰気な所を登っていくのはあまり良い気分はしない。車道の傾斜が緩んだところでまたも天覚山の登山口を見つける。こちらは明るく開けた雰囲気だ。一旦小雨となり、縦走を続行しようかと思うと再び驟雨となった。諦めて下っていくといよいよ下界の集落が見えてきた。車道が左に大きくカーヴする所に東吾野郷めぐりと書かれた道標がある。ここを通って武蔵横手まで歩こうかとも思ったが、面倒になり、東吾野駅へ素直に向かうことにした。材木屋さんの脇を抜け、踏切を渡ると東吾野駅だ。駅舎にベンチはない。止む無くホームに上がる。靴は裏岩手に続いてまたも浸水してしまった。

(水流は速い)


(東吾野郷めぐりの道標)


(東吾野駅)

ベンチに座って靴下を絞っていると、中高年のご夫婦が山歩きの準備をしている。この雨の中を歩くのだろうか。池袋行きの電車をやり過ごすとご夫婦は傘を差してユガテ方面へと歩いていった。そして今度は西武秩父行きの電車が来た。中高年の女性グループが降りる。雨足も弱まり、太陽も顔を出す。彼女たちも準備を整え、やはりユガテ方面へと向かっていった。まだ時間は9時。これで帰るのは早過ぎる。縦走を続行しよう。SUICAを払い戻してもらって、再び下りて来た道を戻っていく。

(雨上がりの東吾野駅)

今度は車道を上がらずに、直接天覚山への山道に入る。道標にしたがって民家を抜けると緩やかな山道が延びている。奥武蔵らしい植林に囲まれた静かな道だ。緩やかに登っていくと先ほど見かけた開けた登山口に出る。雨が上がり、気持ちの良い稜線が広がる。かつては広い伐採地だったようだが、現在は背の低い幼木が所狭しと植えられている。道は沢コース・尾根コースに分かれている。尾根コースは近年作られた新ルート。だがここは先人に敬意を払って往年の沢コースを歩いてみることにした。

(奥武蔵らしい道 車道を下らずにここを歩いたほうが楽だった)


(登山口 背後の尾根は飯能アルプスの稜線)

歩き始めはクルマの轍が付いた樹林の中を進む。綺麗な道だが、何故か踏み跡は無い。傾斜が急になると抉れた沢らしき地形の左岸を進む。下草が生え、徐々にスパッツと靴を濡らしていく。どうも最近はあまり歩かれていない感じがする。顔を出した太陽に炙られつつ、コンクリート造りの建物の前に出る。これはさっき見た給水場だ。エアリアによると長尾坂配水場というらしい。ということはあの陰気な道を登っていくということか…。

(登り始め クルマの轍が目立つ)


(幼木帯 この辺りかつては開けた伐採地だったようだ)


(長尾坂配水場)

コンクリートで護岸された沢沿いを登っていく。早くも踏み跡は下草で覆い隠されている。夏場とは言え、奥武蔵の一般ルートでこれだけ状態の悪い道を登るのは初めてかもしれない。藪を掻き分けて踏み跡を探していく。水流跡と見紛う感じだが、大抵は踏み跡のようだ。沢沿いを外れると道は急斜面の九十九折となる。いくらか踏み跡ははっきりとするが、その分壁のような急斜面を登っていかなければならない。頭上が明るくなってきてもなかなか尾根に出ることが出来ない。ズボンは雨露のせいか汗のせいか分からないほどにびしょ濡れとなっている。配水場から20分余りで尾根に出たが、奥武蔵の山を歩いているとは思えないほどに疲れてしまった。

(藪に覆われた道)


(急斜面の途中 壊れた道標が立つ)


(尾根に出るところ)

尾根に上がった所は小平地でテントが張れそうな位に広く、尾根コースが合流してきている。直ぐ側には両峯神社跡があるが、現在は石碑のみが建つだけである。背後にある大きな岩を回り込むように登っていくと天覚山(445.5)頂上だ。疎林に囲まれた山頂でそれなりに展望は得られる。いやむしろ飯能アルプスのピークの中では展望が良い方だと言うべきか。西武ドームの銀色の屋根を眺めながら、涼やかな風が吹き抜ける山頂のベンチで少し休憩を取る。

(両峯神社跡)


(大きな岩)


(天覚山頂上)


(西武ドームが見える)


(奥多摩方面のパノラマ)

天覚山から大高山へはこれまで以上に顕著なアップダウンを越えていく必要がある。天覚山から下りると直ぐに踏み跡は右に折れる。ここで中高年の男性に会う。山中で人に会うのはこれが初めてだ。その後も大高山へ向かっては幾人かの登山者と擦れ違う。以前よりもこのルートを歩く人は増えてきた印象だ。道が分かりにくいところにはプラ製道標かテープ類が付けてある。支尾根が多いので、一応確認しておいたほうが良いだろう。標高点のある前高山(392)までは檜の植林が続く。途中大高山の見える所があり、三角形に突き出した壁のように大きい。大高山は遠くから見ると台形に見えることが多いのだが、縦走路上からは三角形に見えることが多い。雨降り後では休憩に適した所がないので、境界標のある前高山で休憩を取る。

(縦走路を行く)


(大高山)


(前高山頂上)

前高山を過ぎると檜のほか、落葉樹が混在する雑木林となる。この雑木林は大高山頂上まで続く。支尾根が多く、ますます分かりにくいが、時折見える大高山に向かって歩いていけば、間違いは無い。大高山に近付くにつれて傾斜は急になる。なかなか山頂は近付いてこない。一月ぶりの山歩きというのも大きく影響しているのだろう。大高山の肩に当たる急坂を登りきると山頂へ向かって緩やかな道が延びる。チラリと山頂に埋設された石造りの標識が見えてきた。ようやく大高山(493)に到着。期待したベンチは無かった。こんなに殺風景な所だったかなぁ…。標識脇の大木に腰を下ろし、暫し休憩。風が心地良い。

(大高山の肩を目指し登る)


(奥が山頂)


(大高山頂上)


(南側が少し開ける ノボットから竹寺への尾根辺りだろうか)

朝小手指の西友で買ったパンケーキを食べていると前坂から若い男性二人組がやって来た。これから先はもうきつい所はないだろうなどと話している。う~ん、むしろきついのはこれからなんだけれどなぁ…。彼らが休憩を取るのと入れ替わるように出発する。下山先は前坂から吾野駅に決めた。駅に下りればちょうど正午頃だろう。今日はこれ以上無理をする必要は無い。まずは山頂直下の急坂を慎重に下る。ここさえ下りきれば、前坂までは緩やかな道が続く。ボクはこの大高山から前坂までの緩やかなアップダウンが一番好きだ。一旦車道に下り立つ手前で待望のベンチがある。休憩を取ったばかりだがここでも少し休む。

(緩やかな道が続く)

林道を横切り、やや急な取り付きを終わったところでまたしても雨が降り始めた。空は暗くなり、雷も鳴っている。あまり良い状況とは言えない。小ピークを全て巻いたところで前坂に出る。前坂周辺はボク好みなのだが、今日はあまりのんびりとしていられない。尾根の南を巻きながら緩やかに下る。吾野駅から前坂までの道はこの周辺では一番歩きやすい道だと思う。419のピークとの鞍部に出来た自然の切り通しを通る。まだしばらくは緩やかな道。近くにりゅうがい山なる中世の城跡があるため、下りに取るとやや道が交錯する所がある。枝越しに吾野駅のホームが見え始めると急斜面の九十九折だ。ただここは登りでも下りでも歩きやすい。左手に墓地が見えてくれば、墓地管理事務所脇に出る。ここまで来れば危ない所は無い。墓地の駐車場脇を通り過ぎようとすると吾野湧水なる看板が目に入る。はて、前坂には二年前にも歩いているが、こんなものはあったかな?一応水質に問題は無いということなので、サーモスに入れて飲んでみる。癖の無い水だ。腕や顔を洗っていると雨も少し小降りとなった。今のうちに駅まで行ってしまおう。低いトンネルを潜り、吾野駅に着く。駅舎にもベンチはあるが、ホームで休みたい。ベンチで靴下を絞る。朝と同じ位に濡れていた。ズボンもびしょ濡れなので、一本電車を見送って飯能行きに乗り込む。電車には数人の登山者が居たが、皆かなり濡れてしまっていたようだ。少しでも服を乾かせたボクはまだ良い方なのだろう。飯能で乗り換えた池袋行きの電車は少し混み合ったが、服の乾いたボクは席を確保できた。席で居眠りをしながら小手指へと向かった。

(前坂)


(最初緩やかな下り)


(419のピークとの鞍部 自然の切り通しになっている)


(吾野駅のホームが見える)


(吾野湧水)


(吾野駅 まだ天気は悪い)

DATA:
武蔵横手駅5:57~6:25三角天~6:28かまど山~6:49飯能アルプス稜線~7:19送電鉄塔~7:29東峠~8:11東吾野駅9:06~
9:18天覚山沢・尾根コース分岐~9:26長尾坂配水場~9:54天覚山~10:46前高山~11:13大高山~11:59前坂~12:33吾野駅

吾野湧水は水質検査上問題は無いとのこと。だた管理はしていないので、飲まれる方は自己責任でお願いします。

歩数 24,676歩(大深山荘から大白森山荘よりも歩いたのか…疲れる訳だ)

地形図 飯能 原市場 

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