小説家の西村賢太が死んだ。
彼の芥川賞受賞以前の小説は、文庫ででるたびに買って読んでいた。
彼の受賞以前の小説は、まるで自分事のように思えながら読んだ。
むろん、自分はちんまりした世界で生きているのだが。
日本のドストエフスキーみたいなところがあって、きれいごとで小説家している人々の言葉に毒されることもなく、なんか真意をついていた。
ぬかるみに足をとられないように歩く普通の作家とちがって、下層民衆の上昇できない自分をマグマのように噴出させている姿は、私にもぬかるみに足をとられても行け、といっているようだ。