第1章空中線と電波伝搬
(2)電流って、何?
前回は、そもそも「”電気”とは、何か」と言う重要
なお話をしました。
電気とは、原子から離れた”電子”がマイナスの電気
の性質を示す事と電子の数が陽子の数より少ない原
子は、プラスの電気の性質を示す。これが電気の正
体でした。
今回は、”電流”とは、何かを考えてみます。
今のところ、皆様は、”電流とは 何か?” と言う疑
問は、 持たれていないと思いますが アンテナを理
解する上で重要ですので、 今回お話を致します。
[電流とは?]
自由電子が動く状態を電流と言います。
※ここが一番大切です。
注意
電流とは、”電子が動く事”とは、電気を学ぶ
学校でも強調して言ってくれませんが学生は
、普段の授業から感じ取っています。
皆様は、現在、電気の知識は、 殆ど無いので逆に雑
念が無くて説明する側には、都合が良いのですが、
電流とは、例えて言いますと、校庭にいる 複数の学
生が何をするでもなく、てんでんばらばらに それぞ
れの場所に立っているとします。
学生は、自由電子です。 その学生の内、1 人でも複
数人でも移動すれば、これが電流です。
図-2を例にしますと通常、電気の回路は 電池や豆電
球の様に部品が導線で繋がっていて電子は 電池の”-
” から豆電球を通って電池の ”+”へ戻り、再び、電池
の”-”から豆電球へと移動します。
ここで、疑問に思っった方がいらっしゃると思います
が、皆様の知っている電流の向きと電子の移動方向が
逆です。そうです。電子の移動は、実在しますが、電
流とは、人間が「電子の移動」を勝手に電流と呼んで
いるだけの事でその向きも、これ又、勝手に電子の移
動方向の逆として決めただけなのです。
さて、この時、電池と電球を繋ぐ導線が切れてしまい
ますと電流が流れません。当たり前ですネ。
私達は、こう言う話を聞きますと電流は、電源(上の
図では、電池)と負荷(電力を消費するもの。上の図
では、豆電球。) を グルグル回るものだと思ってしま
います。
ちなみに、電源と電気部品や電子部品を導線で繋いだ
ものを回路と呼びます。
皆様は、きっと”電気回路”とか ”電子回路”と言う言葉
を耳にされた事があると思います。
電気回路を勉強するときは、電流は、回路の中を周る
ものと解釈した方が分かり易いのですが、アンテナを
理解する為には、電流の本質に戻って、電子が動く事
と考えないと理解出来ないのです。
[回路内をグルグル周らない電流]
図-3
図-3 は、アンテンの原理をお話しをする時に お見せ
します図です。
丸に波状のマークは、交流の電源のマークです。
交流とは、時間と共にその大きさ(電圧)や量(電流)が
変化し、その向きも時間と共に変化します。その様子
は、Y = SIN X のグラフと同じです。
逆に時間に関係なく電圧と電流の方向が変わらないも
のを直流と言い、その代表格が、電池です。
皆様のご自宅のコンセントに来ている電気は、交流で
す。
それでは、図-3 をご覧下さい。(A)は、交流電源に太
い線で示しました導線とギザギザで示す抵抗が繋がれ
ていますので、回路の中を電流が流れる事がお分かり
になると思います。(B) と (C) の細線は、電流分布を
表しています。電流分布とは、場所による電流の量の
変化の多さを高さで表した細い線です。ちなみに直流
電源をつないだ場合は、どこでも電流の量が同じです
。
一番低い所は、時間がどんなにたっても電流の量は、
”0” です。つまり、電子の移動がない場所です。分布
の一番高い所は、電源の所で一番電流の変化が大きい
事を示します。つまり、電子の移動数が一番多くなる
所です。駅でもホームに繋がる階段の所が一番移動す
る人が多く、ホームの端では、移動する人が”0”です。
変化とは、電流の”増減”と”流れる向き”です。
皆様、ここまでのお話で (A)は、理解できても、 (B)
と(C)は、電子がグルグル回る回路の途中が途切れて
いるとお思いの事だと思います。
ここで、 電流と言いましたが、電流とは、 電子が移
動する事(少しでも動く事)で図-2の様に回路をグル
グル廻らなくても 電子が動けば電流ですと言う事を
先にお話しました。
(C) 図は、(A) 図の様に 繋がっていませんので 電子
がグルグル周る事は、ありません。
しかし、電流は、右へ流れたり 左へと流れたりを繰
り返します。
その電流の量は 所により違いが有ります。
[電子が動くだけで電流と言われる訳]
神社へ続く参道の夜店に全ての参拝客が足を止めてい
れば、人の流れは、有りませんので参拝客を電子とし
ますと、電子は、ありますが電流は、”0”です。
参拝客と言う電子が各夜店で夜店の商品に目を奪われ
て拘束されている状態です。各夜店の客は、一時的に
それぞれの夜店に所属している状態です。馴染みの店
の常連客の様なものです。ただし、客は、どの店へも
行って足を止める事が出来ます。つまり、客(電子)
は、どの店(原子)にも所属しないのです。
客(電子)が動かない状態は、回路に電源が繋がれて
いない状態です。
もう一つ電子に例えられる参拝客の移動が無い状態が
あります。それは、神社の端の行き止まりの所です。
行き止まりの近く迄行く人は、少なく、ましてやまさ
に行き止まりの暗い神社の奥の地点では、人の動きは
、”0”です。
参道で移動する人は、その先に何か関心を示すものが
あるから移動するのでしょう。この神社で人の動きが
起こるのは、DJポリスの指示によります。
「DJポリスが進んで下さい。」と言いますと、参拝客
は、一斉に先へ進みます。
「DJポリスが戻って下さい・」と言いますと、神社の
出口方向へ参拝客が一斉に動きます。
参道の所により、動いている参拝客の数は、違ったり
します。
先に言いましたが、行き止まりの所では、参拝客の流
れは、”0” ですし参道と一 般道が接続する箇所では 、
各夜店へ向かう人と戻って来る人が居ますので、人の
動きが一番多くなります。
(B)と(C)では、アンテナと電源のつなぎ目がこれにあ
たります。
ちなみに、DJポリスの役割をするのが電源です。
(B)と(C)で電子の動きがあるのは、交流電源のせいで
す。電源が”+”になれば、電子を引きつけます。 また
、電源が”-”になれば、電子を追いやります。
つまり (A)の様に回路が繋がっていなくても電子の移
動が起こると言う事です。
電源に近い所程、多くの電子が動き、電源から遠い所
程、動く電子の数が少ないと言う事です。
電源付近の電子の移動量が一番多い事は、少し違いま
すが河の流れに例えられます。河は、源流から河口に
至る間に支流からの水が集まり、河口付近の水量が一
番多くなります。各支流には、それぞれ源流がある事
を考えておかなければなりません。
また、潮の満ち引きで逆流もありますが、逆流が源流
に迄及ばない所が回路の中の電子とは、違います。
しかし、川の河口の水の移動量が一番多い事に間違い
ありません。
電流の量も所により違ったりします。電子が 動く事を
"電流”と呼ぶ事に決めていますが、”電流” と呼ぶより
”電動” と呼ぶ方が正しいかも知れません。”電流”を皆
様が得意な英語で言いますと”current"ですので 現在
の動向を意味します。
電子の移動する様子を"電流"と呼ぶなら参道や 商店街
を行き交う人の流れを ”人流” と呼んでも良い訳です。
(コロナの初期に ”人流”と言う言葉が使われましたが
、本講座では、 コロナ以前から使用しています。)
ここまで、皆様にとって 二つの衝撃的な事をお話し致
しました。一つ目は、電流の流れる向きと 電子の移動
方向は、逆。
二つ目は、電源と負荷、 そしてそれらを繋ぐ導線が繋
がっていなくても 電源が 交流なら電流が流れると言
う事です。
それでは、もう一つ衝撃的なお話しを致します。
[電流の伝搬速度]
遠くの発電所から自宅まで電気が流れてくるとは、発
電所で原子から離れた1つの電子が家庭迄来ると言う
訳では、ないと言う事です。
例えて言いますと、発電所から家庭迄 電車が何百台(
輌) と繋がって止まっているとします。通常、電車は、
1 両から十数輛繋がっていて電車が動く事で皆様は移
動する事が出来ますが、この電車は、出発地から目的
地迄繋がっていますので、電車は、動きませんから中
の人が出発地の車両から目的地迄繋がる車両の中を歩
き目的地をめざします。
各車両には、お客さんが乗っています。 お客さんは、
電子です。
発電するとは、発電所側の車輛に居る人から家の近く
の車両に居る全ての人に動く様に指示をする事です。
発電所から家迄続く電車の中の一人一人の動く範囲は
、時間当たり極僅かですが、一瞬にして、家の近くの
車輛に居る人までが動きだします。
全ての人の顔が同じ様なので、発電所の近くの車輛に
居た人が一瞬にして家の近くの車輛迄走って来た様に
思えますが “動く” と言う行動が一瞬で伝搬してきた
に過ぎないのです。
電気の流れるスピードは、光の速さに近いのですが、
これは、発電所側の電子から皆様のご家庭のコンセン
トの近く迄の電子全てに動けと言う指示が光の速度で
伝わったと言う事なのです。
目に見えない小さな電子が動く速度は、カタツムリ程
です。
[電流の量]
沢山の電流が流れるとは、ある場所を 考えたときにそ
こを1秒当たりに通過する電子の数が 多い事を言いま
す。マラソンに例えますと、最初の数[km]の地点では
、各選手の通過時刻に差があまり有りませんので 単位
時間当たりの選手の 通過数が多く、20 [km]過ぎると
先頭集団と 第2集団の差が大きくなります。更に30[k
m]の地点での単位時間当たりの通過数は、更に少なく
なります。
それでは、前回と今回のおさらいです。
自由になった自由電子は、”-”の電気の性質を示す。
電子の数が不足した原子は、”+” の電気の性質を示す
。
これが電気です。
自由電子が動いている所。そこには 電流が流れている
といいます。電子が少しでも動けば、電流です。
以上の事を理解する事は、 電気を深く理解した事にな
ります。
今回のお話を読まれた方は、 普通の文系では、なくな
りました。
私の様な理系の世界に一歩足を 踏み込んだ事になりま
す。
それでは、次回は、 いよいよ「電波って何?」と 言う
お話を致します。
「航空無線通信士受験塾」からの
お知らせ
当講座は、会員制です。
記事の全文 読んで頂く事を始め、 質問をして頂いた
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