ときの備忘録

美貌録、としたいところだがあまりに顰蹙をかいそうなので、物忘れがひどくなってきた現状にあわせてこのタイトル。

値段のつけられないもの

2009-05-02 | 砂時計
私は、ある意味奇跡的に軽傷で済んだ。
その大きな要素に、しっかりとした布で作られたコートに包まれていたことがあると確信する。
以前、ネットのお友だちがプレゼントしてくれたコートである。
大御所C&Sさんのチノクロスを使って、しっかり仕立てられたコート。
バイクとぶつかって転んで、アスファルトに倒れ込んだ激しい衝撃にも耐え、私の身体を守ってくれた。
ジーンズのサイズが2サイズくらい変わるほど、身体を打ち付けて腫れているのに、コートは破れてもいない。
腕も、擦り傷一つなかった。

中学だったか高校だったかの家庭科の授業で
「被服」という単元を学習したとき、被服の目的は
身体を清潔に保ち、外からの刺激や衝撃を避けるためのもの、と習った記憶が蘇る。
まさに、今回の事故でそれを証明した形となった。
はいていたパンツは、自分で縫ったクルールさんのコットンストレッチパンツ。
こちらも、汚れはしたがかぎ裂きひとつなかった。
しっかり足を守ってくれていた。
すごい・・・。これが布の質というものなのか・・

街に一歩出れば、安くて流行を取り入れた洋服があふれている。
食品と同じで、外国で縫製された洋服は驚くほど安い。
自分で生地をネットで買って、縫うなんて手間なことをするよりもはるかにお手軽で、それなりにお洒落に見える。
でも。

保険屋さんが事故の補償をしてくれるということでやってきた。
壊れた自転車のほか、洋服はどうですか?
と尋ねられた。
どこで買った、いくらくらいのものか、どれほどの破損具合なのか、などと。
どれも、ハンドメイドである。
いくら、と問われても値段のつけられるものではない。
自分で縫ったものなら、タダ同然と評価されても文句のつけようはない。
しかし。
私のことを思って、生地を選び裁断し、縫製して贈ってくれた友人の気持ちに値段などつけられようはずはない。
クリーニングにだしてもとれない汚れは残ってしまったけれど、破れることもなく私の身体を守ってくれたこのコートに値段はつけられない。
たぶん、一生捨てることはない。
値段のつけられないものってまさにこんな物のことを言うのかも知れない。

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4 コメント

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Unknown (ようこ)
2009-05-03 21:43:28
CITROENさん こんばんは☆

あぁ・・・。なんだか胸に迫るような それでいてあたたかいものが流れてきます。
値段の付けられないものに出会い守られたCITROENさん 
そんなことがあったんですね。
本当に無事でよかったです(涙)
Unknown (ぐれーぷふるーつ)
2009-05-03 23:43:40
こんばんわ~
お怪我の具合はいかがでしょうか?痛みは大丈夫ですか?
 
ちょっと前にCMで○○の○○→プライスレスって言ってたのを見た時は ふ~んってしか思っていませんでした。

今回のCITROENさんのお話はとっても共感できます!!(って何だか上手く表現できないのですけど・・・)
あぁ、何だか私も昔からの友達に会いたくなってきました。
ようこさん (CITROEN)
2009-05-04 20:39:15
そうなんですよ。
値段なんてつけられないですよね。
「気持ち」には。
保険屋さんも、苦笑い状態でした。
気持ちはわかるけど、こればかりは値段のつけようがありませんな、って感じで。
私は「愛」に守られたのかなぁ、って気がしました。
ぐれーぷふるーつさん (CITROEN)
2009-05-04 20:45:55
ありがとうございます。
腰の打撲が結構ひどいみたいで、寝返りをうつたびに痛さで目が覚めます。
なので安静にする、といっても寝ている方が痛いのです。
やっぱり相当な衝撃だったってことですね。
なのに、本当にコートはこすれて薄くもなっていないのです。
普段、自分で服を縫うのってコスト的に見てどうなの?と思わなくもなかったのですが、今回のことで、質の良い布を良心的な価格で手に入れ、丁寧に縫うことでコストパフォーマンスの高いものになるってことを学習しました。

そして、私もコートをくださった友人に会いに行きたくなりました

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