6月19日、7月3日の両日、
ライティング・ワークショップ――「5年後に自分の本を出したい!」の巻
をやった。参加者は5名。こんな感じのワークをやりました。「だいたいの流れはつかめた。よし、やるぞ!」なのか、「こんなに大変なのか。やっぱり無理だ。やめておこう」なのか、それは参加者が決めること・・・。
<企画概要>
自分のこれまでの経験、その経験を通じて身につけたスキルやノウハウ、自分の想いやメッセージを本にして出版したいと考える人が増えています。自分の著書を出すことは、社会に向けて<自分>を表現すること――それだけでなく新たなビジネスチャンスを広げることにもつながります。しかし、そうはいうものの、「何をテーマに書けばいいのか?」「どうやって書いたらいいのか?」「どうやって出版社に売り込んだらいいのか?」というあたりが分からなくて、なかなか「最初の一歩」が踏み出せない人が少なくありません。そういう人に向けて、文章を書く前の準備の仕方、文章の書き方、本の書き進め方、出版社に採用される企画書の書き方などを伝授します。
<対象とする受講者>
*3年後、5年後、10年後に自分の本<ビジネス書や実用書、ノンフィクション。小説は除く>を出せたらいいなあ~、出したいなあ~と思っている人。
*実際にラフの出版企画書を書いてみる気持ちのある人(企画書の書き方は1日目に教えます)
<一言>
私たちは日々言葉を使ってゲームをしています。すなわち言葉を使って協力したり、競い合ったりして仕事をしているのです。言語ゲームの基本は「情報収集→情報整理→情報発信」の流れです。それぞれについて、どれだけきっちりとできるかで言語ゲームの勝負は決まります。今回の講座は単に単行本の作り方を学ぶ講座というよりも、単行本の作り方という切り口で「情報収集→情報整理→情報発信」について学ぶ講座と言えるかもしれません。文章を読む、文章を書くという作業は仕事の基本です。日々の仕事にも役立つ情報が得られるはずです。
<内容>
★1日目★
●イントロダクション―全体のイメージをつくる
*単行本の型 200頁 1頁=600字(400字×1.5枚)
A 100アイテムのコラム B 5W1H C 15人を取材するノンフィクション D 物語
*本を書くときの流れ(情報収集 → 整理 → 類書調べ → 企画書 → 取材 → 書く → 企画書 → 売り込み → 取材 → 書く)
*経験談から学ぶ(『事業はメッセージ』から『続・働く理由』まで――単行本の型、売り込み方、編集者とのやりとり)
●講義1 企画書の書き方と売り込み方
*本に関わっている人(著者、出版社、、取り次ぎ、書店)と利益配分
*自費出版と企画出版と商業出版の違い
*企画書の書き方(タイトル、サブタイトル、キャッチコピー、目次、プロフィール・・)
*企画の売り込み方法とそのコツ
*必要な能力(情報収集力、整理力、企画力、売り込む力、取材力、文章力、宣伝力、営業力)
*通る企画と通らない企画
時代の半歩先を読む
実用性があること
読者対象が明確になっていること
どこからでも読めること
柳の下にドジョウはいる
*タイトルの付け方
●質疑応答
●ワーク その1(文章を書く上での阻害要因や問題点を挙げてみて整理する)
●講義2 書く前の準備 その1
1 情報収集と情報整理
2 読書と読書メモの作り方
3 取材
・アポイント
・聴く力
・質問する力(=フレームワーク力を持っていること)
理想と現実、論理と感情、ハードとソフト、ヒト・モノ・カネ、過去・現在・未来、興味・能力・価値観、ILL・CAN・MUST、強み・弱み・機会・脅威、5W1H・・・・・
●質疑応答
●読むことや書くことに関する名言の紹介
★2日目★
●講義3 よい文章の書き方
1 よい文章の書き方
むずしいことをやさしく、やさしいことをふかく、ふかいことをおもしろく(井上ひさし)
よい文章 = 深い、広い、分かりやすい、面白い
悪い文章 = 浅い、狭い、分かりにくい、つまんない
A 分かりやすい文章 → 論理的な文章
*論理的な文章を書くコツ その1(文章と文章の接続関係――付加(順接)、転換、補足、理由、例示、帰結、補足――を意識する)
*論理的な文章を書くコツ その2(基本的な文章の型――基本型Ⅰ(主張)、基本型Ⅱ(説明)、基本型Ⅲ(例示と比較)、応用型Ⅰ(譲歩付の主張)、応用型Ⅱ(条件付の主張)――を理解する)
B 深い文章
・分ける
・パラドックス
・そもそも
C 面白い文章
D 広い文章 → 多角的な文章&相対的な文章&独善的でない文章
2 書く前の準備 その2
KJ法を使って設計図を引く
3 文章のチェックポイント
材料+設計+表現
誤字脱字
主語と述語の対応+文章の長さ
改行の程度+漢字とひらがな
日本語のリズム
文末は単調でないか
言葉の順序
同じ言葉が何回も出てこないか
紋切り型の表現はないか
専門用語をそのまま使っていないか
外来語は日本語で表現できないか
主題は明確か
流れは適切か
分かりやすいか
面白いか
書き出しの工夫
結びの工夫
4 一冊の本の書き進め方
アウトラインプロセッサーを活用する
●質疑応答
●お薦めの文章読本の紹介
●ワーク その2(あらかじめ各自が書いてきた企画書についての批評や講評)
●質疑応答
★1日目の講義(6月19日)までの宿題
<宿題1>
自分が書きたい本、自分が書けそうな本を漠然とイメージしてください(漠然とでかまいません。ひとつでも二つでも三つでもOK)。
その上で、大きな本屋や図書館をまわり、類書(内容や体裁の面で自分の書きたい本と似ている書物)を探してください。メジャーな本――マイナーな本、新しい本――古い本など、文章中心の本――図や写真が中心の本・・・など、偏ることなくできるだけたくさんの本を手に取ってみてください。この過程では、思考を拡散すること(思考を収束するのではなく)が大事です。
次にその中から何冊かの本を読んでみましょう。この時点で精読する必要はありません。目次をじっくりと眺め、「はじめに」と「おわりに」を読んでみる。本文は斜め読みでもかまいません。
<宿題2>
ワークでの下準備として、文章を書く上での阻害要因や問題点、分からないこと、迷ってしまうことなどを思い出してメモしてきてください。簡単なメモでかまいません。ワークではそれをポストイットに書き出してもらいます。
★2日目の講義(7月3日)までの宿題
フォーマットに従って簡単な企画書(A4 1枚-2枚程度)をざっくりと書いてきてもらいます。企画書の書き方やフォーマットについては1日目の講義で説明します。
――――――――――――――――――――