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フロリダ半島日記―映像とイメージに踊る大統領討論会

2012-10-05 09:04:53 | 日記
昨夜は全米6700万人もの人々が大統領選挙のテレビ討論会の釘付けとなりました。このテレビ討論会はコロラド州で行われました。
フロリダ州とは時差が2時間ほどあります。夜7時に始まった討論会ですが、ここのテレビは夜9時に始まりました。私の友人、家族、親族は大統領候補者への支持、不支持も様々で、皆一筋縄では行かない論客が多いのです。アメリカの特徴でしょう。まるで、アメリカン、フットボールの優勝戦の“スーパーボール”を観戦するという雰囲気です。共和党のロムニー氏はアメリカ史上初のモルモン教出身ということで、共和党内でも最初は賛否両論の渦がまいていました。しかし今は“政治的手腕は未知数だけども、成功した実業家、ビジネスマンとしての経歴がある”というイメージが定着したようです。私の知人たちの中では、大きな企業に勤めている人などはロムニー支持者が多いようです。ただ、ロムニー氏は相棒の共和党副大統領候補のポール。ライアン氏と共に失言が多いようで、それが今回の揚げ足を取られる結果となっています。本来、“激戦州”フロリダ州やオハイオ州は歴史的に共和党が強いところなのですが、オバマ氏が優位に立っています。
米調査機関によると全米においても現在、オバマ優位といわれます。このテレビ討論会はロムニー氏の最後のチャンスであるといわれていたのです。テレビ討論会は昨夜が第一回目で経済、雇用などロムニー氏の得意分野でした。この結果はロムニー氏に軍配があがったようです。次はタウンミーティング形式で質問と答弁方式なのでオバマ氏が好んでいる討論会です。最後はフロリダ州において今度は外交問題が中心となり、ロムニー氏は不得手だと思われます。
昨夜の討論会ではロムニー氏は大先輩のレーガン氏のことを考えているようです。1980年の大統領選挙では共和党ロナルド。レーガン氏が民主党ジミー。カーター氏に支持率において劣っていたのです。が、テレビ討論会で見事な演技力(?)で逆転したのです。このような勝利をロムニー氏は是非受け継ぎたいようです。それにしても、アメリカ大統領選挙はレーガン氏のような俳優出身で外形や姿勢や演技などを見事に演じる人にどうしても人々は票を投じたくなるようです。テレビが普及する以前、ラジオの影響力を充分に活用した大統領がフランクリン。D.ルーズベルトです。それまで大統領選出などは民衆から遠く離れた暗闇的存在であったようです。ところがルーズベルトは歴史上初めて記者会見を慣習化し、報道官を設置し、国民と大統領の双方がコミュニケーションをスムーズにできるようにしたのです。またルーズベルト大統領はラジオを通して茶の間にくつろいだ態度で話しかけました。ラジオからテレビになってくると、国民には更に大統領の姿が鮮明に眼前に現れるようになります。このことを上手く利用したのがケネディです。1960年、ケネディとニクソンがテレビ討論会にのぞみました。そのころは白黒のテレビでした。ニクソンは暗いバックに自らも暗い服装で立ったので、視聴者は暗い陰気な大統領候補と映ったようです。それに対してケネディーは映像とイメージについて計算していたようです。明るい派手ないでたちで応じたのです。国民はケネディに希望を持ち人気沸騰となりました。ケネディのメディアに対する演技は抜群でした。フランスに夫人と訪問した時も、“私はジャクリーン(ケネディ夫人)のお伴をしてきた男です”と自己紹介して喝采を受けました。しかし、実際のケネディはどうかというと、病気がちで、いろいろあった(ウーマナイザー、不倫などの)大変な日常生活であったようです。最近ではレーガン大統領がちょうどルーズベルトがラジオを使ったようにテレビという映像を見事に利用して国民的人気を得ました。ますます、アメリカ国民は大統領をまるでスクリーンで完璧に演技する俳優のようなイメージでみるようになりました。2000年の大統領選の討論会ではブッシュとゴアの対決でした。しかしゴア氏が時々、ため息をついた表情がありました。このような些細な表情も国民は判断基準にするようになりました。昨日のオバマ氏も語るとき時々ロムニー氏の方を見ずに、カメラの方を向いてまるで国民に演説をしているようなシグサをしました。これも人によっては傲慢だとかロムニー氏を無視しているとか評価するようです。私はテレビ討論会の感想として、表面的な演技的な映像やテレビのイメージだけで大統領を選ぶことには問題があると思うのです。日本において例えば幕末から明治においての西郷隆盛などがテレビ討論にでても、今ならとても人々は投票しないかもしれません。テレビや映像の狭い範疇に西郷さんはおさまらない英雄だからです。ヨーロッパでも歴史に残るような政治指導者たちは“気まぐれでカリスマ性をもち、たとえわずかにしても悪魔的な一面を備えていた。神の霊感を受けたと主張し、歴史の流れを変えたいと公言した”(ダニエル。ブアスティンの言葉)だったそうです。例えば、ナポレオンやビスマルクやクロムウェルです。こういう政治指導者はとてもアメリカのテレビ討論会では評価されないでしょう。アメリカの政治指導者に求められているのは、単なる国民の代表者であり、誰にでもあるような平凡な美点を多く持っている映像にいいイメージを与える人のようです。