衆院の解散時期は話題になっても、コロナ禍における選挙運動の是非がまったく議論されないのが不思議でならない。
選挙はまさに密のオンパレード。選挙が近くなると選対事務所には運動員、支持者が集まり、公示・告示後ともなれば支持者を動員しての出発式、事務所は連日支持者らでごった返す。街頭演説や演説会も、弁士次第では数千、数万人が集まることも。もうこれは、コンサートと同じである。
本来ならそんな危機的状況になる選挙の在り方に真っ先にメスを入れなければならないにもかかわらず、全く問題にされない。解散時期も結構だが、政治家もメディアもまずはコロナ禍の選挙運動の在り方を問うべきだろう。街宣活動、決起集会の自粛やオンライン選挙の実施など、真剣に議論されるべきではないのか。
しかし、そんな声は全く聞こえてこない。コロナ対策がせいぜい投票所の換気や消毒とはどうかしている。アイドルやアーチストが無観客の配信ライブなど、コロナを乗り切ろう必死で頑張っているというのに、政治家がおかまいなしに人を集めている状況にメディアは何の疑問も持たない。かつて、政治とマスコミの末席に身を置いた者として情けない限りだ。