goo blog サービス終了のお知らせ 

世界一面白いミュージカルの作り方

早稲田発小劇場系ミュージカルプロデュースユニットTipTapのブログです。
HP≫www.tiptap.jp

オープンラッシュ 1

2013-03-12 01:51:18 | tiptap
あの大震災から2年が経ちました。
遠いNYからの黙祷でしたが
色んなことを思い出すことができました。

さて日本はもうあったかいようですが
こっちもだいぶあったかくなり春の日差しを感じる日もあるぐらい。
劇場街はとうとう春のオープンラッシュです。
オンもオフも期待作がどんどん開いて行きます。
不作の年と言われた去年の秋シーズン。
春はどうでしょうか。


Ann

テキサス州の名物女性知事だったアン・リチャーズさんを題材にした一人芝居。
オン・ブロードウェイで一人芝居です。たいしたものです。
とにかく客席は終止笑いっぱなし。
67歳の女優さんが本当に巧妙に笑いを誘う。
モデルになったアン・リチャーズさんの人生も調べてみるとなかなか面白く
歯に衣着せぬ言動でカリスマ的な人気があった政治家。
ブッシュJrを名指しで批判したのち
ブッシュJrに奇跡的に再選を阻まれてしまうという残念な経歴も
笑い飛ばすエネルギッシュな方だったみたい。
実在の人物を描くのはとても勇気がいる。
この主演女優は自ら脚本を執筆して自ら演じている。
本当にAnnへの愛を感じる作品だった。
カーテンコールで遺影を眺める彼女の姿には涙を誘われた。


162 Tongue

宇宙ダイヤモンドに出てくれていた辛源君出演のオフストレート作品。
彼はNYでアーティストビザを取得して俳優として活動している素晴らしい人。
ジャクソンハイツという場所を舞台にした作品。
このジャクソンハイツはうちの最寄り駅ウッドサイド駅から急行で一駅。
よく乗り換えなんかで使う駅なんだけど
まさに人種のるつぼ。
むしろいわゆる白人をみつけるのが困難。
色んな匂いが混ざって不思議な世界です。
タイトルの通り162の言語が話されているわけです。
頑張っている辛源君の姿が観れてよかったです。


Hands On A Hardbody

オンで期待の新作ミュージカル。
テキサスの田舎町で毎年行われる日産のピックアップトラックを賭けた
耐久コンテストを追いかけた同名ドキュメンタリー映画のミュージカル化作品。
ルールはとにかく賞品のトラックに休憩以外は常に片手を置いて立っていなければならない。
映画はみたことがなかったのだが設定自体はなかなか面白い。
シチュエーションコメディーにはもってこいの題材だが
ふたを開けてみるとテキサス版コーラス・ラインである。
とにかくトラックに手をつけたまま参加者達がそれぞれの紹介ソングを歌って
休憩になるとまた誰かが歌っての繰り返し。
まあステージングがそれなりにトラックに手をつけたままということを利用して
ついているんだけどそれもすぐに飽きてしまう。
テキサスの厳しいブルーカラーの生活を切り取ったという意味で評価されているらしいが
全体的にまとまりのない音楽だけで押し切ったお祭りのような作品。
歌もの作品にしては歌唱力もそこまで高くない。
セットも基本はトラック一台だけで他はとくに何もない。
オンの作品?と思うような作品だった。
久しぶりのオンミュージカルだったのにかなりがっかりした。
せっかくラッシュに並んだのに残念である。


Belleville

今期かなり活躍している劇作家のNYTWでのオフストレート作品。
ONCE、ピーターを作ったNYTWの作品ということでかなり期待した。
内容も精神的に不安定な妻と医学者の夫の夫婦生活を描くということで
最近書こうと思っていた題材に近くてタイムリー。
とにかくリアリティーを追求した作りで
セットに至っては本当にマンションンの一室を切り取ったような完成度。
窓の外やドアの向こうなど見えないところまで飾りこむこだわりには感服する。
脚本も無駄があまりなく二人の夫婦の脆い絆と現実を淡々と突きつけられ
深く考えさせられる。生々しさが本当に利いた作品だ。
人を愛するとはどういうことなのだろうか?
個人的には愛するというのは状態ではなく能動的な行動だと思っている。
愛する人を信じることも一緒でただ勝手に誰かを信じている状態になる訳ではない。
信じようと努力する事が大事なんだと思っている。
誰も報われない話であるがこういうことを立体化することは必要だと思う。
さすがだな。
こういうテーマを扱ったミュージカルを書きたいと思う。


The Wild Bride

グリム童話「手なし娘」を題材にした音楽劇。
ダンボのセント・ウェアハウスという
海外のアーティスティックな招聘作品を多く上演するオフ劇場で観劇。
作品自体はイギリスの劇団のもので
本当によくできていた。
演出が隅々まで行き届いていてイギリス人らしい綿密さや美しさを感じる。
3人の女優がそれぞれ幼少期~大人までの主人公を時代ごとに演じ分けて行く。
衣裳やセット、小道具もなかなかよくできていて上手く使いこなせていてわくわくさせる。
音楽も作品の空気にかなりマッチしていて楽しめた。
キャスティングもバランスがよくステージングもセンスを感じる仕上がりであった。
全体的に古き良き牧歌的なテイストなのだが
2幕冒頭の戦争シーンだけが少し現代的な作りで更に長すぎてややもったいなかった。
他の部分がかなりよく出来ていただけに残念である。
とは言え全体的にはかなりいい仕上がりであった。
こういうアーティスティックでありきちんと作品として成立している作品の多くに
とても演劇的な匂いを感じる。
こんな親密な空気感でまったく違う世界を見せてくれる。
プロセミアムのない人つの空間としてそこにある。
そんな作品づくりは素晴らしい。


Passion

ソンドハイムの名作をオフブロードウェイで
ソンドハイム作品をいくつも手がけた演出家が上演。
劇場が小さめで3方向が客席のセンターステージのため
色々と制約はあったのだろう。
さすがにソンドハイムらしく音楽の完成度は高いが
俳優陣の歌唱力が少し不安になる面もあった。
決して下手というわけではないのだが
歌唱的に物足りなかった。
演出的には要所要所で美しいシーンはあったのだが
全体を通して伝わるコンセプトやテーマは感じられなかった。
醜い病弱な娘と美しい既婚者の狭間で揺れる若い軍人。
いわゆる三角関係なのだが
個人的には間にちょこちょこ挿入されるその3人以外の
軍人たちのシーンを割愛して1幕ものに凝縮できれば更に良いのにと思った。
もっと濃密にこの3人の駆け引きがみてみた。
ソンドハイムの音楽は内面的なメロディーと表面的な言葉が混ざり合って
いることに意味が有るのだと思う。
その両者が有機的というよりあえてちぐはぐで違和感を感じさせる。
それを有機的に成立させる俳優と演出を必要とするという意味で
難易度が高いのだとおもう。
いつかは挑戦してみたいものだ。


Carousel

不朽の名作と言われるミュージカル作品。
今回はニューヨークフィルとオペラ界、ミュージカル界のソリストを集め
おまけにジョン・ランドー演出というなんとも豪華な作品。
作品自体はホールがコンサートホールなのでどちらかといえばコンサートに近かったが
作品の素晴らしさ、音楽の良さをひしひしと感じられる素晴らしい仕上がりだった。
午前中にラッシュに向かうも窓口でラッシュはないと言われ途方にくれたが
開演前に駄目もとでもう一度訊くと今度は二つ返事でチケットが買えた。
本当に窓口の人次第である。
主演俳優が信じられないくらい声がいい。
オペラ歌手で芝居も上手くていやいや感服。
彼に泣かされた。
バレーシーンはしっかり振りも付いて素晴らしい踊りっぷり。
映画は観た事あったが舞台ではなかった。
今回もきちんとした上演とは言えないかもしれないが
本当にいい作品だなあと実感した。


Donnybrook!

ジョン・ウェイン主演の映画「静かなる男」のミュージカル化作品。
今回はアイリッシュ・レパートリーシアターでのリヴァイヴァルオフ上演。
小さな劇場だが前回来たときも盆を使っていたので
どうやら盆が備え付けのようだった。
この劇場を使い慣れた美術家のアイディアなのか
また盆を上手く使いこなして小さな空間をしっかりと具体的に表現していた。
ミュージカルは基本的にシーン数が多くなる。
そうなると必然的に全てを具体的に飾ってシーンチェンジするか
全体的に抽象的にすませ転換を少なくするかのどちらかを選ぶことになる。
こういう小さい劇場では後者を選びがちだが
果敢にもしっかりと転換を行って楽しませてくれた。
アイルランドではかなり高名な演出家だそうだが
演出的にはそこまで感じるものはなく
ただただ牧歌的でのどかな古き良き時代を感じて
ほのぼのと暖かい気持ちになった。
NYはもともとアイルランド系の移民が多かったせいか
アイルランドを題材にした演劇作品をよくみかける。
世代を経ても故郷はいつまでも故郷なのかもしれない。


Tom Kitt & Brian Yorkey Concert

大好きな作品Next to Normalの作曲・作詞コンビのコンサート。
コロンバスサークルの高層ビルにあるコンサートホールで
トム・キット本人がピアノを弾いて豪華なバンドがいて
アリス・リプリーやらイディアナ・メンゼルなんかが歌って・・・
本当に素敵な時間だった。
何よりNext to Normalの曲を作曲者の演奏できけたことは本当に感動した。
本当にこの作品は素晴らしいと再認識。
他の作品の曲も何曲か披露していたが
はっきりいってこの作品の曲以外はそこまでよくなかった。
彼らしい曲ばかりで好感は持てるのだが
この作品の持つ特異な仕上がりには及ばない。
作品のテーマと彼のセンスが上手くはまったのだろう。
お金がなくて遠い席になってしまったが
いつかもっと近くのテーブル席でみれる身分になりたいものだ。
日本でも今年の9月に上演されるのとの事。
とても楽しみである。観に行けるかなあ。


Jackei

オーストリアのノーベル賞作家イエリネックの作品。
ジャクリーン・ケネディー・オナシスを題材にした
オフのストレート一人芝居。
一人芝居は基本的にかなり言葉が難しいとついていけない。
会話の聞き取りはまだいいが一人台詞はシチュエーションが掴めず
なかなか意味の判別ができないまま進んで結局路頭に迷うのが常だ。
今回も話の内容は半分もわからなかったかもしれない。
ただ演出的にはとても細かくつけられたものだと見て取れた。
細かい目線、しぐさ、立ち位置など
かなり丁寧につけられていた。
音響的な効果も上手に使っていて飽きさせない工夫を凝らしていた。
女優もなかなか魅力的でこれからこなしていけばかなりの
仕上がりが期待できる気がした。
これも実在の人物にフォーカスを当てた作品。
しかもスキャンダルにまみれた元ファーストレディ。
男女関係には不誠実であったケネディーの話は
最近ではオープンな事柄であり
マリリン・モンローとの浮気はもはや周知の事実となっているが
やはり英雄化された大統領夫妻を描くのは
なかなか気が引けるのだろう。
波乱に充ちた彼女の生涯をアメリカ人ではなく
オーストリア人が描き出したというのは面白い。



とりあえず10本。
時間がなくて今日はここまで。
明日また続きを書きます。
あと9本あるので。

ではまた明日。






最新の画像もっと見る

2 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

コメント日が  古い順  |   新しい順
本当に色々な作品があるのですね☆ (N.N(Lucy))
2013-03-17 14:29:15
今日は! 今回も沢山ありがとうございます☆
一番気になったのはこれです。↓
「The Wild Bride」
>こういうアーティスティックでありきちんと作品として成立している作品の多くにとても演劇的な匂いを感じる。
こんな親密な空気感でまったく違う世界を見せてくれる。

観劇する楽しみは色々ありますが、この、その数時間全く違う世界に入り込めること、これが一番かな私にとっては、と思います☆

今年の秋の日本での「Next to Normal」、とても楽しみです。以前上田さんが書いてくださった事が出逢いのきっかけです。ありがとうございます☆

返信する
Unknown (ikko)
2013-03-21 03:26:35
うまく惹き込まれるような世界を作って行きたいものです。9月には日本に帰れそうなので「next to normal」楽しみです。
返信する

コメントを投稿

サービス終了に伴い、10月1日にコメント投稿機能を終了させていただく予定です。