新しい感性は多元的であることを恥じない。それは、苦しいばかりの深刻さも、戯れや機知や郷愁も、同様に大事にする。それはまた極度に歴史を意識する。そして、この感性がもつ熱意の(また、こういう熱意の移行の)激しさは、驚くばかりのものである。こういう新しい感性が最も高まったところから見れば、機械の美も、数学の問題を解決することの美も、ジャスパー・ジョンズの絵画の美も、ジャン・リュック・ゴダールの映画の美も、ビートルズの個性と音楽の美も、ひとしく親しみやすいものに感じられる。
スーザン・ソンタグ(1965) 高橋康也 他訳