タックの庭仕事 -黄昏人生残日録-

≪ 模 範 手 紙 文 例 集 ≫

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 実用書と侮るなかれ、これらの三冊、特に手前の緑色の本(わが大先輩で、高邁な思想の持ち主のS氏は、このての実用書を書籍の範疇に入れなかった。アホか?)は、昭和36年に大学に入学して以来、手紙を書くうえで、今日まで実に四十数年にわたり、わが人生の伴侶であった。
 渡辺千春著・藤原真澄書『ペン字手本入り最新模範手紙文』(高橋書店)、昭和34年発行、定価120円と奥付にある。発行所の<株式会社高橋書店>東京都台東区浅草橋二ノ二が、現在、日記帳・手帳の版元の<高橋書店>東京都文京区音羽1丁目26の1と同一の会社であるかどうかは知らない。手帳については、昭和63年以来、20年間、後者の高橋書店を利用している。
 私は、生命の有無にかかわらず、世の中のすべての存在の価値は、見かけによらないことを信じるものである。例はいくらでもある。そのよい見本が、この『ペン字手本入り最新模範手紙文』であり、わが大先輩である。「人皆飾る」という。たしかに、そのとおりだろう。生命がない物でも、人の手になれば飾るのである。
 『ペン字手本入り最新模範手紙文』の装丁には、何の飾りもないが、糸綴じの本式の造本は、四十数年を経てなお健在であり、内部には、簡にして潔な手紙文の要領と作法が詰まっている。最近は、手紙を手書きする機会は少なくなったが、それでも、いざ、というときのために、この本は常に私の机上に置かれている。
 写真の他の二冊は、必要があって退職数年前に買った。内も外も飾りが多く、不満がないではないが、ま、最近のものとしては出来のよい方だろう。特に、英文の方は、比較的よいものに出会ったと思って利用している。

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