6月11日付『北海道新聞』第29面に「タンチョウ 空港に営巣」と題した珍しい記事が載っている。「国の特別天然記念物タンチョウが中標津空港(根室管内中標津町)内で営巣し、航空機の運航に影響するおそれがあったことから、環境省釧路自然環境事務所が5月上旬に卵を保護していた」(同新聞)とある。
狭い人工の池で営巣するのは珍しいが、近年、増加する生息数に見合った営巣場所の不足が懸念されている。このブログ記事に掲載した写真はすべて、厚岸町のとある小湿地帯で五月十七日午後二時に撮影した。卵は一個のみ。 公表すると大勢が訪れ抱卵に悪影響が出ると判断し、ブログ投稿を控えた。しかし、十日後に様子を見に行くと、巣は空になっていた。タンチョウは卵が孵化して三日で巣を離れるというから、数日で雛は無事に孵ったのだろう。
公益財団法人「日本野鳥の会」HPの「タンチョウ保護の取り組み」によるとタンチョウの生息数は千羽超。数が増えた分、主な生息地である釧路湿原の環境悪化が原因で、縄張りを持てない若いつがいが近辺の湿地で営巣すると思われる。開発による湿原の乾燥と凍結しない湧水地の減少により、冬期間の給餌がなければ現在の生息数は維持できないという。人間の湿原周辺での営農行為と、湿原本来の自然環境保全とをどのように折り合いをつけるか、難しい問題である。
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