
『サンドウィッチは銀座で』
平松洋子(日:1958-)
画・谷口ジロー
2011年・文藝春秋
2013年・文春文庫
あー、だめだ、平松先生とY田青年の関係が気になって料理に集中できねー。
というのは冗談です。
しかし、名人芸だなぁ。
おいしーものを食べたり、皆とわいわい飲む楽しさを、こんな風にそのまま文章で伝えられるのって。
そんな訳で平松さんは、
成田でうなぎが食べごろとなれば飛んで行き、
池袋で中華(東北)料理を満喫し、
社員食堂が気になれば潜入し、
挙句、比良の山荘まで月鍋(クマ!)を食べに行く。
すごい取材力よ。
うう・・・、蚕(かいこ)のさなぎの唐揚、オレ無理ッス。
読んでて一番行きたくなったのは上野の『聚楽台(じゅらくだい)』です。
店内に噴水まである昭和の大衆食堂。
2008年に閉店しており、もう訪問はかないません。
かつて、東京という街に思いを寄せた若者たち(現・おじいちゃん、おばあちゃんたち)に混じって、オレも昼ビールしたかった!
なんと言っても上野が玄関口だったんですね、東京の。
さて、まったくグルメでない俺ですが。
本書には、よく行くお店がけっこう取り上げられています。
例としましては、 有楽町のはまの屋パーラー。
一度閉店するも、同じレシピで復活しとります。
これは平松さんも書いている、スペシャルサンドゥイッチをプラス20円でトーストした版。
こういうふうにパンをサクッとさせた時に、中にトマトとか柔らかい系の具が入ってると、こぼさずに食べるのが激ムズだよね。
ここはなごみます。
あれ、なんか、はまの屋のことって前にも書いた気がする。
と思って探したらありました。(たまごもイイね!)
銀座、ロックフィッシュ。
ここは何と言ってもこだわりの角ハイボールで有名です。
今や銀座一と言われ、混んでて大変。
復刻版のアルコール度数43度(普通は40度)の角で作る、ダブルの氷なしハイボール。
なんですが、確かにサンドウィッチも美味い。
ここも上手に水分を飛ばしてパリッと出してくれます。
生ハムとカマンベールのサンドが一番人気だそうですが、いや~、3種類全部美味いよ。
写真はサーディンのやつ。
ここに行く時は夕方に一人で入って、夜から本格的に飲みに行く前に舌をしめらせに行く感じ。
立ち飲みなので、長ッ尻になる心配もないというのがヨロシイ。
あと、本書でサンドウィッチの事が書かれているのは、実は12章あるうちの1章だけでして。(7店舗を紹介)
他にも、うまいものたくさん。
『それゆけ!きょうもビールがうまい』なんて、読んでると喉が渇いてしゃーない。
この章に出てくる天鴻餃子房とか好みです。
元祖餃子(奥)がウリなんだけど、個人的に、手前に写ってるシソ餃子がいけてます。
■おまけ(イラストのこと)
最初は
「食のエッセイにイラストいらん~」
とか思って読んでいるのだが。
読み進めるうちに、いつの間にか谷口ジローの漫画を楽しみにページをめくっている自分がいるのだった。
谷口さんと言えば1990-91年にGOROで連載してた『サムライ・ノングラータ』好きだった。
今回の巻末の『夫婦善哉』もお見事!
(そういえば一昨年くらいに、NHK大阪で夫婦善哉やってましたよね。尾野真千子と森山未來で。)
本書では、あの二人が現代の千日前を歩くという設定で・・・。
それにしても・・・。
浅草「飯田屋」で一人どぜう鍋をつつくこの女性は平松さんのお友達山田ちゃん29歳なのでしょうか?
顔立ちは平松さんにも似てますが。
ともあれ粋すぎるぜ、一人どぜう鍋。
■YOUはShock(食)!!
・『壇流クッキング』 壇一雄 (1975)
・『土を喰う日々』 水上勉 (1978)
・『よい匂いのする一夜』 池波正太郎 (1981)
・『喰いたい放題』 色川武大 (1984)
・『酒食生活』 山口瞳 (2002)
・『そうざい料理帖 巻二』 池波正太郎 (2004)
・『食の王様』 開高健 (2006)
・『やさしさグルグル』 行正り香(2008)
・『ちびちびごくごくお酒のはなし』 伊藤まさこ(2009)
・『ごはんのことばかり100話とちょっと』 よしもとばなな (2009)
・『小津安二郎 美食三昧 関東編』 貴田庄 (2011)
・『サンドウィッチは銀座で』 平松洋子 (2011)
・『ひと皿の小説案内』ディナ・フリード (2015)
<熱帯雨林>
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