ボブ・ディラン18枚組解説 ~ ディスク3/4

pic : DON HUNSTEIN (from SMJI)


 そんな訳で、本18枚組の最大の目玉となりますディスク4、1枚丸ごと「ライク・ア・ローリング・ストーン」です。ただしこの18枚組では、同曲はディスク3の最後にも3トラック収録されており、そのため前回はその直前までとさせていただいておりました。

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『ザ・カッティング・エッジ 1965-1966:ザ・ブートレッグ・シリーズ第12集』(ウルトラ・デラックス・コレクターズ・エディション)
 SOLD OUT

[Disc 3]の残り(1曲、3トラック)
(20)~(22) Like A Rolling Stone
 (20) Takes 1-3 (6/15/1965) Rehearsal.
 (21) Take 4 (6/15/1965) Rehearsal. Partially [5]
 (22) Take 5 (6/15/1965) Breakdown.

 ↑ 6/15/1965 『追憶のハイウェイ61』セッション
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 ↓ 6/16/1965 『追憶のハイウェイ61』セッション

[Disc 4](1曲、17トラック)
(1)~(17) Like A Rolling Stone
 (1)Rehearsal remake (6/16/1965) Rehearsal.
 (2) Take 1 remake (6/16/1965) Rehearsal.
 (3) Takes 2-3 remake (6/16/1965) False starts.
 (4) Take 4 remake (6/16/1965)[2][4]
 (5) Take 5 remake (6/16/1965) Rehearsal.
 (6) Take 6 remake (6/16/1965) False start.
 (7) Take 8 remake (6/16/1965) Breakdown.
 (8) Takes 9-10 remake (6/16/1965) False starts.
 (9) Take 11 remake (6/16/1965) Complete.
 (10) Take 12 remake (6/16/1965) False start.
 (11) Take 13 remake (6/16/1965) Breakdown.
 (12) Take 14 remake (6/16/1965) False start.
 (13) Take 15 remake (6/16/1965) Breakdown.
 (14) (6/16/1965) Master take, guitar.
 (15) (6/16/1965) Master take, vocals, guitar (BD).
 (16) (6/16/1965) Master take, piano, bass.
 (17) (6/16/1965) Master take, drums, organ.

既出曲・初出作品リスト
([1]- Released on Bringing It All Back Home, 1965.)
[2]- Released on Highway 61 Revisited, 1965.
([3]- Released on Blonde On Blonde, 1966.)
[4]- Released on Biograph, 1985.
[5]- Released on The Bootleg Series, Vol. 1-3, 1991.
([6]- Released on The Bootleg Series, Vol. 7, 2005.)

なお、18枚組と6枚組の収録楽曲、その重複についてはこちらをご参照ください。


 この「ライク・ア・ローリング・ストーン」通常盤となる2枚組の『ザ・ベスト・オブ』には2トラックだけしか収録されておりませんが。18枚組に収録されている20トラックはすべて6枚組の『デラックス・エディション』の方にも収録されているので、「18枚組は買えなかったけれどもオレはこの曲を愛して止まないんだ!」という方は、何が何でも『デラックス・エディション』をお買い上げください。

 まずディスク3末尾の3トラックは、『ブートレッグ・シリーズ 1~3集』での初お目見えでファンに衝撃を与えた、例の3/4拍子ヴァージョン!です。しかし一応形にはなったかな?というところでこの日のセッションは終わりに。
 でも日を改めたら「昨日最後のあれ、なんかあんまりパッとしないよね」とかなったんでしょう、ディスク4に入って8ビートに変身します。(1)はだらだらっと8ビート版を確認している断片的なリハの模様、テープを途中で止めたりまた進めたり。さてと仕切り直して最終形態にぐっと近づいた(2)(3)に続き、OKテイクという(4)となります。でもミキシングが違うせいなのか?、聴きなれた最終版とはかなり雰囲気が違って聞こえる。よく言えばリラックス、悪く言えばこんな緩かったっけ?と。そういう意味でこのトラック(4)は、厳密には最終ヴァージョンのリミックスと呼ぶのが正しいのではないでしょうか。
 そしてここからが聴き所その1。ディテールを変えたりピッチを変えたりテイクを重ねること15回((13)がテイク15というだけなのでもっとあるかもしれませんが)、試行錯誤の模様が断片も含め9トラック! そして聴き所その2、(14)~(17)はOKとなったマスターをパート別に四つのトラックに。これらを同時にならせば最終形態「ライク・ア・ローリング・ストーン」が立ち上がる! さあCDプレーヤーを4台用意だ! 4台同時に再生だ! オメーらスタート遅れんなよオラオラオラ!……なんてことしなくても、こんなのがありました→http://thecuttingedge.bobdylan.com/。要はこの4トラックを同時に再生、個々のヴォリュームを上げ下げすることで簡易リミックスして遊べる、というもの。でも最新ブラウザじゃないとダメかもしれない(かくいう私も、昨日これのためにアップデートしました)。

 そして最後に。まあ何しろ歴史的な大ヒットにしてこの名曲ですから、そりゃもう本作中最大の見せ場です。送り手でもある米コロムビアも力を入れまくって全20トラックでディスクを丸ごと1枚この1曲に割くという暴挙に出ており、それにはまったく疑問も異論もありません。
 しかし──もうお分かりでしょうが、ある意味「修行」です(特に2回め以降)。しかも、かなりの……。みなさんも頑張ってください。ということで、次回ディスク5はオレたちのVK石井が担当します。ではまた
辻口稔之




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6CDs『ザ・カッティング・エッジ 1965-1966』(ブートレッグ・シリーズ第12集)(デラックス・エディション)【完全生産限定盤】



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2CDs『ザ・ベスト・オブ・カッティング・エッジ 1965-1966』(ブートレッグ・シリーズ第12集)(通常盤)



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