~Memory Of Melodies~

趣味の範囲で色々なことを書き殴るブログ

「しるし」

2006年11月30日 | Weblog
久々に空の色を見たような気がする。 少しだけ乾いた風を、胸の奥深くまで吸い込んだら、雨上がりの草木の匂いがした。 飛行機雲で切り取られた空が、パズルのように見える。 そんな触れることの出来ないピースを少しの間だけ眺めていた。

気づけば、街路樹にはキラキラと輝く電飾があり、青と白とが交互に点滅している。 そして12月は目の前・・・。 寂しい時間と暖かい時間の両方がある月でもある。 寂しい青と暖かい白。 交互に点滅するのは、傍観者である僕の気持ちを表しているようだ。


さて、今回は小説から離れて、音楽を紹介したいと思う。 これを、全3回にて紹介していく予定である。 そして、その記念すべき第一弾は・・・

「しるし」 Mr.Children

過去に何度か紹介したこともある彼らが、ドラマ「14歳の母」の主題歌にもなっているNEWシングルをリリース。 ドラマは見たことないが、CDを聞いて久々に身体が共鳴した。 

歌詞もメロディーも切ないはずのに、溢れ出る感情の波が共鳴を誘い出す。 聞いていると、叫びたくなってきてしまうほどだ。 


「最初からこうなることが決まってたみたいに
 違うテンポで刻む鼓動を互いが聞いてる
 どんな言葉を選んでも どこか嘘っぽいんだ
 左脳に書いた手紙 ぐちゃぐちゃに丸めて捨てる

 心の声は君に届くのかな?
 沈黙の歌に乗って・・・

 ダーリンダーリン いろんな角度から君を見てきた
 そのどれもが素晴らしくて 僕は愛を思い知るんだ
 『半信半疑=傷つかない為の予防線』を
 今、微妙なニュアンスで君は示そうとしている」


さすが、ミスチル。 言葉のどれをとっても無駄がないから、分かり難い部分が見当たらない。 心に直で当たってくる曲全体に共鳴してしまうのも、肯けてしまった。

そして、僕がもっとも気に入ってるフレーズがある。


「泣いたり笑ったり 不安定な思いだけど
 それが君と僕のしるし

 ダーリンダーリン いろんな角度から君を見てきた
 共に生きれない日が来たって どうせ愛してしまうと思うんだ
 ダーリンダーリン Oh My darling...
 狂おしく 鮮明に 僕の記憶を埋めつくす
 ダーリンダーリン・・・」


共に生きれない日が来ても、どうせ君を愛してしまうだろう・・・なんて、常人には出てこないフレーズだ。 このブログの一つ前に、ゲーテの小説の記事があるが、そのゲーテが言った台詞を思い出してしまった。

この愛が終ろうと、いや、この愛は終らない。 魂が朽ち果てようと、死んでもなお、君を愛している。 この愛は永遠の愛だ・・・みたいな台詞が、ゲーテの小説「ファウスト」に登場する。 

現代のゲーテ、桜井和寿。 ミスチルの発表する新曲は、間違いなく常に進化を続けている。 これが終りなき旅になってくれるといいのだが・・・。

画像は東京タワーの展望台にある、透明な床である。 もちろん、丈夫なガラスで出来ているが、通る人は立ち止まって、おそるおそる下を覗いていく。 この写真を撮るのには苦労した。 誰かの足が入ったり、子供が騒いだり・・。 壊れるかどうか確かめる為に、片足を思い切りこの床に叩きつけると、レンズに入っていた邪魔な足が一斉に消えたので、思わずシャッターを切った。

「ファウスト ~第1部~」

2006年11月24日 | Weblog
街灯が冷たい光で僕を照らし出す。 何となく頭の中を巡回している思い出が、真実なのかどうかも分からない。 さもあったかのような自分だけの暖かいイメージかもしれない。 そんなことを思いながらも、ポケットに手を入れて、駅に向かう人達の群れを眺めていた。

言葉の限りを尽くしても、胸の奥に響くモノを表現しようがない。 張り裂けんばかりに膨らんだ風船のように、僕の胸が何かで満杯になってしまった。 その何かが溢れ出すと、頬を伝う宝石に変わる。 何度も何度もカナヅチで叩かれたように胸を打つ何か。 思い出せないのではなく、思い出したくないのだと思う。

程なくして、目の前に手が差し出される。 街灯の光よりも輝いて見える白い手。 この世の全てを優しく包み込めるような綺麗な手だ。 その手が僕の宝石に触れた瞬間、宝石に価値が生まれたような気がした。 そして、胸の中にあった何かが、スーッと消えていく。 何故かは分からない。 これもまた言葉の限りを尽くしても到底語れないモノのような気がした・・・。


さて、今回は久々の更新となる。 普段は手を出さないような小説を読み終えたので、それを紹介したいと思う。

「ファウスト ~第1部~」 ゲーテ

文系の方はご存知かもしれないが、言わずと知れた戯曲の本である。 

近代文学は読み難いというイメージで遠ざけていたが、薦められて読んでみると、これが中々面白い。 名前は知っているが、読んだことない本などの代表作の一つがこれだった。

その読み難い部分というのが、簡単に言えば「例え話」。 もっと言えば、ロマンチストが語るセリフのようなものである。 例えば、「朝と夜とが繰り返される」という文章を、ゲーテ風に言ってみると、「二つの世界が往来する」ということになる。 今回の冒頭では、それを意識して書いてみたが、ゲーテに怒られそうだ。

それでは、第一部の内容を最初の部分だけ簡単に書いてみたいと思う。


主人公は、世界の殆どの学問を知り尽くした男・ファウスト。 ある時、ファウストは、世の中の学問を知り尽くしてしまい、結局何も分からなかったという結論に至り、自殺をはかる(勉学のそれ自体に無意味さを感じてしまったから?)。 しかし、どこからともなく聞こえてくる復活祭の鐘の音を聞いて感動し、自殺を思いとどまる。

その一方で、神様と悪魔メフィスト・フェレスは対談中。 神様が「善あるものは、例え悪の道への誘い手が来ようとも、最後には必ず善を選ぶ」というので、メフィスト・フェレスが神様に「ファウストを悪の道に染めてもいいか?」と聞く。 何故か、神様はそこで快諾するのだ。

かくして、ファウストは犬に化けていたメフィスト・フェレスに出会う。 メフィスト・フェレスは、ファウストをたぶらかし、二人は広い世界を知るための旅に出ることになる。 その時、二人はある賭けをする。 ファウストが生きている間に、ある瞬間に向かって、「時間よ止まれ!お前は美しい」と言ってしまったら、メフィストフェレスに魂を捧げないといけないという賭けだ。 ファウストは、「絶対にあり得ない」と、自信満々で快諾。 そして、二人は旅をすることになる。 ちなみに旅をサポートするというのが、メフィスト・フェレスの賭けの代価となる。

メフィスト・フェレスは先ず、ファウストに恋愛をさせようと、魔女が作った若返りの秘薬を入手。 若返ったファウストは、グレートヒェンという女性に一目惚れしてしまう。 ファウストは、ここぞとばかりにメフィスト・フェレスを使って、関係をとりもってもらう。

そして恋に落ちた二人・・・。しかし、不幸は突如として訪れる。 グレートヒェンが母親に投与する薬の量を誤り、母親を殺してしまう。 熱心なキリシタンであるグレートヒェンは「自由な恋愛などは自分を堕落させる」と、自己嫌悪に陥り、悲嘆にくれる。 だが、グレートヒェンのお腹には、ファウストの血を受け継いだ新しい命が・・・。


ゲーテの本で、初めて読んだ作品になったが、これほどスラスラ読めると思わなかった。 「食わず嫌い」とは、このことだろう。 簡単に書くつもりが、終盤ぐらいまで書いてしまった。

ちなみに話の中で、現代でも知られる花占い(好き・嫌い・好き・・・というヤツ)が登場する。 それを考えると、今から約200年前にも、そんな占いがあったのか、と驚いてしまった。

実は、この本は「ファウストの第1部」。 実際は、第2部で終了ということになるが、第2部をまだ入手していない。 早く入手したいが、結構かかりそうなので、新たな作品を読むことにする。

かなり更新を休んでいたので、週末にまた一つ頑張りたいものである。 CDも買ったことだし・・・。


画像は、東京タワーの展望台からの写真。 八百八町が見渡せるだろう。 天気は生憎の曇り空だったが、色々な写真が撮れて良かった。


「気ままに、気まぐれに、歌うように・・・」

2006年11月11日 | Weblog
だんだんと冬の足音が近くなってきた。 街路樹には、綺麗なイルミネーションと枯れたスピーカーから漏れる鈴の音。 恋人たちは肩を寄せ合って歩いている。

今年は東京に雪が降るのだろうか? なんだかんだで毎年降っているような気がするが、心の隙間を埋めるには、若干少ないようだ。 まあ、いつも埋まらないのだが・・・。


さて、今回は早めに冒頭を終らせて、どうしても書きたいものがあった(紹介したいもの)。

久しぶりにドラマでも見ようかと思ったのは、3ヶ月も前の話。 僕がテレビというと、バラエティ番組を見るぐらいなので、ドラマは凄く久しぶりだった。 それで見たのが、伊藤美咲と亀梨和也の「サプリ」。 月9なら間違いない!と予見した自分の愚かさを思い知らされた作品である。 第1話を見た瞬間、あまりの恋愛の王道に何の興味も持てなかったし、それ以来、見る気もなくなってしまった。

しかし、今回紹介したいのがその月9ドラマ。 「サプリ」の後に放送されているドラマである。

「のだめカンタービレ」 二ノ宮知子

原作は、小説ではなく漫画。 第1話を見た瞬間に、素直に面白いと思った。 早速、本屋に行って1巻~15巻まで大人買い(現在、続刊)。 そこで漫画を読んで、衝撃が走る。

多少(と言っても、ほんの一部)、設定が原作とは違うが、見事なまでに原作を忠実に再現しているドラマなんだと思った。 ふきだしのセリフ、話の展開、出てくる人物の行動を一つ一つとっても、そのまま。 実写と言おうか、何と言おうか。また漫画に登場するキャラクターと役者の一致がある。 ミスキャストが一人もいない。

内容は、音楽大学でのお話。 ある日、指揮者を目指す美男子学生で、天才的な音楽の才能を持つ学内でも有名な千秋真一(玉木宏)が、一つのピアノの音色に足を止める。 ベートーベン、ピアノ・ソナタ<悲愴>。 だが、千秋に言わせれば、その旋律は<悲惨>。 デタラメなその旋律をよく聞いてみると、ふと気がつく。 デタラメだが、間違ってはおらず、実は凄く上手い、と。

千秋が「誰が弾いているんだ?」と急いで教室に向かうと、声楽科の彼女に止められる。

ピアノの音色を諦めて、その彼女と一緒に飲みに行った千秋は、そこで彼女に海外留学を勧められる。 実は、千秋は幼い頃は海外で過ごしており、そこで出会ったマエストロのヴィエラとは、師弟関係にある。 ちなみに父はピアニスト。 しかし、千秋が日本に帰国する時に事件は起こった。

飛行機が緊急事態になり、胴体着陸。 それ以来、飛行機に乗れなくなってしまったのだ。 ちなみにカナヅチでもある。

彼女の話からパニックになる千秋。 それを酒で誤魔化していると、彼女から三行半を叩きつけられる。

酔っ払いになって帰宅した千秋は、自分の家の玄関前で倒れている。 そこにお隣さんである、ヒロイン「のだめ」こと野田恵(上野樹里)が登場。 のだめは千秋を抱き起こし、自分の部屋へ連れて行く(ゴミ屋敷)。

千秋が目を覚ますと、そこでは聞いたことのあるベートーベンの<悲愴>・・・。そのゴミの中で美しく響く旋律は、カプリチオーソ、カンタービレ(気ままに気まぐれに、歌うように)。 そう、これが千秋とのだめの出会いとなる。

昔はクラシックを少しだけ聞いていた時期があったが、このドラマを見て、こんなにもクラシックは素晴らしいものか、と思い知った。

ドラマのエンディングは、これまたクラシック。 斬新なドラマである。 未だ、一度も見ていないという方は、一度見てみると、面白いかもしれない。 まあ、元々はコメディーに近い漫画なので、内容もそのようになっているが、それが気にならないのであれば、十分楽しめると思う。

前回の話を見たいという方は、もはや「YOUTUBE」しか、思い当たる節がない。海外の有名なサイトだが、検索のところに「のだめ」と日本語で打っても出ると思う。今、確認してみたが、前回の放送分なら7つに分けて見れるようだ。

ファイルにウイルスがある危険性もあるので、オススメはしないが、まぁセキュリティがしっかりしてれば大丈夫だと思う。 YOUTUBEはよく利用してるから。

というわけで、画像は大人買いした漫画「のだめカンタービレ」。15巻では、初回限定のマングースが付いていたはずだが、それが欲しくてしょうがない。 

「DEATH NOTE ~the last name~」

2006年11月07日 | Weblog
夕陽が木漏れ日となって、僕の輪郭を溶かしていく。 ゆらゆらと揺れる街全体が、まるで蜃気楼のように見え、遠い見たこともない国の砂漠の道を歩いているかのような気分だ。 

やがて夜の風が吹き、辺りは一変して闇の衣を纏い始める。 月は陰り、木々が両手を広げ、あざ笑う黒い悪魔のように見える。 時々、頬に当たる黒い雨。 無数のナイフが飛んでくるかのような風。 廃墟の中に漂っているような濁った空気。

遠く揺らぐ光を噛みしめながら歩く。 信じているんだと思う。 自分自身に言い聞かせているんだとも思う。 希望、夢、自信・・・色々落としてきたが、その先にそれだけの見返りがあるのだと信じたいのだ。 傷だらけの身体だが、まだ動く。 大丈夫、まだ信じられる。 暗闇の中でも僕は笑顔でいられるだろう。


今回は先日見た映画を紹介したいと思う。 画像にもあるように、今回見た映画は、「DEATH NOTE(後編) ~the last neme~」。

映画の前編は、過去に当ブログで掲載したことがある。 少年ジャンプで掲載されていた「DEATH NOTE」の内容は、過去に書いた通りなので割愛する。

前編で、人の死を操れる死神のノートを手にした主人公・キラこと夜神月(以後ライト)。世の中に蔓延する悪人をそのノートを使って罰していく(殺していく)。 

そのライトの殺戮(?)を食い止める為に、世界の難事件を次々に解決しているL(以後エル)が立ちふさがる。

前編では、「竜虎、相まみえる」といった状態で、ライトとエルが対峙して終る。そして今回の後編では、二人の直接対決となる。 言葉のロジックや相手の一つ先を読む行動、疑心暗鬼になる互いの心理戦は、この「DEATH NOTE」の醍醐味と言っても良いだろう。

今回は新たなるエルの刺客、第二のキラなる人物が登場する。 そう、死神のノートがもう一つ増えることとなるのである。 しかし、それだけには留まらず、まさかの第三のキラ・・・。 

そして、僕の個人的な意見になってしまうが、全体を通して伝わってくるのが、緊張と緩和である。 これは「見事」の一言に尽きる。 

緊張は、もちろんエルとライトの直接の駆け引きだろう。 藤原竜也(ライト)と松山ケンイチ(エル)の演技力には目を見張るものがあった。 二人とも役柄の特徴をよく掴み、漫画のキャラクターそのまんまと言っても過言ではない。

緩和は、内容から想像しにくいかもしれないが、官能的な部分だろう。 「SEXY」というヤツである。 戸田恵梨香(弥海砂)、片瀬那奈(高田清美)、上原さくら(西山冴子)の三人の服装が、とにかく肌を露出するような服装になっている。 しかも、プロポーションは流石グラビア出身というところだろうか。 

これだけの心理戦やら権謀術数の限りを尽くしてしまうと、内容に矛盾を生じてしまうのは、映画の理。 まぁ、漫画も同じ矛盾点を残し終わるのだが、映画を見た方なら、すぐに気がつくことだろう。 

こうして考えてみると、全体を通してみて人気が出るのも肯ける。 役者のスター性と演出の徹底さ。 申し分ないだろう。 今は深夜のTVアニメでやっているようだが、恐らく人気が出るのだろう。 ただし、映画を見ないと人間臭さを味わえない。 そこが、TVと映画の迫力の違いであり、アニメと人間のちがいである。

この映画、是非オススメである。

追記・・・
銀座のシネマカードがあと1ポイントで、無料映画チケットに変わる。 もう1本映画を見なくては・・・。