肌に突き刺さる冷気に、街中が凍えているようだ。 凍てつく雨の刃は容赦なく、アスファルトを穿つ。 木々の咆哮と崩壊しかけた雲。 まるで、この世の終わりを告げるかのような地上だ。
僕はどうやら風邪をひいたらしく、歩くのがやっとだ。 急ぎ足で歩いているのに、前を行く女の人に追いつけない。 久しぶりに風邪をひくことになる。 こんなにも辛かったか・・・。
この世の終わりと僕の身体の崩壊。 季節の変わり目とはよく言うが、不注意だった。 不規則な生活も祟ったか。 今日は早く寝ることにしよう。 しかし、その前に・・・。
今日、紹介したいのは一冊の小説である。 作者の名は岡嶋二人。 実はこの岡嶋二人は、その名の通り二人いる。 一人は徳山諄一(とくやまじゅんいち)、もう一人は井上泉(いのうえいずみ)である。 尚、井上泉に関しては、今は井上夢人という名前で活動している。
タイトル「99%の誘拐」
先ず、この本の初版が1987年ということを踏まえて話を進めていこう。
現代にも語り継がれている3億円事件・・・が起こる数ヶ月前。 事件は、ある園児誘拐事件から始まる。
その園児を誘拐した犯人からの身代金要求額は、金の延べ棒5000万円分だった。 園児の父親は、日本でも有数の電子工業会社の社長。 不良品問題で、倒産寸前だった会社だが、大企業との合併よりも、やっと集めた5000万円で経営再建をしようとしていた矢先の出来事。 その5000万円を、犯人の要望で社長と部下二人の三人で運ぶことに。 三人は犯人によって散々移動させられた後、海の中へ金の延べ棒を沈める。 園児は犯人によって解放されるが、いくら経っても沈めた延べ棒を取りに来ない犯人。 結局、事件は時効を迎えてしまう。
誘拐された園児の父親は、5000万円を失い、仕方なく大企業との合併に踏み切る。
しかし、体調を崩してしまい、そのまま帰らぬ人に。
その父親が生前、残した手記を息子(当時、誘拐された園児)が発見。 実はその手記は息子に宛てられたもので、そこには誘拐事件の裏がギッシリ・・・。 それを見た息子がある計画を立てる。 そう、誘拐である。
ここまで見て分かるように、犯人は最初から分かっている。 読んでいると、古畑任三郎を想起してしまうが、似ていないとも言えなくはない。
青年は自分が誘拐された状況になぞらえて、父親の企業が合併した大企業の社長の孫を誘拐。 犯行に関わる事は全てPCで行い、電話での応対は合成音声、逆探知されないように他人の家のコードレスの電波を利用したりする用意周到ぶり。 そして問題の身代金は、10億円分のダイヤ。 どれぐらいの量になるかと言えば、約タバコ1箱ぐらいだそうな。
そして、犯人がその10億円分のダイヤを運ぶ人物に指定したのが、犯人。 そう、自らの名前を名のり、犯人自らダイヤを運ぼうというのだ。
ダイヤを手にした青年、青年のことを疑う上司、他に犯人がいると思っている警察。 三者の背景、また心理描写が豊かに盛り込まれ、クライマックスでは心理戦
に近いものを感じてしまった。
今で言えば、それほど奇抜な発想ではないのかもしれない。 しかし、当時の87年を、また合作ということを考えても、なかなかこういう推理小説は書けるものではない。
岡嶋二人のことは、以前から知っていたが読んだ事はなかった。 しかし、名前が轟くだけのことはある、何度でも読めそうな本だ。
さて、長くなってしまい、また寝る時間が遅くなってしまった。 このままじゃ、明日、いや、今日は倒れてしまうかもしれない。
画像は、散歩した小学校の窓越しに撮った写メである。
僕はどうやら風邪をひいたらしく、歩くのがやっとだ。 急ぎ足で歩いているのに、前を行く女の人に追いつけない。 久しぶりに風邪をひくことになる。 こんなにも辛かったか・・・。
この世の終わりと僕の身体の崩壊。 季節の変わり目とはよく言うが、不注意だった。 不規則な生活も祟ったか。 今日は早く寝ることにしよう。 しかし、その前に・・・。
今日、紹介したいのは一冊の小説である。 作者の名は岡嶋二人。 実はこの岡嶋二人は、その名の通り二人いる。 一人は徳山諄一(とくやまじゅんいち)、もう一人は井上泉(いのうえいずみ)である。 尚、井上泉に関しては、今は井上夢人という名前で活動している。
タイトル「99%の誘拐」
先ず、この本の初版が1987年ということを踏まえて話を進めていこう。
現代にも語り継がれている3億円事件・・・が起こる数ヶ月前。 事件は、ある園児誘拐事件から始まる。
その園児を誘拐した犯人からの身代金要求額は、金の延べ棒5000万円分だった。 園児の父親は、日本でも有数の電子工業会社の社長。 不良品問題で、倒産寸前だった会社だが、大企業との合併よりも、やっと集めた5000万円で経営再建をしようとしていた矢先の出来事。 その5000万円を、犯人の要望で社長と部下二人の三人で運ぶことに。 三人は犯人によって散々移動させられた後、海の中へ金の延べ棒を沈める。 園児は犯人によって解放されるが、いくら経っても沈めた延べ棒を取りに来ない犯人。 結局、事件は時効を迎えてしまう。
誘拐された園児の父親は、5000万円を失い、仕方なく大企業との合併に踏み切る。
しかし、体調を崩してしまい、そのまま帰らぬ人に。
その父親が生前、残した手記を息子(当時、誘拐された園児)が発見。 実はその手記は息子に宛てられたもので、そこには誘拐事件の裏がギッシリ・・・。 それを見た息子がある計画を立てる。 そう、誘拐である。
ここまで見て分かるように、犯人は最初から分かっている。 読んでいると、古畑任三郎を想起してしまうが、似ていないとも言えなくはない。
青年は自分が誘拐された状況になぞらえて、父親の企業が合併した大企業の社長の孫を誘拐。 犯行に関わる事は全てPCで行い、電話での応対は合成音声、逆探知されないように他人の家のコードレスの電波を利用したりする用意周到ぶり。 そして問題の身代金は、10億円分のダイヤ。 どれぐらいの量になるかと言えば、約タバコ1箱ぐらいだそうな。
そして、犯人がその10億円分のダイヤを運ぶ人物に指定したのが、犯人。 そう、自らの名前を名のり、犯人自らダイヤを運ぼうというのだ。
ダイヤを手にした青年、青年のことを疑う上司、他に犯人がいると思っている警察。 三者の背景、また心理描写が豊かに盛り込まれ、クライマックスでは心理戦
に近いものを感じてしまった。
今で言えば、それほど奇抜な発想ではないのかもしれない。 しかし、当時の87年を、また合作ということを考えても、なかなかこういう推理小説は書けるものではない。
岡嶋二人のことは、以前から知っていたが読んだ事はなかった。 しかし、名前が轟くだけのことはある、何度でも読めそうな本だ。
さて、長くなってしまい、また寝る時間が遅くなってしまった。 このままじゃ、明日、いや、今日は倒れてしまうかもしれない。
画像は、散歩した小学校の窓越しに撮った写メである。