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人事院勧告

2024年08月30日 18時31分38秒 | 一言
物価の高騰に見合わない勧告
 物価上昇を上回る賃上げが求められるなか、国家公務員の賃金改定を示す人事院勧告(人勧)が出ました。人勧は地方公務員、独立行政法人、国立大学法人、福祉・医療現場などの公共部門はじめ直接・間接に770万人に影響を与えます。中小企業の賃上げ目標・目安になるなど日本全体の賃金決定で重要な役割を持ちます。

 今年の人勧は国家公務員の月給を2・76%引き上げるよう内閣と国会に求めました。3年連続の引き上げ勧告で2%を超える水準は1992年以来32年ぶりです。問題だった、高卒一般職の初任給が最低賃金を下回る事態も解消される見込みです。ストライキを含む民間労働者と公務労働者の連携した闘いの成果です。

■春闘に比べ低い
 しかし、35カ月連続の物価上昇には到底見合わず、実質賃金の減少に歯止めをかけるものになっていません。中高年、再任用職員の引き上げは1%台にとどまります。今年の春闘の賃上げ率5・33%(厚生労働省集計)に対しても大きく見劣りするものです。

 原因の一つに2006年の民間賃金調査の対象変更があります。人勧は、国家公務員の給与水準を民間にあわせることを基本としますが、この変更が国家公務員給与の引き下げにつながりました。人勧は民間給与にも影響を与えるため、これは民間・公務ともに賃金を抑える要因となっています。今回、見直しを検討するとしましたが、抜本的な見直しが必要です。

■賃下げの地域も
 今回、地域手当が見直されることで、手当が下がり賃下げとなる地域が発生します。これは、地方公務員の給与、対象地域の介護・保育などの介護報酬・公定価格の引き下げにつながります。「物価上昇に負けない賃上げ」を政権が掲げるなかで賃下げにつながる見直しの影響は深刻です。

 この変更について労働組合との実質的な協議は行われておらず、一方的な不利益変更です。

 また、最大20%の地域格差は存続します。地域手当は都市部や中核都市に手厚くなっていますが、現在、地域による生計費に差はないのが実態で人材流出を招く問題は解消されません。

 人勧は、国家公務員の応募者減で人材確保が危機的だとの認識を強調し、抜本策として、給与引き上げの若年層への重点化、「能力・実績主義の徹底」など「給与制度のアップデート」を掲げます。しかし、能力・実績主義による職場の分断、職員の意欲への悪影響が懸念されます。

 また、人材確保のために超過勤務の縮減に取り組むとします。人事院はこの間、勤務時間の客観的把握や超過勤務手当の全額支給などの対策をとってきましたが、長時間労働は是正されていません。根本原因である公務員の総定員抑制政策の転換こそ必要です。人勧では言及がなく、抜本的な改善策となっていません。

 さらに、一般職への裁量労働制導入の研究や、国家公務員の営利企業役員の兼業制限見直しの具体的検討に踏み込みました。民間労働法制の改悪と軌を一にする動きで、長時間労働を助長し、公務の公正性に悪影響を与えかねないもので、許されません。


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