ノスタルジアが からからと

できるかぎりたんたんと記録してゆきます。

富士山

2006-03-08 23:36:10 | 徒然ごと
出張で関西へ。
途中でいつも富士山が見える区間がある。
俺が一番好きなポイントは、のぞみで三島駅を通過
するあたりで見える富士なのだが、今日見たのは
これまでの冬の澄んだ空気の向こうにあるくっきり
とした富士ではなく、春霞の向こうにぼんやりと
浮かび上がる幻想的なものだった。日本画を見て
いるようで、本当に幻想的だった。

俺の父は山を専門に描く画家で、長野の山と、
ヒマラヤの山を描く。
本人が意図しているのか、あるいは自分で気づきさえ
していないのかもしれないが、長野とヒマラヤでは、
まるで違う人が描いたのではと思うほど画風が違う。
長野の山はいかにも「日本の風景」然としていて、
なんとものどかな画風なのであるが、ヒマラヤを
描くときの父の絵は、空気がピンッと張り詰めた
ような印象を与える。

冬の澄んだ空気の向こうに見える富士の風景は
父のヒマラヤの絵的であるのだが、今日見た春霞
の向こうに見えた富士は、父の長野の山の絵よりも
もっと絵画的で、はじめてみた富士の表情であった。

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