第1節 月の国を継ぐ者 第15話
「王宮のお方・・・・あの禁断の至宝の怒りを止めるには方法は3つしかございませぬ」
「あるのか・・・・」
「一つ目は真の持ち主である月の聖帝様をこの地にお呼びすること,二つ目は真の持ち主である月の聖帝様にその秘宝をお返しすること,三つ目は本来の安置場所であるクリスタリア神皇国の月の聖神殿にお返しすることじゃ」
大神官の話を聞いて,大臣達は大きく溜息をついた。
「どれも難しい事じゃ。月の聖帝様をこの地にお呼びする事は到底かなわぬ」
「この3つの中で実行できるものがあるとすれば・・・・やはりあの他の者が触れてはならぬ秘宝を,月の聖帝様にお返しする事じゃのう」
「我が王は決してあの秘宝を手放そうとはなされぬ」
「たとえ主君から奪うことになろうとも,この国を救うにはそれしか方法はありませぬぞ」
「う~む」
大臣達は暫く考えていたが,意を決したように顔をあげた。
「いたしかたない。このままでは本当にこの国が壊滅してしまう」
「そうだな。この国がなくなってしまっては国王も何もない」
「王宮のお方・・・」
「大神官殿,我々は命にかえましてもファンタジア帝国のラミエル帝に『月の雫』をお返しいたします。もうこれ以上この国を秘宝の怒りに晒すわけにはいかぬ」
「それがよろしかろう。人が持ってはならぬ秘宝じゃ。本来あるべき所にお返しせねばこの怒りはおさまるまい」
「分かりました。大神官殿,どうか・・・どうか我々の成功を祈って下され」
「そうしよう」
マリネリ大神官は大臣達を見つめ,深く頷いた。
王宮に帰った大臣達は,王の怒りに触れるのを覚悟で『月の雫』を奪いに行った。国王はもうこの魔性のような妖しさを秘めた『月の雫』の虜になってしまっており,半狂乱になって大臣達を責めた。
「お前達,儂が誰か分かっておるのか,無礼者!!」
「陛下,もうこれ以上我が国の被害を広めるわけにはいかないのです。お許しを」
「何をするのじゃ,ええい,放さぬか」
「陛下,お許し下さい」
大臣達は国王を押さえつけると,胸にしっかり抱えていた『月の雫』を奪い取った。
「おのれ,お前ら」
大臣達は怒り狂う王を後にして,とにかく袋に入った月の聖帝の至宝をしっかり抱え,すぐに馬に飛び乗った。
半狂乱になって追いかけてくる王を振り払い,勇気ある騎士は馬に鞭打ってファンタジア帝国を目指した。
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「ある国の物語」
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「どれも難しい事じゃ。月の聖帝様をこの地にお呼びする事は到底かなわぬ」
「この3つの中で実行できるものがあるとすれば・・・・やはりあの他の者が触れてはならぬ秘宝を,月の聖帝様にお返しする事じゃのう」
「我が王は決してあの秘宝を手放そうとはなされぬ」
「たとえ主君から奪うことになろうとも,この国を救うにはそれしか方法はありませぬぞ」
「う~む」
大臣達は暫く考えていたが,意を決したように顔をあげた。
「いたしかたない。このままでは本当にこの国が壊滅してしまう」
「そうだな。この国がなくなってしまっては国王も何もない」
「王宮のお方・・・」
「大神官殿,我々は命にかえましてもファンタジア帝国のラミエル帝に『月の雫』をお返しいたします。もうこれ以上この国を秘宝の怒りに晒すわけにはいかぬ」
「それがよろしかろう。人が持ってはならぬ秘宝じゃ。本来あるべき所にお返しせねばこの怒りはおさまるまい」
「分かりました。大神官殿,どうか・・・どうか我々の成功を祈って下され」
「そうしよう」
マリネリ大神官は大臣達を見つめ,深く頷いた。
王宮に帰った大臣達は,王の怒りに触れるのを覚悟で『月の雫』を奪いに行った。国王はもうこの魔性のような妖しさを秘めた『月の雫』の虜になってしまっており,半狂乱になって大臣達を責めた。
「お前達,儂が誰か分かっておるのか,無礼者!!」
「陛下,もうこれ以上我が国の被害を広めるわけにはいかないのです。お許しを」
「何をするのじゃ,ええい,放さぬか」
「陛下,お許し下さい」
大臣達は国王を押さえつけると,胸にしっかり抱えていた『月の雫』を奪い取った。
「おのれ,お前ら」
大臣達は怒り狂う王を後にして,とにかく袋に入った月の聖帝の至宝をしっかり抱え,すぐに馬に飛び乗った。
半狂乱になって追いかけてくる王を振り払い,勇気ある騎士は馬に鞭打ってファンタジア帝国を目指した。
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