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このお話は・・・
森と湖の国ファンタジア帝国の少年帝は,実は宇宙を創世した天帝の12番目の息子にして運命の輪を廻す月の神の降臨した姿だった。彼をめぐる光と闇との戦いが今、始まろうとしていた。そして彼自身がもつ聖と魔性の両面性。果たしてこの世に月の聖帝は黄金の夜明けを告げるのかそれとも黄昏の時を告げるのか・・・・・。
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第5節 つかの間の安らぎ 第8話
「陛下」
「マリオ・・・私は幼少の頃より王子として何不自由なく暮らしてきました。そしてアシュラル帝からも皇帝となれば自分の思うがままの生活ができると常々言われ続けてきました」
「その通りでございます,陛下。我が国全ての者は人の子から大地,あり一匹にいたるまでみな陛下のものでございます。陛下の望まれる通りに全ての者がなりましょう。陛下にはそれだけの御力をおもちでございます」
「なのに・・・」
少年帝は哀しい瞳で遙か遠くにまで青く広がる海を眺めやる。
「陛下?」
「私はこのファンタジア帝国の皇帝で,ルナ王国の国王だから私の望むものは全て叶えられるはずでしょう?どうして・・・どうしてその皇帝たる者のただ自分の国にいたい,という願いが叶えられないのですか?」
「ラミエル陛下・・・」
「私は何も望まない。このファンタジアにいられるなら皇帝でなくてもいい。ただ一生を静かに,この森と湖に囲まれた自然豊かな国で過ごしたい。それだけなのになぜみんなは私を他の国へ行かせようとするのですか?」
月の君はやり切れない思いをマリオ最上大臣にぶつけた。彼が,いくら守り役と言えどこれほど自分の気持ちに素直に感情を言葉にするのは滅多にないことだった。
マリオ最上大臣は落ち着いた優しい眼差しでラミエル帝を見る。
「陛下はこの国の当主。正統なルーン皇家とルナ王家の血を受け継ぐ者。何にも恐れることはございません。この国は陛下の物ですからずっとおいでになればよいのですよ。御自分をしっかりおもちなさい。既に陛下はそう決めていらっしゃるのでしょう?」
「でも,私が20歳になったらクリスタリア神皇国へ行けとみんなが言います。そうしなければこの国どころか世界が滅びてしまうと・・・。この身体は月の神レイミール・ラ・ルネシス神に支配されてしまいます」
「御案じなさいますな,陛下。陛下はずっとずっとこの国におられる御方です。月の神様なんか放っておかれませ。この私が陛下をお守りいたします。この命に替えましても・・・・・」
「マリオ・・・」
「陛下にはその権利がおありになるのですよ。周りの者の言うことなど捨ておかれませ。陛下が20歳になられる日にどこにおいでになろうと陛下の勝手でございます」
ラミエル帝は,その言葉にマリオ最上大臣の方に体を向ける。
「でも,このままでは私は魔性となってこの世を滅ぼしてしまうかもしれません。月のサークレットがなければ私は魔性となってしまいます。この5つの聖石も不要なのにこの首からはずすことができません」
「大丈夫,魔性の月神様もこの国をとても愛して下さり,一生懸命陛下のように政務もされておりましたよ。聖石もたとえあと2つが揃おうと持ち主がしっかりと強い心をもっていればそれでよいのです」
「本当に・・・私はずっとこの国にいていいのですか?20歳過ぎても?」
「もちろんです。私がついていますから大丈夫だと申し上げたはず」
ラミエル帝はその時,コップを持ったまま嬉しそうに笑った。冷静沈着なこの天下のラミエル・デ・ルーン帝をここまで不安にさせるとは・・・。月の神の恐ろしさをマリオ最上大臣は感じていた。そして目の前の少年帝を見ながら本当に命を捨てることになっても,この皇帝を守ろうと改めて心に誓ったのだった。
「マリオ・・・私はこの都に来て良かったと思っています。一度・・・どこまでも広がる海を見てみたかった」
「それは良かったですね,陛下」
月の君は,またふと哀しい表情に戻って遠くまで広がる海を見る。
静かな時間が流れていく。
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最初から読みたい方はこちらのFC2小説で読んで下さるとありがたいです。
ただ今第三章まで掲載しています。しおりもはさめて普通の本のように読めますのでどうぞゆっくりまったり自分のペースで読んで下さいね^^。
徐々に更新していきますので一緒にある国の世界を冒険しましょう。
「ある国の物語」
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第5節 つかの間の安らぎ 第8話
「陛下」
「マリオ・・・私は幼少の頃より王子として何不自由なく暮らしてきました。そしてアシュラル帝からも皇帝となれば自分の思うがままの生活ができると常々言われ続けてきました」
「その通りでございます,陛下。我が国全ての者は人の子から大地,あり一匹にいたるまでみな陛下のものでございます。陛下の望まれる通りに全ての者がなりましょう。陛下にはそれだけの御力をおもちでございます」
「なのに・・・」
少年帝は哀しい瞳で遙か遠くにまで青く広がる海を眺めやる。
「陛下?」
「私はこのファンタジア帝国の皇帝で,ルナ王国の国王だから私の望むものは全て叶えられるはずでしょう?どうして・・・どうしてその皇帝たる者のただ自分の国にいたい,という願いが叶えられないのですか?」
「ラミエル陛下・・・」
「私は何も望まない。このファンタジアにいられるなら皇帝でなくてもいい。ただ一生を静かに,この森と湖に囲まれた自然豊かな国で過ごしたい。それだけなのになぜみんなは私を他の国へ行かせようとするのですか?」
月の君はやり切れない思いをマリオ最上大臣にぶつけた。彼が,いくら守り役と言えどこれほど自分の気持ちに素直に感情を言葉にするのは滅多にないことだった。
マリオ最上大臣は落ち着いた優しい眼差しでラミエル帝を見る。
「陛下はこの国の当主。正統なルーン皇家とルナ王家の血を受け継ぐ者。何にも恐れることはございません。この国は陛下の物ですからずっとおいでになればよいのですよ。御自分をしっかりおもちなさい。既に陛下はそう決めていらっしゃるのでしょう?」
「でも,私が20歳になったらクリスタリア神皇国へ行けとみんなが言います。そうしなければこの国どころか世界が滅びてしまうと・・・。この身体は月の神レイミール・ラ・ルネシス神に支配されてしまいます」
「御案じなさいますな,陛下。陛下はずっとずっとこの国におられる御方です。月の神様なんか放っておかれませ。この私が陛下をお守りいたします。この命に替えましても・・・・・」
「マリオ・・・」
「陛下にはその権利がおありになるのですよ。周りの者の言うことなど捨ておかれませ。陛下が20歳になられる日にどこにおいでになろうと陛下の勝手でございます」
ラミエル帝は,その言葉にマリオ最上大臣の方に体を向ける。
「でも,このままでは私は魔性となってこの世を滅ぼしてしまうかもしれません。月のサークレットがなければ私は魔性となってしまいます。この5つの聖石も不要なのにこの首からはずすことができません」
「大丈夫,魔性の月神様もこの国をとても愛して下さり,一生懸命陛下のように政務もされておりましたよ。聖石もたとえあと2つが揃おうと持ち主がしっかりと強い心をもっていればそれでよいのです」
「本当に・・・私はずっとこの国にいていいのですか?20歳過ぎても?」
「もちろんです。私がついていますから大丈夫だと申し上げたはず」
ラミエル帝はその時,コップを持ったまま嬉しそうに笑った。冷静沈着なこの天下のラミエル・デ・ルーン帝をここまで不安にさせるとは・・・。月の神の恐ろしさをマリオ最上大臣は感じていた。そして目の前の少年帝を見ながら本当に命を捨てることになっても,この皇帝を守ろうと改めて心に誓ったのだった。
「マリオ・・・私はこの都に来て良かったと思っています。一度・・・どこまでも広がる海を見てみたかった」
「それは良かったですね,陛下」
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