テルサのFantastic Stories

今まで書きためていたとりとめもない物語を少しずつ連載していきます。ファンタジー物が多いです。ぜひ読んでみて下さい。

2-13 「ある国の物語」 第六章 魔性の月

2012-06-25 02:00:54 | 「ある国の物語」 第六章
*************************

いつも応援ありがとうございます。ただ今,3つのランキングに参加しています。
よかったら下のところをポチッとクリックしていただけると嬉しいです。さあ,今日の順位はどうかな?さらなる応援をお願いします~^^。


にほんブログ村 小説ブログ ファンタジー小説へ

人気ブログランキングへ



****************************************************

このお話は・・・

森と湖の国ファンタジア帝国の少年帝は,実は宇宙を創世した天帝の12番目の息子にして運命の輪を廻す月の神の降臨した姿だった。彼をめぐる光と闇との戦いが今、始まろうとしていた。そして彼自身がもつ聖と魔性の両面性。果たしてこの世に月の聖帝は黄金の夜明けを告げるのかそれとも黄昏の時を告げるのか・・・・・。

*******************************************

第2節 魔性の月神降臨  第13話

「その人間は・・・私が愛した木々を,動物達を自分の都合の良いように切り倒し,殺すようになって生死を支配していた私の言葉すら聞かなくなった。私はその時,押さえきれない怒りと憎しみに心が煮え立ち,その心が伝わって世界は大嵐になってしまった。人間など滅びてしまえばよい。私の願いはただそれだけだった。私は月の神。水と生命と闇を支配する者。人間を全滅させることなどわけもないと思っていた。ところが,その願いがよりによって天帝に知れることとなり,私は月のサークレットによってその力の大部分を封じられてしまったのだ」
「あなたの力をも封じてしまうほど,月のサークレットは強力だったのですね」
「天帝も必死だったのだろう。天帝は自分の作った人間をそれはそれは愛していた。だから,破滅させようとする私の存在を危険と感じ,私自身を光と影に分けてしまったのだ。聖なる方は光。天帝の都合の良いような疑うことを知らないお人好しの者になった。自然とともに人間をも愛し,共存を願っていた。影なるは私。人間を憎んだために天帝の怒りに触れ,その頃生まれた私はそのまま聖なる方の心の片隅に閉じこめられて封印されてしまった」
「レイミール・ラ・ルネシス神様・・・・・」

 レイミール神からは先ほどのような恐ろしさは感じられなかった。マリウス皇子は月の神の語りに耳を傾け続けた。神の話から何か良い考えが浮かぶかもしれない。

「私は本来魔性に近い存在。負の力を強大にもっていて天帝の思い通りにはならなかった。天帝は私の負の力を無理矢理聖の方にかえて聖なる方に与え,それはそれは目の中に入れても痛くないほど愛し,可愛がるようになった。反対に私は疎まれ,月のサークレットによって半永久的に封印されることになった。今まで・・・・とても長い時間だったな。聖なる方はそれからは月の聖帝として多くの伝説を作り,黄金の夜明けを告げて人間に崇拝されるようになった。豊かな土地,人々の幸せな生活・・・・聖なる方は自然だけでなく,人々のそんな幸せな姿を見るのが好きだった。でも私は・・・・・それこそそれ以上の苦しみはなかったのだ。何もできぬまま聖なる方に勝手にされて何年も何年も・・・・・」

月の神の思いを感じとったのか辺りの雰囲気が怪しくなる。

*****************************************************
最初から読みたい方はこちらのFC2小説で読んで下さるとありがたいです。
徐々に更新していきますのでぜひ続きをお読み下さいね^^。


「ある国の物語」
*********************************
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

2-12 「ある国の物語」 第六章 魔性の月

2012-06-18 00:57:54 | 「ある国の物語」 第六章
*************************

いつも応援ありがとうございます。ただ今,3つのランキングに参加しています。
よかったら下のところをポチッとクリックしていただけると嬉しいです。さあ,今日の順位はどうかな?さらなる応援をお願いします~^^。


にほんブログ村 小説ブログ ファンタジー小説へ

人気ブログランキングへ



****************************************************

このお話は・・・

森と湖の国ファンタジア帝国の少年帝は,実は宇宙を創世した天帝の12番目の息子にして運命の輪を廻す月の神の降臨した姿だった。彼をめぐる光と闇との戦いが今、始まろうとしていた。そして彼自身がもつ聖と魔性の両面性。果たしてこの世に月の聖帝は黄金の夜明けを告げるのかそれとも黄昏の時を告げるのか・・・・・。

*******************************************

第2節 魔性の月神降臨  第12話

「俺を殺してみろ。お前は一生ラミエルから恨まれるぞ。俺達・・・そう,もう一人お前を封印した男とラミエルは親友だ。お前・・・ラミエルから恨まれて同一体になれると思っているのか?反対に抹消されてしまうぞ。それでもいいなら殺せよ。その代わりお前は必ずラミエルの復讐を受け,抹殺されるだろう」

 マリウス皇子は怖くて体全体が震えるのを必死で押さえながら悪態をつく。

「あいつの氷の壁を破れずしてどうやってあいつをモノにするつもりだ。反対に聖なる者の味方になってしまうぞ」

 レイミール・ラ・ルネシス神はそれを聞いて哀しそうな顔になる。こんな表情はラミエル帝もよく見せる。

 ふと呪縛が解かれ,大地の国の皇子は草むらに投げ出された。たとえ魔性のレイミール神でもラミエル帝に関する事は効果てきめんだ。今,聖・魔双方がラミエル帝を狙い奪い合っている。しかもラミエル帝の氷でできたように強い心の壁は決して他人の力では開けない。今,ラミエル帝の機嫌を損ねては彼は聖なる方につくかもしれない。

 レイミール神は暫く考えていたがクルッと向きを変えるとスタスタと皇子を放置したまま歩き出した。マリウス皇子は体をあちこち押さえながら起き上がると月の神を追いかけた。

「待って下さい,レイミール神。俺はあなたを苦しめるために来たんじゃないんだ。ラミエルのために教えて欲しい。なぜ,聖と魔性に分かれてしまったのかとかいろいろ・・・」

 マリウス皇子はレイミール神の前に回り込むと立ちはだかった。その月の神は皇子を見つめた。

「なぜそんなことを聞きたがる?聞いても仕方のないことだ。気が遠くなるぐらい昔の物語だからな」

 月神は冷たくはね返すとまた歩き出した。

「待ってくれよ。俺はただ・・・ただ・・・できるなら聖とか魔性とかじゃなくて本来の一つのあなたになって欲しくて・・・。だってあなたは魔性であっても悪ではないのでしょう?こんな不完全なまま目覚めたってあなたのためにならないよ。レイミール・ラ・ルネシス神・・・最も美しく気高い月神であったあなたに戻って欲しくて・・・・。きっとラミエルもそれを望んでいるはずだ」

 マリウス皇子はレイミール神に必死で呼びかけた。もう怖くはなかった。魔性といえど言わば神代のラミエルである。全く別の人格ではないのだ。レイミール神の見せる表情やしぐさなどラミエルそのものである。

「そう・・・私はもともと聖も魔性もなかった。でも私は月・・・姿を変え時を変えるように気ムラが激しい。天帝の作り出した人間も初めはとてもうれしかったのだ・・・・なのに・・・」

 レイミール神がふと視線を天に向けると,木々がザワッとざわめく。

*********************************
最初から読みたい方はこちらのFC2小説で読んで下さるとありがたいです。
徐々に更新していきますのでぜひ続きをお読み下さいね^^。


「ある国の物語」
*********************************
コメント (2)
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

2-11 「ある国の物語」 第六章 魔性の月

2012-06-11 01:08:37 | 「ある国の物語」 第六章
*************************

いつも応援ありがとうございます。ただ今,3つのランキングに参加しています。
よかったら下のところをポチッとクリックしていただけると嬉しいです。さあ,今日の順位はどうかな?さらなる応援をお願いします~^^。


にほんブログ村 小説ブログ ファンタジー小説へ

人気ブログランキングへ



****************************************************

このお話は・・・

森と湖の国ファンタジア帝国の少年帝は,実は宇宙を創世した天帝の12番目の息子にして運命の輪を廻す月の神の降臨した姿だった。彼をめぐる光と闇との戦いが今、始まろうとしていた。そして彼自身がもつ聖と魔性の両面性。果たしてこの世に月の聖帝は黄金の夜明けを告げるのかそれとも黄昏の時を告げるのか・・・・・。

*******************************************

第2節 魔性の月神降臨  第11話

「お前・・・無事だったのか。良かったあ,もうどうなることかと思ったよ。それよりさ,何呑気に散歩なんかしてるんだよ。今のうちに逃げようぜ。天照教の奴ら,どうしたことかすっかり無警戒になっちゃってさ,ご覧の通りに逃げ出すのもすいすいだったよ」

 マリウス皇子は自慢げに目の前の美しい人間に言った。しかし,その少年は背筋がゾッとするぐらい妖しく,冷たく,突き刺すような瞳で皇子を見た。

「ラミエル?」

 様子がおかしいのに気付く。この表情は紛れもなくアシュラル前帝の七の年と月の法要の時に見た魔性の月神である。彼の頭からサークレットがはずされている。ま・・・まさか・・・・。

「お前のことは覚えている。せっかく外に出られた私をまた闇の奥に突き落とした男の手伝いをした奴だな」

 マリウス皇子がその言葉にハッとした瞬間,自分の首の付け根にはもう剣が突きつけられていた。

「許さぬぞ。お前の方から飛び込んでくるとは好都合。今,この場で刺し殺してもいいが・・・・」

 そう言って魔性の月神はふと剣を降ろした。

「人間の身体でどれほどの力が使えるか試してみるのも悪くはない。お前はその実験台だ。お前はラミエルに近付き過ぎたのだ。その不運を嘆くがいい」

 レイミール神は冷たく言い放つとふと右手を差し出し,手の拳を上に向けてそっと開いた。すると青白い光の球が渦巻きながら浮かんでいる。マリウス皇子は身の危険を感じて逃げ出した。レイミール神は暫くそれを楽しむように眺めていたが,彼めがけてその光球を放った。それはマリウス皇子の左腕をかすめた。ジュッと音がして服の袖が焼けこげ,針で突き刺したような鋭い痛みが腕に走った。

「殺される・・・・」

 大地の皇子は本気でそう思った。レイミール神は本気だ。マリウス皇子は左腕を押さえつつ走って逃げる。腕はひりひりと痛み,赤く腫れ上がっている。かすめてそれなら,まともに受けたのではたまったものではない。必死で足を動かして逃げようとするが,レイミール神に呪縛をかけられてしまい,体中締め上げられたようになって,地面に倒れ込んだ。ぐいぐい締め付けられて息すらできない。魔の月帝レイミール神のほんのお遊びの力がこれである。本気を出したらとてつもなく恐ろしいことになることは容易に想像がつく。

「動けまい,愚かな人間め。首の骨をへし折ってやろうか,それとも一つ一つ臓器を潰してやろうか。どれも簡単だぞ。指を少し動かせばそれですむ」

 この上もなく美しい顔でレイミール神は言った。一目見たら我を忘れ,引き込まれてしまうような美しさでマリウス皇子もその美貌に圧倒されていた。が,何と言っても自分の命がかかっている。マリウス皇子はレイミール神を真っ直ぐに見た。

 
*********************************
最初から読みたい方はこちらのFC2小説で読んで下さるとありがたいです。
徐々に更新していきますのでぜひ続きをお読み下さいね^^。


「ある国の物語」
*********************************
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする