横浜の弁護士(元社会保険労務士)寺岡幸吉のブログ

私の事務所のホームページはこちらです

久しぶりの「いもや」

2008年12月21日 | Weblog
急に思いついて、このブログを立ち上げることにした。以前、社会保険労務士(社労士)を開業して間もない頃には、Webで日々雑感的な文章を書いていたこともあったが、それも仕事が忙しくなるにつれてだんだん書かなくなり、開業5年目ぐらいにはページ自体を削除してしまった。

このブログがいつまで続くのかはわからないが、今はとにかく、自分の気持ちのまま雑文を書いてみたいと思う。

昨日は、母校の明治大学法科大学院で保険法制定を記念したシンポジウムが開かれたので、これに参加してきた。といっても、主な目的はシンポジウムの中身ではなく、恩師である青山善充先生(明治大学法科大学院長)が挨拶をされることになっていたので、もしかしたらお会いできるのではないかと思ったのと、久しぶりに「いもや」に行きたいと思ったからだった。

11時20分頃、「いもや」の前に並ぶ。既に先客(中年の男女)が並んでいた。この店は、私がロー生時代に週2回は必ず通っていた店だ。「いもや」は神保町周辺に何軒もあり、業種も天丼の専門店、天ぷらの専門店、とんかつの専門店の3種類あるが、私が通っていたのは天ぷらの専門店。神保町の交差点から白山通りを水道橋方向に少し歩き、通りから右側に少し入った、おじさんとおばさんが二人でやっている店だ。

ほかの「いもや」では、味噌汁はほぼ例外なくシジミの味噌汁なのだが、この店の味噌汁は豆腐とわかめがたっぷり入ったものだ。シジミの味噌汁は天ぷらの油をさっぱり流してくれる感じがして、それはそれで好きなのだが、私はそれ以上にこの店の味噌汁が好きだ。

11時30分を少し過ぎ、私の後ろにも6~7人並んだ頃、おじさんがのれんを持って店から出てきた。店に入ってカウンターに座り、天ぷら定食と追加でレンコンと牡蛎を注文する。レンコンは食感が好きで、よく注文したものだ。また、この店の牡蛎はちょうどいい具合に火が通っていて、寒くなると早くメニューに載らないかと思って心待ちにしていたものだ。

おじさんは、客が次々と出す注文を無愛想な顔で聞き、おもむろに天ぷらを揚げ始める。メモは一切とらないのに、数分後には注文したものを間違うことなく差し出してくれるのは、全く変わっていない。

私が注文したとき、私を見たおじさんの無愛想な表情がちょっと変化したように思った。久しぶりにカウンターに座った私のことを思い出してくれたのかもしれない。私の胸の弁護士バッジを見て、通っていた頃にはカウンターでよく条文を読んでいたことを思い出してくれたとしたら、久しぶりにこの店を訪れた目的は完全に果たされたことになる。もしかしたおじさんが気づいてくれるかもしれないと思って、わざわざ弁護士バッジをつけてきたのだから…。

この店では、みんな黙々と天ぷらを食べる。おじさんはいつも無愛想な顔をしていて、客と話をすることはほとんどない。私もおじさんと話をしたことはない。だから、「弁護士になったよ。」などと話しかけるつもりはなかった。

出てきた天ぷらは、相変わらずうまかった。神保町周辺の天ぷら屋といえば、値段の点で「いもや」と対極に立つ「山の上」がある。ロー生時代、「山の上」にも行ったことがある。確かにうまかった。しかし、どちらを選ぶかと言われたら、私は迷わずこの「いもや」を選ぶ。「山の上」に1回行くお金で20数回通えるし、また何より「山の上」には、この無愛想な表情の愛すべきおじさんはいない。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。