天乃のされど愛しき世界

愛猫がにゃあと鳴いてくれて、
紅茶がおいしくて・・・。
そんな幸せ忘れずに生きまっしょい。

日航機123便・飯塚訓さん著「墜落遺体」

2005年08月12日 19時19分41秒 | 映画・本
尊敬するマンガ家、なるしまゆり先生の勧めで買った
日航機墜落の犠牲者の身元確認の責任者、
飯塚訓さんが書かれたノンフィクション作品

「墜落遺体」・講談社

これは、あの墜落事故の犠牲者の方々の全遺体の身元が確認されるまでの
127日間を書いた本です。
損傷が激しく、人の形を留めない遺体たちを、
さまざまな思いを胸に、愛する家族の元に返してあげるべく、
不眠不休で、何百の棺の間で突如、医師が踊りだしたりする極限の中、
127日、ほとんど眠りもせず、全ての遺体を家族の元に返した
人たちの姿が書かれています。

そして、遺族の方々の慟哭も・・・・。

こういうことを、知っている人がもっともっといたなら、
きっと、今、起こっている日航機の部品脱落などのミスも
もっと減ったでしょうに・・・。

墜落という事実が、どんなに筆舌に尽くしがたい
地獄を生むか・・・。
その恐ろしさを本でだけでも知っていれば・・。


だからこそ、私は「知らない」ということを恐れるのです。

軽いミスは20続けば飛行機は落ちると言われています。






520人の方が亡くなった、凄惨な事故とは知っていましたが、
この本を読んで、まるで認識が甘かったことを知りました。

マンガやアニメ、ネットやニュースでみる、大勢の死・・。
それは、現実とは比べ物にならない。どんなに表現しても。

それは、醜く哀しく、人間は「肉」であると思わされ、
そして、その「肉」は愛する肉親の前で「父」になり
「母」になり、「子供」となり・・。

心こそ、醜いものを美しく変え、そして、醜いものの中で光になると
感じました。

現実の死を知らないで、アニメやマンガ、ネットやニュースだけの
「死」を「死」として認識しては、
恐ろしいことになると思います。

極限状態での、現実の人間の生と死の色を、
思い知らされる本でした。



あの肉魁を家族に変える、人の心に、
まだ、この世も人も救いがあるのではと感じました。

あの人たちは、この世界に生きている、現実の人たちなのですから。
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