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燻製作業:続(山里のグルメ、ジビエ)

2009-03-15 11:11:21 | 日記・エッセイ・コラム
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翌日、犬のフィラリア検査の為、朝一番「轆轤の行」を早々に切り上げ動物病院へ、午前中ついでついでと買い物などをしていると瞬く間に時間が過ぎ、山の上の作業場に着いたのは大いに昼をまわっていた。

ここ数日、冬の名残りの残骸を片付けているとはいえ、まだまだ雑然とした作業場をつっ切り奥の窯場へ直行、相当この煙病は進行しているのだ。赤いデジタルの温度計の表示1℃とある怪しい2~3℃表示が低すぎる様だ。この熱電対温度計はかなり正確なのだが、1000℃、1200℃あたりの高温域を基準に設計されているのか、あるいは使用する前に常温の設定等という作業をしなければならないのか、忘れてしまったが、2~3℃、4~5℃という範囲、ズレなど気にする様な精神は、遥かかなた乗り越えてきた。こういう小さな数字にオロオロするのは焼き物の本質をわきまえないど青い脳ミソの輩(ヤカラ)なのだ。
何はともあれ物の現状がどうなのか、それが大切なのだ。少しの期待、不安、思い切って上段燻煙室の扉を開けると、少し開いた小さな隙間から少し酸っぱいが、かぐわしい焚火の匂いが鼻腔に飛び込んできた。薄暗い空間に目をこらすと少し黄色味を帯びた猪のそれが鉄を特別多く含む鹿肉の方は流石に黒く変色していた、肉の小塊上部に浅くくい込ませた釣り針状のステンの針金を注意深く鉄筋からはずし、手に取る、うーむ、鹿肉の方は少しグニャリとした感覚が残る、猪肉の方はもともと肉質がそうなのか固くしっかりしている様だ。煙加減は、…真っ白だった脂身の肌は、桜煙の魔法にかかり、使い込まれた象牙色艶肌に変身していた、はっきりとした理屈はないが、感覚、第六感が不満と囁く、もう一歩ということか、再度2つの小塊を元の位置に戻し、600Wのヒーターに電源を接続、前日の作業のせいもあり今回、多少余裕の感、一度でも体験するという事は大進歩なのだ。気楽に他の作業に取り掛かる。陽が落ち2時間も過ぎた頃、赤いデジタルが71℃を示す。
最後に入れた木片もアルミ箔の中で完全に炭化したのか、煙もほぼ出なくなった。一応の決断、ヒーターの電源を切る。

翌日魔法の箱を開くと心なしか内側に貼った耐火ボードが前日より濃さを増していた。鼻腔をつく焚火の匂いもつよく感じるのは気のせいだろうか、昨日、取り出した同じ鹿肉に手を掛けると前日のやや「グニャリ感」は既になく、かなり表面のしっかりした感触が伝わってきた。大合格というところか、同じく猪肉も取り出すと前日の「マヨネーズ色」は茶の要素を増し表面は、悩ましい小麦色にも似た熟女の夏肌に変わっていた。  《頭目こと井原義雄》

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《写真:名残雪/2009.3.14》


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