7月5日(日)午前6時 ―
神戸のホテルにて、40RF は目を覚ます。
ジャパンツアーROUND3。
関西大会の2日目がいよいよスタートする。
昨夜熟睡したことで、昨日からの体調不良は確実に復活した。
身支度を整え、ホテルのチェックアウトを済ませた後、一行は今日も朝から潮芦屋浜へ。
今日から決勝トーナメント。昨日とは違い、どの試合も1回負ければそれで終わり。
後になるにつれ、それぞれのゲームの緊張感も一気に増す。
今日の 40RF は、第1コートを担当。
同じコートには、朝から少しでも日光を体に取り入れようとする Kom の姿が!
この男に“紫外線対策”という言葉は、不要のようだ。
午前8時 ―
いよいよ第1試合が始まろうとする時に、第1コートではちょっとした事件が起こる。
「あれ? Aヒサ さん、どこ行きました?」
同じ第1コートの S介 が尋ねる。すでにその巨漢からは、汗が光っている。
「ついさっき、電話を持ってどっか行ったぞ…。」
今日より関西大会に合流した T野 氏が答える。
「あいつ、山側(サイドレフリー)だぞ。何やってんだ…!?」
思わず 40RF は声を荒げる。
そういうわけで、急遽レフリーは4人廻しでスタートすることになる。
しかし、棄権するチームなどが多く出て、運よく全員が適度な休憩を挟みながらのレフリー廻しとなった。
「このコート、ちょっとは試合してるんですか~?」
休憩している4人に背後から嫌味を浴びせたのは、第2コートの山側レフリーをしていた J平 だった。
ふと第2コートに目をやると、そこでは中部チーム
『日本海』 のB-1トーナメント1回戦が始まっていた。
『日本海』は無難に勝ち上がり、出足のいいスタートを切った。・・・まさか、このチームが今大会の“台風の目”になろうとは。。。
― 実はこの頃、大会実行委員会では急遽2日目の組合せを変更するという事態に対応を余儀なくされていた。Aヒサ は、チームへの連絡または問い合わせに必死であったのだ。関西大会は実行委員会のメンバーが少ないゆえ、こういうアクシデントの時に、本当に大変である。。。
Aヒサ、お疲れ様でした…。
しばらくして、40RFは第3コートが何やらにぎわっていることに気付いた。そこではなんと
『虎三』 と
『マジックマッシュ』 の試合が!
実はこれも、B-1トーナメントの1回戦の試合。
観客を魅了するハードゲームも前後半を終え、4対4 のドロー。
関西大会の規定により、マッチポイント方式・・・つまり、3対2のエキストラゲームを行う。
最後の最後に、『虎三』 が 『マジックマッシュ』 の攻撃を止めて、ベスト8進出を果たした。
11時 ―
レディースチームも姿を見せる。
何といっても、注目は
『Sample』!
東海・白浜の2大会レディースを制覇し、圧倒的な強さを見せているこの新生チームが、関西で
3冠 を目指す。
さて、レディース1回戦では、中部から
『ズーズーシーズ』 が参戦!
対戦相手の
『ぐっちょぐっち』 と熱戦を繰り広げ、0対0 のドロー。
残念ながら、延長エキストラで涙を飲む結果となる。この悔しさは、ぜひ中部大会で!!
いよいよメインコートに
『team ZERO』 が登場!
準々決勝で
『虎三』 と対決。
地元関西で大暴れしたかった『team ZERO』であったが、『虎三』のタイトなディフェンスに終始流れを掴めず、惜敗。。。
同じく準々決勝、
『DENKO MAC』 vs
『如水庵』。
こちらも白熱したゲーム、0対0 のドロー。延長エキストラで、『DENKO MAC』が関西の意地を見せて競り勝った。
午後2時 ―
大会も終盤になり、緊迫感あふれるゲームが続く。
ここまで順調にベスト4へ進出した
『日本海』。いよいよ対戦相手は全国区の
『ユニコーンズ組合』。
俄然 『ユニコーンズ組合』 が有利と思われた前評判をくつがえし、終始集中力を切らさず、見事ガップリ四つに戦う 『日本海』 。
結果は、4対3 で 『ユニコーンズ組合』 が辛勝。
2007年度全国王者チームをあと一歩のところまで追い詰めながら、届かなかった。
この試合の海側レフリーを終えた 40RF は、チーム『日本海』監督の U 氏にそっと声を掛けた。
「惜しかったですね。ナイスゲームでした。」
「“ナイスゲーム”ではイカンのやわ~。勝たなアカンのや…。」
U 氏の顔から悔しさがにじみ出ている。
40RF は思った。
確かに U 氏の言う通り。惜しかろうが負けには違いないのだ。
全国レベルのチームに勝ち切るには、この1点の違いは予想以上に大きい意味がある…。
勝負とはそんなものだ。
そんな中、
『B-DASH』 が見事、
B2トーナメントを優勝!!
今後の中部大会での活躍にも目が離せなくなってきた。
16時 ―
レディース決勝、
『Sample』 vs 『BUSAIKU』。
ちなみに今回の 『sample』 は6人! 相変わらずの厳しいフトコロ事情!
前半、早い時間帯であっさりと 『BUSAIKU』 が先制。すぐさま追いかけたい 『Sample』 だったが、今回の 『Sample』 は今一つプレイにキレがなかった。
連続する試合の疲れからか、『Sample』 の足が止まったところを『BUSAIKU』 が逃さず、後半に1タッチインを決めて決着。
『BUSAIKU』 が 『Sample』 のシーズン3連覇を阻止して、見事レディース優勝となった。
さて、いよいよ
B-1プレミアムトーナメント 決勝戦。
ここまで勝ち残ったのは・・・、
昨年、一昨年と、この関西大会決勝戦のコートに立ちながら、二度とも苦杯を舐めさせられ、準優勝に甘んじてきた
『ユニコーンズ組合』。
今度こそと、初の地方大会優勝を賭けて、三度決勝のコートに立つ ―。
かたや、こちらも関東から
『虎三』。
ここまで、『マジックマッシュ』、『ZERO』、『DENKO MAC』と、関西3強チームを全て倒しての決勝進出は圧巻。チームとしての仕上がり具合は、ほぼ完璧な状態に近いといってもよい。
両チームとも、気合十分の中で試合開始のフォーンは鳴らされた。
お互いに緩急を織り交ぜながら縦横無尽にボールを展開させ、決勝戦にふさわしい攻防を見せる。
決勝戦のメインレフリーは、 Aヒサ 。
この2日間の大会をしっかり締めくくろうと、集中した適確なレフリング。走る、走る ― 。
お互い一歩も譲らず、0対0 のまま、時間だけが過ぎてゆく。
後半、両チームとも熱いプレイが続く中、『ユニコーンズ組合』 に負傷者が出る。
コート脇で観戦していた J平 の対応、この時ばかりは早かった。
こういう逆境な時にこそ力を発揮するのが、『ユニコーンズ組合』。
ゲームはついに延長戦に突入 ―。
気持ちを前面に押し出し、一丸となってボールを前へ運ぶ。
そして、念願のVタッチインへ ―。
まさに、劇的な幕切れ。念願の関西大会、初優勝! 輪になって喜ぶ 『ユニコーンズ組合』。
2日間にわたる熱い戦いは終わった。
中部レフリー陣は、荷物をまとめ帰り支度をしていると、関西大会スタッフの女の子たちがさわやかに送り出してくれた。
「お疲れさまでした~!」
19時 ―
帰路へと向かう M本 の車は、舞鶴自動車道を走っていた。
相変わらず、M本 の独唱は続いていた。
40RFは、今回の関西大会を静かに振り返っていた。
『CHANGE』―
大事なことは、ただ“変わる”ということではない。“進化”していくということ。
熱いビーチフットボーラーたち、そしてそれを支えるスタッフ、大会実行委員会・・・。
全てが、まだまだ発展途上。そして確実に“進化”しているのだ。
(次は、オレたちの番だ!)
40RF は静かに力を込めた。
次は、いよいよ
ROUND4。
中部大会の開幕 である。
青い海、白い砂浜 ―、
そのステージさえあれば、いつだってどこだって、人を魅了させる感動のドラマが待っているのだから。
(終わり)