流体機械設計による近未来に役立つエンジニアリング

流体機械設計をベースとして近未来に役立つエンジニアリングを行う株式会社ターボブレードの社長 林 正基の毎日の活動

ロケットターボポンプの軸流タービンを考える

2018年04月29日 | 宇宙航空産業機械

液体ロケット用ターボポンプのポンプを駆動する軸流タービン動翼について考えてみました。

次写真は軸流タービンの構造について考える場合の弊社事例となる、蒸気タービン用直径480mmの割と大きめの反動型軸流タービン動翼の設計・製作・組立時の写真です。

液体ロケット用ターボポンプの軸流タービンはもっと直径が小さくて、衝動型軸流タービンとなりますので、今回のこれは軸流タービンのシュラウドとその構造について考える場合の事例です。

この軸流タービンは素材がステンレスで出来ており、軸流タービンでも低圧型となる反動式翼型を持っています。

反動式軸流タービンは全ての動翼部に均一に充満した気体が流れ込むため、動翼羽根の外周部から気体が出口にすり抜けないように羽根外周部にシュラウドと呼ばれる覆いが付いています。

動翼一枚一枚は分離構造であり、正確に5軸加工された多数の動翼ブレードピースをボルトで主板に組付ける複雑な構造となっています。

ひとつひとつの動翼ブレードピースが次の写真ですが、動翼全体を外周で覆うシュラウドは動翼ブレードピースと一緒に削り出されていて、これが外周部の気体の出口への漏洩を防ぎ軸流タービン効率を高いものとします。

動翼ピースのブレード翼型は反動式であることと低圧側での使用となるので減圧比が大きくなく、翼型はボスからシュラウド全体で転向角の少ない損失が少なく効率の高い形状となっています。

ひとつひとつが5軸加工削り出しで正確な寸法に作られた動翼ブレードピースは、主板への組み合わせ時にほとんど修正も無くきっちりとボルトで組み立てられます。

今後設計する液体ロケットエンジン用ポンプ駆動軸流タービンは、反動式ではなく衝動式を選ぶことで定格回転数をなるべく低くしての出来る限りの高効率を狙いますが、作り方も一体削り出しブリスク方式や精密鋳造仕上げ方式、この事例のような分離型動翼ピース組立方式など色々な方式を選べ性能に一長一短があり、製作方式により製作金額も大きく変わることとなるので、性能を満たししかも金額も安い製作方式を設計時に選定する必要があります。

<今日の流れ>

今日は自宅で早朝からMOMO2号機の打ち上げを待っていましたが、明日以降に延期となったので、益々成功してほしい気持ちが強くなっています。