軸流単段衝動タービンの実験を行った時の写真です。
タービンに作用するガスは圧力が4Mpa(40気圧)ほどの高圧ガスであり、写真内の右側からタービン中心軸に入る配管がタービン入口配管となります。
タービン中心軸から入った高圧ガスは円錐形に広がりながら全周流入のノズル静翼を通ってタービン動翼を定格回転数毎分4万回転(40000rpm)にて回転させます。
タービン動翼が回転する動力は並行軸多段減速機にて減速されて、この実験の場合はタービン動力を吸収する発電機を回します。
タービン動翼を出たガスは排気ケーシング部で集まり、写真右下の斜め下に向かっている排気配管に入り次の装置に送られます。
この単段衝動タービンの実験結果は、断熱効率が70%ほどでしたので、まだ性能改善の余地があり、断熱効率80%ぐらいには羽根部設計の変更で上げられる可能性があります。
タービンに作用するガスはほとんど漏れることが許さなれかった危険ガスだったので、軸シールには気を使い、ダブルメカニカルシールとラビリンスシールの2重として漏れたガスは排気する構造に設計しました。
タービン主軸は細かったためメカニカルシールの周速限界内で使うことが出来ていたのですが、ダブルシールの抵抗は大きくなり、機械効率をかなり低下させていたと思われ、それも断熱効率の値が少し低かった原因になっていると思われます。
もう一つの効率が低い原因として考えられることは、タービン動翼にシュラウドが無く、ノズル静翼からの超音速流れガスが動翼外周の外を通っている割合が多いからだと流体解析シミュレーション結果でも捉えています。
それは、ノズル静翼から噴射されるガスは噴き出し方向が円周方向だと、それの軌跡を見れば動翼チップ方向にそのまま流れていることとなりますので、シュラウドがないとどうしても動翼外周隙間を羽根に作用せず流れるガスが多くなりますので、動翼にガスが作用せず効率が落ちます。
この静翼からの噴射ガスの方向をノズル設計時に少し円周方向よりも半径方向内向きに設計すると、シュラウドが無くてもガスが動翼に作用しやすくなるので効率が上がります。
効率は結局タービンの軸出力を決めますから、効率の低いタービンだと負荷が求める動力が出せなくなるので、予定効率となるように設計してそれを流体解析シミュレーション計算で確認しておくことは改良と実験の繰り返しを劇的に減らし有効です。
<今日の一日を振り返る>
今日は今後の会社の方針についていろいろと考えていました。
1)流体解析や構造解析などの解析のみを受注し易くする解析例の図や動画の資料作成、解析金額の目安提示と解析部ウエブページの改善 解析のみの受注を月に15ケースぐらいに増やす
2)ターボ機械開発設計の今後の受注状況の正確な推定 半年後までの各プロジェクト内容と受注金額の推定
3)空飛ぶ車設計の進展 一人乗り、電動、垂直離陸、水平揚力飛行、軽量構造、流体部高性能化、構造設計と解析の確立
4)ジェットエンジン設計の更なる進展 ロケットの補助などの実際に使われる可能性の高い最適な用途を決め、それに合ったジェットエンジン一式を設計
5)ロケットエンジン設計の確立 ターボポンプ、配管、燃焼器、ノズルなどロケットエンジン1式を設計と詳細な熱流体解析が出来る体制の確立 弊社独自の設計仕様による設計例の進行
6)ロケット機体設計と構造解析の確立 ロケット飛行時挙動の流体解析シミュレーションを利用した弊社得意な手法による把握と構造設計手法の学習、制御用の特性の計算、最終的な設計荷重と安全率の算出など
そんなことを考えていました。