暗がりから飛び出してきたドロウ、名前は「ナシーラ」だと言う。彼女は今回地上へと侵攻を企てているドロウ達とは敵同士に当たる関係であり、「敵の敵は味方」という理屈で協力を申し出て来たというわけだ。別に仲間にするわけでもない、寝首をかかれるのはゴメンだけど情報をくれるというのならば別に聞いておいても損は無かろう。
この先にドロウの前線基地、巨大な野営地があり多数のドロウとその手下の魔獣が駐屯しているという。まともにぶつかったのでは絶対に勝ち目はない。そこで、秘密の抜け道を教えるから背後に回りこみ、カタパルトを占拠して有利に事を運ぶべきだという提案だ。
あ、そう。別に疑う事もない。何しろ普通に考えればそれを信じてこちらが被るデメリットなど無いのだ。迷宮内での怪物同士の争いの裏づけともなる話ではないか(あ、あれはハラスターとドロウの争いかな)。ま、乗ってみるよ。
そこからいくらも行かないうちに広大なホール状の場所に出くわした・・地下世界でこの広さは確かに異様な印象を受ける。見張りのビホルダーをこっそりと始末してナシーラの指示通り裏手に回りこむ。
奇襲をかけたつもりであったが、それがまんまと成功したのにも関わらず、ドロウの圧倒的な人数にこちらは押され気味だ。特にドロウはもともと魔術の素質に優れた種族である、その中でも特に魔術に秀でる魔術師の攻撃呪文の威力と言ったら・・・司令官の魔術師にほぼタイマンに持ち込んでやられそうになった時にはどうしようかと思ったが・・・結局、配下のものはすべて倒したのだからと言う事で決着を放棄して逃げ出してしまった。勝てる気がしない・・・
しばらく進むとまた先ほどの女ドロウ、ナシーラが姿を見せた。どうやら信用していいらしい。彼女の話ではこの先に捕らえれたハラスターが拷問を受けているという。今度は仲間に入って手伝うというのだが・・・よし、そのナイスボデーに賭けた!
なるほど、洞窟の最奥部ではハラスターらしき人影がかなり強力な拷問を受けている。死んでしまわないうちに連中を片付けるのだ!
ナシーラの協力もあり、拷問官達を切り刻む事に成功した。先ほどの司令官みたいなヤツがいたらどうしようかと思ったが、こちらはやはり戦闘専用部隊ではないようでそれほどてこずることも無かった。さて、老人を介抱するか・・。
ハラスターとの会見。さすがは年齢数千歳・・・言葉遣いが古すぎて何を言ってるのか・・・まあ、要するにお礼を言われているようだが・・? あれ? 何者かがテレポートアウトしてくるぞ? 誰だ!?
ななな、ナニィーっ!? 現れたもう一人もハラスターだ! どうやらドロウ達を罠にはめるために自分のクローンを作り出し、囮としていたようなのだ。そして一網打尽にしようとしたときに我々が踏み込んだ・・と。こちらは助けようとしてやったのだがハラスターにしてみれば迷惑な話だったようで、お怒り気味。そして狂人特有の思い込みで、どうしてもこちらの釈明を聞こうとはしないのだ。しまいには
「相応しい場所へ送ってやる!」
と言う意味の詩のような台詞とともにこちらにテレポートの魔法を! うわっ、ちょっと間って・・・まだシャルウィンちゃんに別れの挨拶をしてないのにー!
テレポートで送られた先は・・・
なんと、ナシーラの本拠地! ここは今回の地上侵攻を指揮する「ヴァルシャレス」に反抗するレジスタンスの長「イーリス トレイイーの信者」リス・ミアサールがいた。彼女に説得され、そして地上を守るために共同戦線を張る事になった。といっても、人間は俺一人なのだが・・。
ナシーラはそのまま仲間として付き添ってくれる事になった。ドロウの世界だ、ドロウの有力者についててもらうのは心強い。
もう一人、男の案内人も選べたのだが・・・もちろん遠慮しておこう。
ヴァルシャレスに反抗して追われたもの達が寄り集まって出来た仮の町・・・ということであったのであまり期待していなかったが・・・! ドロウの魔法に関する技術は地上世界を遥かにしのぐレベルだった。鍛冶屋には武器に好みの魔法を付与してくれるというとんでもない男がいた。お値段もとんでもないが、これはゴールドそのものが炉にくべる燃料となるため仕方が無いのだという。
もともと魔法がかかっている我がエンセリック君にもかかるのか・・・?と心配したが、無事に強化終了。しかし、お金はほぼ全て使い切ってしまった。特に、持っているだけで無制限で「ヘイスト」がかかるというのには胸が躍った! この広大な地下世界で通常の移動速度を上げられることがどれほど助かる事か!
また、鍛冶屋には出来合いのマジックアイテムも多く売られていた。その中に、「二刀流」「両利き」の効果を発揮する魔法のグローブが! 早速購入して、逆手には手に入れたけど使えていなかった魔法のバスタードソードを装備、見よこの禍々しい姿・・・正義のために戦う鬼となったのだ、俺は!
地下世界での目的は一つ、それはヴァルシャレスとレジスタンスとの決戦に向けて、ヴァルシャレス陣営の同盟軍をあらかじめ切り崩しておくということ。「ゴーレム」「ビホルダー」「マインドフレイヤ」をなんとかするってことだ。
手始めに入った洞窟にはちょっとした規模の街があった。しかし何かがおかしい・・・住人たちが言うほどには自由ではないような印象を強く受けるのだが?
街の広場には何やら怪しげな銅鑼が置かれている。周りの雰囲気も儀式を行う場所のように思える。ちょっとためらったが試しに銅鑼をたたいてみることにする
ゴワワワ~ン・・・洞窟中に響き渡る音の波・・・すると、広場の上手にあった教会とも城ともつかない建物から、異常な殺気と冷気が流れ込んできた。どうやら・・・何かが出るようだ
続く・・・・