カウンセリング「エデン」のふんわりエッセイ

心理カウンセラーの目で世の中を鋭くとらえながら、ものごとの真実を探ります。

スポーツ指導者養成講座「基礎理論」について

2013年01月06日 | 空手

半日ばかりかけて、基礎理論について論文を書き上げました。

基礎理論について       

1 序論

 人は皆、病気とは無縁で健康な暮らしをしたいと願っている。そのためには運動と上手につきあっていくことが必要である。その出会いは、幼少期から始まる。だが、それを続けるためには必要な助言を与え、取り組む気持ちを温かく育んでいく環境が必要である。そのための指導者が今真に必要とされている。

 2 武道としての空手道

 世界には多くのスポーツがある。その中では、そのスポーツが発祥した国の人々の「ものの考え方」や「行動の仕方」が、そのスポーツの規則やマナーとして大切にされている。例えば、ラグビーでは試合終了をノーサイドと称し、試合が終われば敵も味方もないとする。これは、イギリス人の「ものの考え方」や「行動の仕方」の表れといえる。同様に、日本人の「ものの考え方」や「行動の仕方」が空手道にある。我々は、空手道の指導を単なるスポーツや競技としての枠組みでとらえるのではなく、人格形成をも含めた教育としての指導も含めて考えたい。

 

3 勝敗と礼 

 空手道では、組手の激しい攻防の後、まだ心理的に興奮が治まっていなくても、丁寧に礼を行わなければならない。自己を制御し、相手を尊重する態度を形に表すことが重要であり、それが人格の形成にとって重要な要素である。相手は、自分を高めてくれる尊い存在であり、その場の勝ち負けももちろんあるが、それ以上に自己内省をし、原因を分析し絶えず向上心を持って取り組み続けることが大切であろう。指導者として、根本的にこのような考えを持っていなければならない。いろんなスポーツで試合後にガッツポーズをする姿をよく見るが、空手道にどうしてもこれがそぐわない理由が、相手に対する礼を欠く行為であることと自分に対する傲りの表れになるからである。

 

4 空手道の歴史と社会体育

 空手道は、中国の「拳法」が沖縄に渡り、伝統的な武術と研究が加わり、日本固有の武術として発展した。空手道は、悪意を持った相手から身を護る自己防衛手段として発生している。(“空手に先手なし”という考え方がこれを示している。)そのルーツは、首里手、那覇手、泊手の三つの大きく分けられる。 現在は、大きく4つの流派に分けられる。

 

船越 義珍 (1868~1957) 首里手の先駆者、糸洲安垣(1832~1916)に師事。1922年沖縄より上京し、体育博覧会に空手を紹介。柔道の嘉納治五郎に講道館に招かれる。1939年 東京に道場「松濤館」を設立。

宮城 長順 (1888~1953) 那覇手の先駆者、東恩納寛量(1853~1915)に師事。1930年「剛柔流」を創設。 

摩文仁 賢和(1889~1952)14歳で首里手の先駆者、糸洲安垣(1832~1916)に師事、19歳で那覇手の先駆   者、東恩納寛量(1853~1915)に師事。両師の頭文字の「糸」「東」をとり「糸東流」と命名。1933年「糸東流」を創設。 

大塚 博紀 (1889~1982) 日本柔術と琉球空手を融和。神道楊心流柔術の免許皆伝、富名腰義珍に師事。1933年「和道流」を創設。 

このように各流派に分かれているものの、多くの関係者の継続的な努力によって、現在では世界に通用する競技として制定された。相手の動きを想定し基本的な動作と高度な技能で構成された「形」と、二人が相手の動きに応じて互いに自由に攻め合い、攻防の技能を競い合う「組手」がある。

 5 まとめ

 空手道は、性別・年齢を問わず個人の体力に応じて誰でも行うことができる。女性の間でも空手道を愛好する人々が急速に増え、競技人口が増加している。また、運動不足と精神面での弱さの補充から、空手道に親しむ人々もが多くなっている。さらに、一人でも、限られた狭い場所でも練習ができるため、多くの人にとって、生涯にわたって実践しやすい内容を持っていることも空手道の特性の一つとしてあげることができる。

 ただ、現在の少子高齢化社会においては、指導者も不足がちで、未来を担う子供たちの生涯体育の機会を著しく狭いものにしてしまう。そのためにも、指導に当たるものは文部大臣認定の「地域スポーツ指導者」の資格を取得し、真の空手道指導者としての認定を受けることは空手道競技発展のためにも、日本の生涯体育の推進のためにも大切なことだと思う。現在、中学校の体育授業で行われている武道教育が、空手道を取り入れ、青少年の人格形成に貢献できることを願っている。


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