カウンセリング「エデン」のふんわりエッセイ

心理カウンセラーの目で世の中を鋭くとらえながら、ものごとの真実を探ります。

インナーチャイルド

2016年11月01日 | 心理学

「インナーチャイルド」という言葉をご存知でしょうか。これは、子供時代の頃の記憶や心情、感傷が大人になってもずっと内在している事を指します。例えば、たまたま親が働いて忙しくてかまってもらえなかった子ども時代。本当は親が働いて忙しいのは、子供にいい生活をさせたいからなのですが、それを自分は愛されていないと勝手に思い込み、それがインプットされ拡大してしまうのです。

 下の事例をご覧ください。

子どもの頃、私は両親からああしなさい、こうしなさいと言われ続けてきました。父親は厳格な人で、私は親の所有物のような存在でした。何か言ったらおこられそうな気がして、私は自分の本心を押し殺して生きてきました。しだいに、人が怖いと思うようになり、周りの顔色を窺うようになったのです。現在も、まったく自分に自信が持てません。もし、他人と比べないで生きられたら、もし人からどう思われようと気にしないで生きられたら、どんなに楽に生きられるのだろうとよく考えます。

 

 この事例からは、本当の感情に無理やりフタをして、理不尽なことを受け入れてきたインナーチャイルドの姿が垣間見えます。親や周りの大人にどんな理不尽な事をされても、子供はそれらを受け入れることしかできません。なぜなら、それが子どもが生きていく唯一の方法だからです。悪い事をしていないのに「自分が悪いんだ」と認めることで解決したり、「言う事を聞いていれば私はかわいがってもらえる」と思い込んでしまったりしています。よくよく伺ってみると、実際には、このお父様は、娘のことが目に入れてもいたくないほどかわいいと思っていて、失敗や痛い思いをさせたくないとの理由から、このような子育てになってしまったのだそうです。つまり、父親の真の愛情に気づくことができなくて、ゆがんだ感情をずっと持ち続けていたのです。子ども時代のことなので、父親の行動の背景まで読み取ることはできなかったのですね。

 

 小さい時に思い込んでしまった一つ一つの小さな感情を、大人になった本人は覚えていません。でも、これらが、大人になった自分の思考や行動に多くの影響を与えています。インナーチャイルドはずっと覚えているのです。だから大人になった今でも、知らず知らずに自分を悪者にしたり、嫌だと言えずなんでも言う事を聞いたりしてしまって、「私ってどうしていつもこうなのだろう。」と感じてしまうのです。

 

おさらい

・インナーチャイルドとは、無意識に存在する子ども時代の深層心理。大人になってからは、必要のないものが多い。

・決めごとは潜在意識の領域に、思い込みは顕在意識の領域に存在する。決めごとは目に見えないが、思い込みは自分で気づけるもの。ただ、決めごとと思い込みの因果関係には気づきにくい。(ここにカウンセリングの意味がありますね。)



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