taraの日常

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2017春の観劇~パレード

2017-08-11 13:12:40 | 観劇
 「パレード」 6月3日 池袋東京芸術劇場プレイハウス
【キャスト】レオ・フランク:石丸幹二/ルシール・フランク:堀内敬子/ブリット・クレイグ:武田真治/トム・ワトソン:新納慎也/ニュート・リー:安崎求/ミセス・フェイガン:未来優希/フランキー・エップス:小野田龍之介/ジム・コンリー:坂元健児/ローン判事:藤木孝/ヒュー・ドーシー:石川禅/スレイトン知事:岡本健一

1913年の米国アトランタで実際に起きた冤罪事件である「レオ・フランク事件」を題材としたミュージカル。…暗い…重い…そして救いのないバッドエンド。でもなんか心に残る舞台でした。
平和ボケの現代日本にいる私には、南北戦争が今だ遺恨を残すこの時代のアメリカの人種差別の気運の本当のところはわからないのかもしれません。でも…自分より弱いもの劣ったものを探して攻撃することでしか自分の存在価値を確かめることができないって人間は確実に今の時代も存在するよね、悲しいことに。そして周囲の状況によって巧みに立ち位置を変えて自分を守る。いけにえを追いつめる人間の残酷さは…ある意味「パレード」の様にハイテンションで進むのであります。今回の舞台の豪華キャスト達は個々の「人間」をがっつり表現していました。個々の人間がリアルに表現されているからこそ、浮かび上がる時代の空気感。
舞台美術もなかなか良かったです。不吉な1本の巨木と降りしきる紙吹雪…どうやって片付けるのかしら?(←こんな深刻なお芝居でヴァンパイアを思い出してしまったわたくしを許して…)と思ったら、最後までそのままでお花畑になったり落ち葉になったり。狂ったように降りしきる紙吹雪はレオの、そして人間の運命を翻弄する集団狂気のうねりのようにも思えます。つらい舞台ではありましたが、秀逸でした。