それにしても、われわれは、やっかいなものを溜め込んでしまったものです。これらの施設を作るには、むつ市の施設の建設費をベースに計算すると、あわせて6000億円、100万年後まで保管するとなれば、いったい何回、施設を建て替え、核燃料を移し変えなければならないのでしょう。もし、将来にわたって、抜本的な解決策が見つからなければ、2万回も繰り返さなければなりません。6000億円の費用を2万回です。兆の単位を超える、天文学的な費用となります。
電力会社はあわせて19基の原発の再稼動を申請しています。島根の3号機はほぼ完成しており、大間原発も建設中です。もし、20基の原発を20年動かせば、使用済み核燃料は10000トン増えてしまいます。この天文学的な費用は1.5倍に膨らむのです。
使用済み核燃料を保管する乾式キャスクや施設の寿命は約50年とされています。50年後、新しい乾式キャスクに移し変える危険な作業は、いったいだれが行なうのでしょう。まだ生まれてもいない、未来の子どもたちです。この移し変えの作業が将来、安全に行なわれるような技術も開発していく必要があります。そして、50年後には、自分たちとはまったく関係のない、私たちが残してしまった、放射性廃棄物の保管先や処分方法を、未来の子どもたちは議論しなくてはならないのです。そして、その費用を払い続けなくてはならないのです。
もう、後戻りはできませんが、少なくともこの厄介な代物をこれ以上増やさないことが、私たちの責務です。
2014年7月19日 「脱原発四日市市民の集い」2014年度第3回原発シンポジウム 園田淳
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