田中正造に学ぶ会・東京

真の文明は山を荒らさず、川を荒らさず、村を破らず人を殺さざるべし!

私たちは過去の歴史から何を学び、どのような教訓を得たのか。

2014-05-10 08:57:45 | 歴史

▼3Dプリンターで銃を製作した男が銃刀法違反の疑いで
逮捕されたが、文明の急激な流れに渦巻く、
どす黒さが表出してきた感がある。
文明の発達と反比例するような人の劣化をみるにつけ
憂慮の息は長く尾を引く。
看過できないのは、容疑者が「銃を持つのは基本的人権」
であると世迷いごとを言っている事だ。
一緒に暮らしている父親も息子の言動や銃製作を
先刻承知と言うのだから、親たるもの同罪であるぞ!
馬鹿親奴!

▼東京新聞の夕刊紙に「紙つぶて」という日替わりで
ゲストが書くコラム欄があり、愛知淑徳大学長で歌人である
島田修三さんが「歴史の証人」のタイトルで筆を走らせている。

【現在、八十代半ばを超えた高齢世代は、認知症、介護、
かさむ年金や医療費といった
ネガティブな問題がらみで語られることが多い。
私の親の年齢に当るが、身をもって戦争を知る
世代であることは忘れてはならない。

その世代の知人がつい先日、長く病床に臥して亡くなった。
知人の語った、忘れられない話がある。
彼は学徒兵から士官候補生になり、
中国東北部(旧満州)に主計中尉として渡った。

やがてソ連軍侵攻の恐れが高まり、一部の幹部に
機密保持のため日本への帰還命令が出た。
帰還列車に乗った彼は、すれ違いに開拓団の子連れの
農民達を乗せた列車が奥地へと進むのを見た。
彼らは何も知らされていなかったのだ。
知人は怒りと悲しみで身体が震えたと言う。

私の父もフィリッピン戦線に従軍、
足を負傷したものの九死に一生を得た。
その父から、敗走するルソン島のジャングルで、
逃げ遅れた在留邦人の女性や子どもの凄惨な悲劇を幾度か聞いた。
指令系統を去って四散する兵士たちには
彼らを救う余裕がまったくなかったらしい。

国家は、まず守るべき弱い国民から見捨てるという事を、
私は父や知人からつぶさに教えられた。
いわば、この世代は国家と戦争と
国民の関係を知り尽くした歴史の証人なのだ。
歴史を知恵とするのは後続の私たちである】。

敗走から即座に浮かんだのは韓国セウォル号の乗客を見捨てた
乗組員の行動であったが、割を食うのは常に弱いものであり、
まして、こと戦となると年寄り、子ども、女性と
過酷な負荷が覆いかぶさる。
泣きを見るのもいつも弱者。
なにやら集団的自衛権と、かまびすしいが思い出すがいい、
私たちは過去の歴史から何を学び、どのような教訓を得たのか。