田中正造に学ぶ会・東京

真の文明は山を荒らさず、川を荒らさず、村を破らず人を殺さざるべし!

「繕う文化」

2015-08-28 12:00:53 | 社会
そろそろ8月も終盤となり、
2ヶ月綴りのカレンダーも残り二枚となってくる。
いやはや、なかなか暑い日が休まる事がない!
昨日の雨が上がったので上野まで用足しに出かけた。

赤羽から電車を待つのだが、
朝方の通勤時間帯には
次から次へと列車がホームに滑り込む。
発車したかと思うと、すぐさまやってくる。
この過酷なダイヤも勤勉な日本人ならのものであろうか。
上野から御徒町まで一駅を歩いたのだが、
ジリジリと陽の光にあぶられ、
これでは熱中症もむべなるかなと
秋の到来を心待ちする思い。
噴き出す汗をハンカチで拭いながら歩いていると、
ビル工事の為に道路案内をしているガードマンは
ヘルメットに長袖の制服を着込み、
その大多数の方は皺の深い高齢者が多く、
さも暑いであろうと思わず頭が下がる。

帰りの上野からの東北線の電車に腰をかけ
発車のベルを待っていると、24、5歳でありましょうか
男の子が乗り込んできた。
手には携帯電話とトート・バッグを持ち、
ジーンズのベルト辺りにはジャラジャラとした
銀色の鎖を垂らし、どっかりと椅子に腰掛けた。

ジーンズは、ところどころがホツレ、ひざこぞが覗いて見える。
ファッションであるといってしまえばそれまでであるのだろうが、
なんとも可笑しな話で、わざわざジーンズに穴を開けて、
それも何時洗濯をしたのだろうかと、
いぶかしむほどのジーンズが若い人に好まれている。
しかも、このジーンズ結構な値段のするものまであるそうな。

ビンテージ物などとあっては数十万円するものもあるようだ。
そのビンテージ・ジーンズを履いて、
おばあちゃんの家に行き、ズボンを履き替えて
外出した際に事情を知らぬお婆ちゃんが
洗濯をしてしまい、ご丁寧にも
破れた穴をつくろってしまったという話を聞いた事があった。
悲劇の横に喜劇が寝そべっていた。

昔年、上野アメヤ横町で貨物のパッキン材として輸入された
ブルー・ジーンズを買求めてはき続けた当方としては、
ブルージーンズに関しては事ほどに年期が入っており、
ビンテージ・ジーンズなぞ、なにするものぞと思っている!

物を大事にする。
物をいとしみ大切にする。
「繕う」のは文化ではなかろうか。
物がない時代なら兎も角、物が溢れかえっている世の中、
いまや、「繕う文化」などは風前の灯となり、
いまにも吹き消えそうな社会となっている。
荒涼たる荒野に風が吹きすさぶ思いすらするのだが・・・


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