多摩爺の「時のつれづれ(弥生の14)」
ポリティカル・コレクトネス
たぶん、20~30年ぐらい前からだったと思うが、
性別や人種、さらには民族、宗教などに基づいて、差別や偏見を防ぐことを目的として、
政治的、社会的に公正であり、
中立とされる言葉や表現を使用する「ポリティカル・コレクトネス」という活動が、
多民族国家であるアメリカで始まると・・・ 瞬く間に地球規模で広まり、今日に至っている。
そういった活動により、看護婦や看護士は看護師に変わり、
スチュワーデスはキャビンアテンダントに変わり、
カメラマンに至ってはフォトグラファーとなり、
極めつけは・・・ 障害者から害の文字が消え障がい者となった。
とっても良い取組みだと思うが・・・ 言葉の整理とは裏腹に、差別や偏見がなくなることはなく、
アメリカでは、昨年あれほどの「ブラックライブズマター」という、
とても大きな運動が起こったにも拘わらず、
最近ではアジア人を標的とした暴力が横行しているんだから、
「ポリティカル・コレクトネス」と直接的な関連性はないものの、
人種差別といった一点にフォーカスすれば、根っこにあるものは・・・ なんら変わっていない。
そして、そういった視点は、国際機関でもそうだし、
毎日情報を提供してくれている、国内外のメディアでもそうだから・・・ 何をかいわんやだろう。
昨今メディアを通して一般化してしまった・・・ ある言葉に注目してほしい。
昨年の2月だった、WHOは新型コロナウイルスの正式名称を、
「COVID(コビット)19」にすると発表したが、
変異ウイルスが蔓延している昨今、メディアや巷が云うのは「COVID19」ではなく、
イギリス型変異株や、ブラジル型変異株、南アフリカ型変異株などと、
ハッキリ、キッチリと本籍(中国)を伏せたまま、引っ越し前の前住所が飛び交っている。
偏見と差別をなくす言葉を使うんだったら・・・ なぜ、国名を伏せないのだ。
「中国ウイルス」を「COVID19」とするなら、
各国で変異した株は「COVID19-A型・B型・C型」として、
公正に中立を保つべきではなかろうか?
また、各国で変異した様々な株が存在することから、
検疫等の煩雑とミスを防ぐため、それができないなら、
形骸化してしまい、各国の人々が口にすることが無くなった「COVID19」の名称は、
もはや不要で、「中国ウイルス(イギリス・ブラジル・南アフリカなどの)変異株」と
すべきだと思うが・・・ いかがなもんだろうか?
WHOが「COVID19」と命名したことで、
発生源らしき国の、公正と中立(いわゆるメンツ)は保たれたが、
発生源から持ち込まれたウイルスが、突如として変異してしまったイギリスなどは、
もらい事故だったにも拘わらず、
いまとなっては、変異株の頭に国名を付けられ、各国に拡散してるかのような扱いを受けている。
これには、正直なところ・・・ いかがなものだろうかと思っている。
国際機関とメディアが、寄ってたかって・・・ 政治的と社会的の公正と中立を蔑ろにしている。
発生源と思しき国へ配慮したのか、それとも国際機関とメディアが、無知で無関心なのか、
それをハッキリさせてほしいと思うが・・・ 無理なんだろうか?
いまとなっては、世界の国家元首で唯一「中国ウイルス」と名指ししたのは、
アメリカの前大統領だけである。
個人的には、彼の政治手法は好まないが、そこんとこだけは共感できる。
20~30年を経て、すっかり定着した「ポリティカル・コレクトネス」という取り組みだが、
そこにパワー(経済力と軍事力)のある国が口を出し、
政治的な思惑をもって・・・ 意図的な圧力を掛けてくると、
国際機関なんて、名ばかりで直ぐに顔色を窺い始め、いとも簡単にコントロールされることを許し、
悲しいかな・・・ 組織のメンツはそっちのけで、驚くほどの無力感を演出してしまう。
「中国ウイルス」と呼ぶことが、正しいことだと思ってはいないが、
イギリス型変異株、ブラジル型変異株、南アフリカ型変異株と呼ぶことが、正しいとも思っていない。
被害者でもあるイギリス、ブラジル、南アフリカは、それどころじゃないのも分かるが、
そう呼ばれることに、プライドというものはないのか、「意地を見せろ!」と云いたいがどうだろう?
ブラジルや、南アフリカに頼むのは無理だと思うが、
かつての大英帝国(イギリス)には・・・ せめて、一肌ぐらい脱いでほしいものだ。
「ポリティカル・コレクトネス」が定着するには、多くの協調と相当の時間が必要となる。
それは理解してるが、せめて不満をアピールすることぐらいしなきゃ、
本家本元の思うツボではなかろうか?
追伸
最後に、追加というかオマケで、もう一つだけ述べておきたいことがある。
ある女優の体系を動物に例えて、蔑視したとして、
辞任を表明したオリンピック関係者がいたことは記憶に新しい。
発言そのものを庇うつもりは全くないが・・・ 一年も前のことで、素案の段階での発言であり、
その時点で、正しい判断を下せるメンバーの声によって、ボツになったプランである。
メンバーの同意で決着していたことが、一年を経ってから批判に晒され、
凶悪犯罪でもないのに、反省を受け入れられないなんて、
なんと息苦しい社会になったものだと思ってしまう。
一方で公共インフラを生業とする企業のCMで、最近人気の女性芸人に豚の格好をさせたものがある。
私から見れば、オリンピック関係者のボツになった素案と、
五十歩百歩(目くそ鼻くそでも良い。)だと思うが、
このCMが、痛烈な非難を浴びているといった話は聞こえてこない。
広告審査機構(JARO)という組織があるが・・・ 昼寝でもしてるのだろうか?
それとも「あれはあれ、これはこれ、それはそれ」で済まされる程度のことなんだろうか?
「JAROがあるじゃろ。」なんて、悠長なことを云ってる場合じゃないと思うが
いかがなもんだろうか?
爺さんの 気まぐれ、ごちゃまぜなブログに フォオロワー登録いただき 有難うございます。私も登録させていただきました。よろしくお願いします。
コメントを頂戴しありがとうございました。
個人的にはチャイナウイルスですが、コレラやエイズに対して、スペイン風邪もあるので
正直なところ、どうに呼んでも構わないと思ってますが、統一すべきだと思っています。
いまのままじゃ本家本元のメンツは守られたが、被害を受けた他国のメンツが潰されており、
それはないんじゃないかと思っています。
フォローしていただきありがとうございました。
貴兄の川柳に対する着眼点と思いに感服しました。
今後とも宜しくお願いいたします。