鬼に笑われちゃう。

多摩爺の「時のつれづれ（長月の１８）」
鬼に笑われちゃう。

日曜の夕方、そろそろ風呂に入ろうかなと思い、バスルームに向かおうとした矢先
突然、玄関の扉が開いた。

息子が孫二人と一緒に、紙袋を大事に持って入ってくると、
「１週間早いけど、もうじき敬老の日だから、シャインマスカットを買ってきた。」と言い、
紙袋を差し出し、「田舎の婆ちゃんにも送っといたから・・・　。」と続けた。

女房曰く、そんなに気が利く子供じゃなかったのに、
最近では・・・　気遣いができる、優しい子になったと喜んでいた。

３７歳で結婚してから、既に５年が経ち、共働きで二人の子供を一生懸命に育てており、
変われば変わるというか・・・　随分と大人になってきたと思うことも、最近では増えてきている。
家庭を持ち、人の親になると、あまりに近くに居すぎて、気にもならなかった親のことが、
いまでは何気に気になるというから・・・　ありがたいというか、嬉しくもある。

それもこれも、嫁のお陰だと感謝している。
我が道を行く、超マイペースだった息子を、家庭的な大人の男に、じわりと変貌させたのだから、
嫁の巧みな手綱さばきは・・・　アッパレもアッパレ、大アッパレといって良いだろう。

とはいえ・・・　いただき物にケチを付けるようで大変申し訳ないが、一つだけ言わせてもらうと、
私も女房も、ことブドウに関しては、
種なしで、皮まで食べられる、すっきり味の「シャインマスカット」より、
皮は食べられないが、口に含んだときの、甘さと香りが格別の「ピオーネ」の方が好みなのである。

鬼に笑われるかもしれないが、来年また同じことがあるかもしれないと思えば、
嫁にはけっして言えないが、息子にだけは、私たち夫婦の好みを伝えておいた方が良いと思う。
しかし・・・　そのタイミングが、ちょっと悩ましいのだ。

早ければ早いで、息子のことだから、さらりと聞き流して、直ぐに忘れてしまうだろうし、
遅ければ遅いで、催促するみたいで、図々しく思われるのも嫌らしい。
どうでも良いことなんで、深く拘る必要はないと思うが・・・　なぜだか気にかかる。


粒が大きくて、種がなく皮まで食べられるシャインマスカット・・・　美味しくいただきました。