時のつれづれ(北多摩の爺さん)

下り坂を歩き始めたら
上り坂では見えなかったものが見えてきた。
焦らず、慌てず、少し我儘に人生は後半戦が面白い。

青大将(田中邦衛さん)逝く。

2021年04月06日 | 時のつれづれ・卯月 

多摩爺の「時つれづれ(卯月の14)」
青大将(田中邦衛さん)逝く。

先月2日、父を亡くしてから、当たり前のことなんだが
「人って、やっぱり死ぬんだ。」と
いうことを、何気に思うことが・・・ 多くなってきた。
覚悟していたこととはいえ、私も年金生活の高齢者であり、
心のどこかに・・・ 冷たい風が吹き始めているのかもしれない。

そんな折、また一人・・・ 個性的な昭和の名優が、逝ってしまった。
若大将シリーズで、加山雄三さん演じる若大将のライバル役だった青大将こと田中邦衛さん
ワイドショーでは、代表作ともいえる「北の国から」での名演技が連日取り上げられ、
その功績が偲ばれている。

「北の国から」を全く見てなかったわけじゃないが、
当時の私は若く、バリバリの企業戦士で帰宅が遅く疲れ切っており、
2時間ドラマを集中してみることは、ホントに稀で、断片的にしか見た記憶がなく、
大変申し訳ないが・・・ 田中邦衛さんと云えば、
どうしても学生時代に、映画館のスクリーンに出ていた、若大将のライバル青大将になってしまう。

「北の国から」の脚本を書かれた方が、面白いことを言っておられた。
主演には田中邦衛さんを含め高倉健さん、藤竜也さん、中村雅俊さんなどの名前があったなか、
情けない俳優を起用したいとの拘りがあり、誰が一番情けないかと回りに聞くと、
満場一致で、田中邦衛さんということになったと・・・ エピソードを語っておられた。
もちろん、情けなさは悪口ではないと、しっかりフォローもされている。

カッコ良くて、マスクが良い、二枚目の俳優が主演を演じるなか、
どことなくドンくさくて、泥臭くて、不思議と憎めない・・・ コメディアンではない俳優が、
威厳を発揮しつつも、情けなさと、だらしなさを恥ずかしげもなく晒しだし、
ただ頑張るだけの矛盾を演じ、涙と笑いのなかで、心に残る言葉をボソッ呟く場面が、
昭和という時代の、ドラマや映画の見せ場だった。

個人的な思いで恐縮だが、頼りなさを演じたら、渥美清さんの右に出る俳優はいなかったと思うが、
一方で、情けなさを演じたら、田中邦衛さんの右に出る俳優はいなかったと思っている。
そして、いま・・・ その両方を兼ね備えて、二人の後を継ぐ俳優と云えば、西田敏行さんだろう。

いまの時代に、88歳で老衰と云われても、ピンとこないが、
痛い思いをされず、家族に看取られて逝かれたことは、きっと幸せな人生だったのだろうと思う。
残念だが、青大将こと・・・ 田中邦衛さんの、ご冥福をお祈りしたい。

追伸
田中邦衛さんの訃報に続き、「おしん」や「渡る世間は鬼ばかり」で人気を博した
橋田壽賀子も亡くなられたそうだ。
こういった負の連鎖だけは続いてほしくないが・・・ 昭和がだんだん遠くなっていく。
ご冥福をお祈りしたい。

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2 コメント

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Unknown (kaminaribiko2)
2021-04-06 12:14:41
でも、その情けない代表のような俳優さんが実は一番頭がよかったりもしますよね。人は見かけじゃないということでしょうか?
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Unknown (多摩爺)
2021-04-06 16:29:03
kaminaribiko2さん
コメントを頂戴しありがとうございました。

仰るとおりですね。
人は見かけじゃありませんね。
自分の居場所や、立ち位置を見極めつつ、役柄に徹することができる、頭の良い俳優さんだったと思います。
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