自分を守る

勤務先は精神科・心療内科を標榜とするクリニック。

カルテの情報をレセコンに入力しながら、患者情報に目を通す。
実に色んな患者さんがいらっしゃる。
受診に至るまでの経緯…


23年前、1人暮らしを始めなければ…
保育士を辞めなければ…
去年の9月、夫から離れなければ…
今年の2月、転職をしなければ…
私はこの世に存在していないか、精神科の患者になっていただろう。


母や夫に対する罪悪感と、いつも逃げてばかりいるんじゃないか？という思いをずっと抱いている。
先日、ある患者さんのカルテを見て驚愕した。
そして、私は自分を守っただけ…と胸をなでおろした。





私は、ギリギリのところで自分の身を守った。
罪悪感を感じる必要はない。


患者さんのカルテに目を通しながら、自分を守った私を褒めてあげたい…と感じた。



多くの患者さんは実に頑張り屋さん。
精神科に通って、薬を服用してまで、現状を維持している。
私は服薬を避けて、現状を打破した。



どちらがいいとは言えない。
誰にも分からない。


けど、少なくとも私は、環境を変えたことで、本来の私を生きている感じがする。

笑うことも忘れ、無表情で機械的に話し、毎夜、倦怠感と蕁麻疹に苛まれるような生活からは解放された。


何もかも捨てて、我が身を必死で守っただけ。
罪悪感を感じる必要はない。


患者さんのカルテが、私にそれを教えてくれた。


患者さんの笑顔と平穏な生活が取り戻せるように…と願いながら、入力し処方箋を出す。



人は少しの勇気があれば、変わることはできる。