べんきょうなせん(='ω')

べんきょうは論理で考えるトレーニング
熊本県山鹿市中高大学受験の "あすく" です

おすすめまんが~乙嫁語り

2016年07月24日 | 社会
国名の最後につくスタンは国や地方を意味します。おなじペルシア語由来(ゆらい)のことばです

19世紀、明治初めごろのお話。カスピ海周辺の中央アジア、乾燥帯でイスラム文化圏、トルコの支配下の土地。嫁入りしたばかりの遊牧民アミルさんとその嫁入り先家族を中心に、各部族のお嫁さんたちの日々

平均寿命が40歳代ですから、二十歳のアミルさん(1巻)でも遅い結婚です。十代前半の双子ちゃんたち(4巻-5巻)も結婚を機に子どもを卒業していきますし、十代後半のパリヤさん(8巻)は花嫁修業に焦ってます。ばーちゃん達もいい味してる。生涯が短いぶん皆一生懸命に生きている

悲壮感はありません。なかなか楽しいですよ。オススメ。作者の森薫さん、中央アジア文化である刺繍(ししゅう)を始め描写が丁寧です。何度も読めます。姪っ子ちゃんにプレゼント。気に入ってくれるといいな


まんがは街の人たちを中心に話が進みますが、背景に南下して来るロシアの影もあり不穏な空気があります。以下、まんがには描かれない時代背景をまとめてみました


昔話の王様とその一族。王様、大名、豪族、族長、酋長(しゅうちょう)…現代ではほぼ政治の中心にはいませんよね。彼らは消えていなくなったわけではありません。でも政治の主役じゃない。いったいいつ、その座を渡したのでしょうか?


1853年:ベリー来航(一夜ごみだらけペリー来航)

江戸時代の末、日本は各藩ごとに近代化が進みます。大名家一族ごとにまとまる地方分権でしたから。続く明治政府も殖産(しょくさん)と徴兵令(ちょうへいれい)に文明開化と近代化を引き継ぎます。現代の多くの国がそうであるように、一族や個人から離れた中央集権国家のはじまりです


1854年:クリミア戦争

中東地域はヨーロッパやロシアとアジアやアフリカが接するため、交易が盛んでと紛争も多発します。看護医療の近代化にクリミア戦争でも活躍したナイチンゲールを聞いたことあるかもしれません。イギリス+フランス+トルコ(オスマン帝国)の連合軍と、ロシア軍との戦いです。戦争に敗北し近代化の遅れを痛感したロシアは、農奴(のうど)解放令など押し進めます


近代化とは、国内の部族間や地域の争いから、中央政権へチカラを集約していく流れです。国家間のより大きな競争に勝利するために巨大なチカラが必要になったためです。明治ごろの大国はそれぞれ、近世の産業と輸送や軍事を土台に、産業革命による機械化と近代化を進めます。この近代化が、現代のわたしたちの暮らしに直接つながっていくのです

徴税請負の廃止や徴兵制改革、司法改革、臣民の生命と財産の保障…法の支配とそれを支える国家としての仕組みが整えられます。日本の明治維新も同様です

個人のチカラに頼る政治はその個人の年齢や状況により大きくムラが出ます。上手くいくときといかないときの差が極端です。また個人が間違ったことをやり始めても辞めさせる仕組みがありません。近代化とともに、王様個人の思惑優先でやり直しのきかない仕組みは排除されていきました

個人的英雄の活躍は失われます。そのぶん拡大した富や権利それに義務とが、わたしたち国民へ広く移されていったのです(藤田)


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