この日は快晴。
前から予約を入れてもらっていた、day tourに参加。
バスは来たのか?乗り遅れたのか?分からないけど、途中から駆け込み参加。
悲しい歴史を映し出している写真が沢山。
日本人が占領していた名残は、写真に、心に。
壊された日本建築物も多いけれど、未だなお残された日本家屋もある。
笑顔で肝っ玉サービス精神旺盛、オープンマインドのガイドさん。
ソウルから旅行好きの老夫婦。
そして日本人の私たち。
たった5人。
人数が少なくても、ツアーはいつも大型バスで移動らしい。
最初の歴史民族資料館や儒達山(ユダルサン)で、ソウルからの初老の男は、
時折、片言の日本語を口にしていた。
特に、私たちに話し掛ける様子は無くて、ガイドの女性に説明していた。
「カッパウィ」は自然風化でできた岩。
この辺りには、奇岩が多い。
今にでも落ちてきそうな岩が、山肌に乗っかっている。
そんな風景を見ていると、武雄の蓬莱山のテッペンを思い出す。
乗り込むバスの中、初老の男が、声低く問い掛けた。
『これもご縁だ、昼ご飯はみんなでどうか。私がおごる。』と。
ガイドが木浦イチオシの太刀魚料理店を紹介した。
ガイドは普段、客の昼食の誘いには乗らないが、この日、彼女は感覚で、
『エー(はい)』と言っては仲間になった
太刀魚料理は見た目は真っ赤。味はそう辛くない。
韓国では、昼でも構わず焼酎をいただく。
初老の男が陽気になる。
酒の苦手な里子さんは、更に赤く。
里子さんの赤く火照った顔を見た奥さんが、サッと自分の杯を差し出した。
そして里子さんの焼酎を入れ替えて、言った。
『娘みたいだから、のんであげる。』
あっという間に、飲み干した。
『カムサハムニダ。』里子さんは、丁寧に答えた。
夫妻は1時間半後、ソウルへ戻る列車に乗り込む。

『旅は五感。』
自分の中に存在する、旅好きな理由の一つ。
初老の男は、当然のように言葉にした。
私が心で思い潜めていることを、
堂々と、陽気に、言葉にした。
『今ここは、君達と、食事をしたり、会話をしたり、口を楽しむ。
1時間後は列車に乗り込み、車窓から景色を眺め、目を楽しむ。』
私はこの初老の男の、
さりげない言葉に、更に敏感になった。
『想い出が沢山ある人は、豊かだと思う。
だからこうして、私は、いつまでも、想い出をつくる。
普段の生活で行き詰まった時、辛い時、苦しい時、
人は蓄えた想い出を思いながら、
元気になり、
勇気を貰い、
笑顔になる。』
この男は、本物の旅人か。
訊いてみたい。
初老さん、
だとすると、
「想い出」は、心を楽しむ。
ということでしょうか。
短くて、深くて、ありがたい時間。
日本家屋を利用した古民家再生のオシャレなカフェには、
雰囲気の良いジャズが流れていた。
向かいの、芋ズルの伸びたガラス窓の席。
若い韓国人女性が、手鏡を片手におしゃべりする姿を見ていると、
どこかへタイムスリップしたかのようだった。
まどろんだ時間。
どこに居ても、
同じだ。
PS.旅の続きはちょっと趣を変えて(仕事モードで!?)、あっちのブログに書こうと思います