goo blog サービス終了のお知らせ 

『農』な生活

北の大地、北海道に北村という小さな村がある。そこに住む農業青年の『農』な生活のぞいてみませんか?

農産物の流通と食の安全について

2006-01-21 00:20:30 | 食の安全
皆さん明けましておめでとうございます。
といってももう一月も20日を過ぎようとしています。
何度か食の安全を取り上げていますが、自分自身の仕事を否定していることになるよな~、などと考えてしまう今日この頃…。(独り言です)

今回は、農産物の流通の今と昔を考えて見ます。
昔々の話です。
戦後、しばらくすると農産物の流通革命が始まりました。
作物を寒い時期は南の産地で作り、暖かくなるにつれて北部や高地で栽培するという産地の移動が行われるようになりました。
(今は当たり前ですが)スーパーは時期を問わず新鮮な野菜を年中一定量仕入れることができるようになったのです。
農村では農作物の多様性が失われ高度に産地化(一種類の作物に依存)されました。
消費者にいたっては年中新鮮な野菜が安く手に入るようになりましたが、旬という考え方が希薄になりました。
商店街の八百屋さんが少なくなり生産者と消費者の距離がどんどん離れていきました。
しかも市場は大量かつ安定的に出荷してくる≪生産者<生産団体≦農協≫を優遇するので農協や行政の営農指導者は虫や病原菌を皆殺しにする効率の良い生産方式を採用しました。
その結果、生産者は虫や病気のつかないキレイな農薬まみれの野菜を作ることに抵抗がなくなりました。(自家野菜は無農薬だったりする…)
消費者も、虫食いの穴があいていないやさいが当たり前だと感じるようになりましたとさ。
めでたしめでたし(…ではないですね。

今でこそ、食の安全とうたわれていますが、市場の関係者に聞いた話では、うちらはキレイな物で安定的に入ってくるものでないと扱えないんだ、いくら安全でも出荷量や品質にムラがあっては持て来ても値段は付かないね。とのこと。
この高度に産地化された農業と大量販売のシステムによる負の連鎖はしばらく続きそうだ。

(余談ですが一応、日本の農薬の安全性は世界トップレベルらしいです。)

喘息!?

2005-12-04 22:33:01 | 食の安全
一週間ほど前から息子の体調が悪く病院へ行ってきました。
最初の診断は「風邪ですね」とのこと。鼻炎と咳の薬をもらって帰りました。
無理やり薬を飲ませること数日間、息子の症状の改善は見られず、次第にゼイゼイと苦しそうにしだしたので再度病院へ、今度は「軽い喘息ですね」とのこと。
う~む生まれて9ヶ月間病気らしい病気もしなかったのでまさか喘息とは…。

原因は不明。(明日評判のいい小児科で調べてもらいます。)

病気のことを調べているうちにちょいと気になる話がありました。
それは、『母親が一番最初生む子供は母親に蓄積した毒素を引き受けて産まれてくる』というものです。

真偽は分りませんが母体の食生活が子供に影響するのは確実でしょう。
戦後数十年たった今、飢えることは無くなりスーパー、コンビにに行けば生鮮食品もあればレトルト食品、インスタント食品、冷凍食品…。色々な形で食べ物があふれています。

これらの食品に必ず付いているのが賞味期限。
売る側からすれば賞味期限が長い=店頭においておける期間が長い=消費者に選んでもらえる機会が増える=廃棄処分する量が減らせるという論理でさまざまな食品添加物が加えられているのだと思います。(従来保存食である漬物までも…)

賞味期限を延ばす以外に着色や発色をよくする、甘味料、香料などなど色々な添加物があります。

息子の病気をきっかけにできるだけ添加物の入っていない食品を買おうと思っても、そんな食品はスーパーには「無い」んです。いくら「我がスーパーはお客様を大切にしています」「安全、安心の食品」とか掲げていても、メインにおいてあるのは便利な物、見た目の良い物です。


「食」という時は「人」を「良」くすると書きます。
「食べ物」は人を良くする物のはずなのが「見た目を良くする為」「賞味期限を延ばす為」に本来の役割を果たさなくなっているのかもしれません。
表向きは、「こんな栄養素が豊富なので体に良い」という情報は前面に出ているけど裏の表示には添加物のデパートみたいな物も数多くあるようです。

見た目がいいのを求めるほうも悪いのかもしれませんが消費者はどうしても前面に出ている情報で判断してしまいます。
それをいいことに都合の良い情報だけを発信しているメーカーに罪は無いのでしょうか?
添加物使用の表示しているから法律上は問題ないといわれれば何もいえませんが、表示には種類は書いていますが、使用量は書いてありません。何をどれだけ、どの期間食べ続けても大丈夫なのかの情報も不足してます。国の表示に対する規制も不十分です。そんな中で食べても安全なものって…。

他の業者をとやかく言う前に、自分も食べ物を扱う者として倫理観をもって仕事をしなくてはいけないですね。

こんなことを書きながらも、まだまだ「安全」より「便利」が優先している今日この頃…。孫の世代を考えて、これぞ「食べ物」というもの使い勝手良く提供できるシステムってできないものかな~。

次回は農産物の流通と食の安全について記事を書いてみようかな。

特別栽培農産物はどんな農産物?

2005-02-07 23:32:22 | 食の安全
U-1さんコメントありがとうございます。
ニュージーランドのネタは村人2にお願いしています。

(あとU-1さんの有機農業にまつわる話を読みたいのですがどこにアクセスしたらいいでしょう?お手数ですが教えてください)

無農薬に関しては極端な話、完全に無菌に管理された水耕栽培であれば可能かもしれません(岩見沢にもその施設があるそうですが…。)
今後消費者は完全無農薬の施設水耕栽培野菜と土を大事に考える有機野菜とどちらを選ぶのでしょうか…。(けっこう大きな分岐点になるかもしれませんね)

さて、話を本線に戻しまして今回は「特別栽培農産物はどんな農産物」をお送りします。
「特別栽培農産物」は無農薬・無化学肥料と減農薬・減化学肥料をまとめたものと説明しました。

これは単純に農薬と化学肥料の使用量によって決まるものと理解していただいて間違いないと思います。
そこで問題なのは無農薬・無化学肥料はわかるけど減農薬・減化学肥料ってどれだけ減らしてるの?
ということだと思います。

特別栽培農産物の定義は、農薬と化学肥料それぞれ以下のように定められています。
 農薬 :《基準》の使用回数の50%以下。
化学肥料:N(窒素),P(リン酸),K(カリ)の肥料の3大要素の内、窒素成分についてのみ《基準》     の50%以下に抑える事(リン酸、カリは基準はないです。窒素過多になると大きくなりま     すが有毒な硝酸イオンが野菜に溜まるので施肥量をコントロールする必要があります)

ここで何を《基準》としてるかというと、ガイドラインには「各地域の慣行的に行われている化学合成農薬及び化学肥料の使用状況」という非常に曖昧な表現を使っています。

農家でない一般の消費者がこのガイドラインを見ると「50%も農薬を減らしているんだな}と思うかもしれません。
しかし日本各地でこの慣行的に使用する農薬の基準はまちまちです。
湿度の高い地域は湿度の低い地域に比べ病気の発生する確立は高くなり農薬散布の回数も多くなります。

例えばレタスのA産地は湿度が高いのでもともと農薬を10使う地域。
同じレタスのB産地は湿度が低くもともと6しか農薬を使わない地域。
そのA産地、B産地両方とも特別栽培農産物に登録するために農薬使用量を50%減らしました。
店頭ではA,B産地のレタスは両方とも特別農産物と表示されていますがA産地は農薬を5使用、B産地は3しか使っていないという矛盾が出てきます。

その矛盾を解決する策としてどの農薬を何回使用したかを表示することを義務付けされていますが使用される農薬にも様々な種類があり毒性の強いものや弱いもの様々あります。毒性の弱いものでも組み合わせによっては強い毒性を示すものもあります。
安全かどうかは使用回数だけでは判断できないのです。

私的に特別栽培農産物は無農薬、無化学肥料も50%削減したものも一律同じ枠にはめるのは無理があるし、消費者に説明すればするほど不信感を抱かせるものだなという感じてしまいます。

ただし慣行栽培の農薬使用量を50%以上削減するという事はけっこう大変だしそれだけの努力が評価されるのであれば十分やる価値はあると思いますが…。(後は消費者に理解してもらうためにどうやってPRしていくか行政、流通業者だけでなく農家自身も考え、消費者に価値の伝わる農産物を作っていくこと大切だと思います。)

次回は我が北海道が進める「YESクリーン」を取り上げてみたいと思います。

特別栽培農産物って?

2005-02-02 21:36:32 | 食の安全
お待たせしました。お約束どおり今日は特別栽培農産物を取り上げます。

ところで特別栽培農産物って聞いたことありますか?
たぶん知らない方のほうが多いのではないでしょうか?
実はこれ今まで「無農薬,無化学肥料,減農薬,減化学肥料栽培」と表示されていたもののことなんです。

私個人的には、消費者にどうやって作ったかがダイレクトに伝わるので「無農薬栽培」「無化学肥料栽培」「減農薬栽培」「減化学肥料栽培」と表示されていたほうが良いと思います。

それではなぜ「特別栽培農産物」という曖昧な名前になったのかというと…
・JAS有機農産物と異なり「無農薬」「無化学肥料」「減農薬」「減化学肥料」と自由に表示できた(法的な縛りが無かった。一部無農薬と表示された野菜から農薬が検出されたことも)
・生育段階では農薬を使用していなくても消毒した種子を用いた場合、無農薬といえないのでは?(重箱の隅を突くような話ですが…) 
                     ↓
という事で「無農薬」「無化学肥料」「減農薬」「減化学肥料」との表示は、「消費者が農薬を含まないと間違ったイメージを抱きやすく、優良誤認を招く恐れがある」とされてしまい「不当景品類及び不当表示防止法」の不当表示に当たるということで「無農薬」「無化学肥料」「減農薬」「減化学肥料」と一切の表示が禁止された(世の中から抹消された)という経緯があり…

農水省が、「消費者へ正しく理解」(決して“わかりやすく”ではないです)されることを目指して定めたのがこの「特別栽培農産物」なのです。
う~ん「特別栽培」って行政が得意な虹色ワードですね。毒にも薬にもならん(笑)

こんな感じですがご理解いただけましたか?

もしJAS有機農産物やISOと同じように第三者機関が無農薬、無化学肥料で作ったとはっきり証明したり品質保障を認証する制度があれば「無農薬」「無化学肥料」「減農薬」「減化学肥料」は生き残っていたかもしれませんね。(いまさら言ってももう遅いか…)

次回は特別栽培農産物はどんな農産物?をお送りします。
乞うご期待!

有機農産物とは何ぞや?2

2005-01-23 00:15:08 | 食の安全
前回は有機農産物は国の規格で、生産者以外の第三者の機関がチェックするというシステムだということをご紹介しました。
今回はJAS有機の認定を受けるための条件を簡単にご紹介します。

◎認定を受けるための条件
・指定されている農薬、肥料を使用する。
 有機栽培と聞いて農薬をまったく使用していないと勘違いされている方もいますが、実は使用して もいい農薬があります。
 基本的に化学的に合成されたものは使用できません。
 無機物(有機ではない物質も植物には必要)に関しては、天然の鉱石等が使用できます。
・他の畑と明確に区別して管理することができる。
 風で使ってはいけない農薬が入る危険性があります。
・最初の収穫前に2~3年指定された農薬・肥料だけ使用していること。
 簡単に言うと認定してくださいとお願いしてから2~3年は有機と表示してはいけませんということ です。
・遺伝子組み換えではないもの。
・選別する際や運んでる途中にほかの農産物が混ざらないようにする。

以上が有機農産物を生産する際の規定です。

私個人の意見としては「有機」という言葉にこだわるがゆえ矛盾している点も否めませんが、第三者認証システムがしっかり確立されており農薬のかかった野菜よりは安全で安心して購入することができるかなとおもいます。

次回は「特別栽培農産物」についてご紹介します。

有機農産物の定義とは何ぞや

2005-01-21 01:27:32 | 食の安全
あるアンケート調査会社によると有機食品について「言葉は知っている」が9割。その中で「詳しい定義まで知っている」はわずかに3%でした。「大体の定義まで知っている」は34%でしたが回答者のコメントも「なんとなく安全なイメージ」で終わってしまっているものが非常に多いです。
けっこうヘビーなテーマなので何回かに分けてみます。

今回は「有機JAS」の成り立ちです。

偉そうに書いていますが私も農家をやる前は有機農産物って農薬・化学肥料を使わないという程度のイメージでした。
実際に平成11年にJAS法(日本農林規格)が改正される前は特に決まり事は無く勝手に「有機農産物」と表示して販売することができたようです。

それではまずいということで農林水産省が生産基準の統一や国際規格との整合性の確保などを目的として法律が改正されました。(ちなみに今村人2が行っているニュージーランドもオーガニック(有機)の農産物を指示する人が増加傾向で市場価格も3~4割高いようです。さらに、日本の厳しい基準と同等性の企画を持つ国はEU15カ国、オーストラリア、アメリカ、スイス(H15年5月現在)です)

「有機」と表示するためには第三者の認定業者の“お墨付き”が必要です。
認定を受けると全国共通の『有機JASマーク』なるものを商品に表示することができます。

今日はこんなところで・・・。
明日は内容について説明できればと思います。

農法なお話し

2005-01-18 00:22:01 | 食の安全
こんにちわ!
村人1です。
最近農業以外の話題が多くてすみません。
(オベリスクの呪いは楽しんでいただけましたでしょうか?)
もうそろそろ農業の話題を提供しようと思い今回から「色々な農法」について調べてみたいと思います。

このテーマを選んだきっかけは北海道の機関が主催する研修会で新篠津村の農家の方の講演を聴いたことです。
この方は有機農業の実践者としてかなり有名な方で昨年の「コープさっぽろ農業賞」の会長賞を受賞されました。

この賞は消費者の立場から応援したい農家を選ぶもので受賞されてとても嬉しそうでした。
(でもこの人生協には一切出荷していないようです。それでも選ばれるってすごいなと感心しました。)

最高賞を受賞された人は無農薬・無化学肥料栽培を長年実践されている方でしたし、他の受賞者の方もクリーン農業を実践されているようです。

やはり消費者に選ばれる農家の条件として、安心安全というキーワードは完全に定着したように思えます。講演の中でも、市場出荷でなく企業と契約するには有機JASの認証(詳しくは次回説明します)を得ることが必要だとおっしゃっていました。

有機JAS以外にも安心安全を訴える農法として無農薬・無化学肥料栽培、○○自然農法、などなど色々なものがあります。
しかしそれぞれがどのような違いがあるのかをわかっているひとはそんなにはいないと思います。
(という私も正確にそれぞれの違いを答えることはできません・・・)

この記事を取り上げることで皆さんも自分自身も勉強になるという一石二鳥の企画!
どうか楽しみにしてみてください。

第一回目はJAS有機農業について取り上げます。