ポルトガルのえんとつブログ

画家の夫と1990年からポルトガルに住み続け、見たり聞いたり感じたことや旅などのエッセイです。

040. セトゥーバルのカルナバル

2018-11-26 | エッセイ

 

カルナバル(カーニバル)が2月26日から始まった。
去年は2月6日から8日までだったから今年はずいぶん遅い。
セトゥーバルだけでなく、全国各地で同じ時期に始まった。リオのカルナバルも今やっている。
去年に比べると開始が20日も遅いのに、ずいぶん寒い日で、空はどんよりとした雲が足早に流れ、
時々のぞく青空も寒風が吹きすさび、真冬に逆戻りしたよう。

カルナバルは午後3時から始まるので、その前にモイタの露天市に出かけたが、前夜の大雨のせいで露天市の道はぬかるみ、出ている店も半分以下で、それも3時前だというのにバタバタと片付けを始めて、どんどん引き上げていく。
私たちは予定の半分も歩いていないので運動不足なのだが、しかたがないので帰ることにした。
モイタの駐車場に植えてある木に蕾がたくさん付いていて、小さくてかわいらしい花が数輪ほころんでいるのを見つけた。
梅の花にそっくりだが、ふた周りほども小さい。
花の写真を撮っていたら、突然カモメの大群が現れ、強風にあおられて騒いでいる。
それからすぐに雨がぽつぽつと降り始め、瞬く間に嵐のようになった。
途中のスーパーで買物ついでに雨宿り。
30分ほどして外に出ると、雨はもう上って空は抜けるような青空が広がっていた。
天気が悪いので行くのは止めようかと思っていたカルナバルだが、やっぱり行ってみることにした。

 

 




会場に着いた時はカルナバルのパレードは最好調。
空は真っ青で、もう雨は降りそうにない。
ルイサ・トディ大通りは公園を真ん中にして一方通行の車通りが両脇にあるのだが、カルナバルの三日間は一部を通行止めにして柵で囲って会場にしている。
観客は2.5ユーロ(約350円)のチケットを買って柵の中に入る。
パレードは長く楕円形につながった両側の道をぐるぐると何回も回る。
周りはたくさんの人々が群がって、知り合いのいるグループが来ると盛んに声援を送っている。
基本的には地区ごとの出し物だが、その他にも何かの運動をしている市民団体も参加しているようだ。
今年は、中国で発生して、アジアで広がり、ヨーロッパでもドイツ、フランス、スペインと迫ってきている鳥のインフルエンザがテーマのグループもいた。

 


「グリッペ・ダス・アヴェスに気をつけよう!」



鳥のインフルエンザはポルトガル語で「グリッペ・ダス・アヴェス」という。
露天市で生きてる鶏や小鳥などを売っていた店は去年から突然姿を消したので、政府の対策の素早さに驚いたものだ。
私は野鳥が好きで、つい先日も野生のフラミンゴがやってくる干潟を発見したり、コウノトリの巣を見に出かけたりして楽しんでいる。
でも最近のニュースではトルコやドイツあたりで野生の白鳥が鳥インフルに感染して大量に死んだという。
そうするとバードウォッチングもしばらく控えないといけない。
「グリッペ・ダス・アヴェスに気をつけよう!」と掲げてパレードしているグループに私も参加しようか…。

パレードに参加しているのは若い人が多いが、家族そろって出ていたり、老人や子供、中には赤ん坊づれもいる。
ものすごい大音響の中でその赤ん坊が二周してきたのを見たが、二周する間ぐっすりと眠りっぱなしだった。
家中で毎日のようにパレードの稽古をしているのだろうか?
それに慣れてしまったのか、さすがに図太い!

 


大音響が子守唄?

2本の道路に囲まれた所は公園で、そこには屋台が数軒出ている。
パンにチョリソを入れてカマドで焼きながら熱々を売っている「パオコンチョリソ屋」
巨大な蚊取り線香のようなものを油で揚げている「ファルチュラス屋」
もうもうと煙を出しながら炭火で栗をやいている「焼き栗屋」
どれも美味しいが、中でも人気があるのが「ファルチュラス」
ふかふかに揚がったものにシナモン入りの砂糖をたっぷりまぶして1ユーロ。
私もつい買ってしまった。
カルナバルのパレードを見ながら食べるファルチュラスは美味い!

 


ファルチュラス屋

 


巨大な渦巻き状にして揚げる


ポルトガルのカルナバルはトーレス・べドラスが有名で毎年ニュースになる。
大西洋に浮かぶ島、マデイラ島のフンシャルでも華々しく行われ、ファドも歌うしサンバも踊る名物知事が今年も先頭に立って踊っていた。
トリノの冬季オリンピックが26日で閉会して、かわりにカルナバルが始まり、全国各地でサンバのリズムが聞こえてくる。

MUZ
(2006/02/27)

 

(この文は2006年3月号『ポルトガルのえんとつ』に載せた文ですが2019年3月末日で、ジオシティーズが閉鎖になり、サイト『ポルトガルのえんとつ』も見られなくなるとの事ですので、このブログに転載しました。)

 

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