約3ヶ月ぶりにポルトガルに戻ってきた。
梅雨に入った日本に比べて、毎日抜けるような青空とさわやかな空気。
町に出るとルイサ・トディ大通り公園は大々的に工事中で、あちこち通行止めばかり。
それでも公園のジャカランダは紫色の花をいっせいに咲かせている。
でも砂埃とショベルカーの騒音に囲まれて、花を愛でるという気分ではない。
いろいろな雑用もどうにか済んだことだし、今からちょっと郊外へ出かけよう。
アレンテージョのモウラに大規模なソーラー発電設備が完成したというし、野の花もまだ咲いているかもしれない。
アルカサール・ド・サルのあたりでは、一面の緑の田んぼが広がっている。
稲の苗が勢い良く育ち、その間をコウノトリが数羽、餌を探して歩きまわる姿が見えた。
この風景は今頃の日本の風景と同じようなもの。
ただ、田んぼで餌を探しているのが白鷺や青鷺なのか、コウノトリかの違いだけ。
日本でもコウノトリのヒナが育っているらしいから、もう数年も経ったら、田んぼでコウノトリが餌を探す風景が見られるかもしれない。
モウラのツーリスモで尋ねたところ、ソーラー発電設備はモウラから26キロ離れた村にあるという。
コルク樫の森の中、オリーヴ畑の側、牛や黒豚が木陰でのんびりしている牧場を横目でみながら、こちらものんびりと田舎の一本道を走る。
たまに姿を現わす対向車をかわす時だけちょっと緊張する。
アマレレージャ村に着いたのは、夕方4時ごろだったが、日差しはますます強く、日なたを歩くと頭が焦げ付きそうな暑さ、さすがにアレンテージョだ。
この強い太陽光線を利用したソーラー発電はアレンテージョ地方にはぴったりのエコシステム。
ソーラー発電設備は村のはずれにあると聞いて、探しに行った。
5分ほど走ると、空き地の向こうに黒っぽい塊というか、群れが見えた。
ソーラーパネルが林立する風景だ。
仰天するほど無数のパネルが立っている。
あいにくそこは後ろ側なので、正面から見える場所を探してまた走った。
空き地のような牧場のような所に地道を見つけて、その道を行くと、突然ソーラーパネル群の正面に出た。
すごい巨大さ!
その巨大な青いパネルが太い軸に取り付けられて立っている。
ずらりと並んだ風景は壮観だ。
まだ一部が取り付け作業をしているらしく、
その作業をしているトラックや労働者がパネルの根元に小さく見える。
工事中のフェンスの間からちょっと失礼して、パネルの根元に立ってみた。
頭では分かっていたが、実際立ってみるとその巨大さに驚く。
青く、そして虹色に輝くパネルがのしかかってきそうだ。
そんな巨大なパネルがずらーっと何百枚も並んでいる。
そのひとつひとつが太陽の動きに合わせて回転するそうだ。
完成すると約8千軒の電力をまかなう発電能力があるらしい。
巨大なソーラーパネルが整然とはてしなく並んでいる
すぐ横に立つとソーラーパネルの巨大さに圧倒される
その後、国境の町ヴァランコスで一泊して、翌日スペインに入ってガソリンを満タンにした。
スペインの方がガソリン1リッターあたり約47円ほど安い。
国境を越えて再びポルトガルに入る。
かっての国境の税関は無残な廃墟になっていて、ポルトガルを示す看板があるだけ。
しばらく走ると遠くに見える畑の色がうっすらと黄色い。
ひょっとして?
またしばらくすると、今度は道沿いの畑が黄色い。
やっぱりひまわりだ!
畑によってはまだ7分咲きだったり、9分咲きだったりで、見ごろはあと一週間後だろうか。
時間によって、進む道の曲がり具合によって、ひまわりの花はいっせいにこちらを向いたり、あちらを向いたり、
全部後ろ向きだったりする。
このセルパ、ベージャあたりはこの時期、ひまわりがいっぱい!
帰りをこの道にして正解だった。
いっせいに太陽を向くひまわり
広大なひまわり畑に出会った
ひまわりはポルトガル語で「ジラソル」という。
意味は「太陽と一緒に回転」と訳せばよいだろうか。
日本語の「ひまわり」はポルトガル語の「ジラソル」とまったく同じ意味だ。
そして今回見学したソーラー発電パネルも、太陽の動きに合わせて回転するらしい。
「ひまわり」と同じ「ジラソル」なのだ!
muz
2008/06/27
©2008,Mutsuko Takemoto
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(この文は2008年7月号『ポルトガルのえんとつ』に載せた文ですが2019年3月末日で、ジオシティーズが閉鎖になり、サイト『ポルトガルのえんとつ』も見られなくなるとの事ですので、このブログに転載しました。)