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シン・エヴァンゲリオン+α(※公式とは無関係)

ここは昔に自分が考えた「シン・エヴァンゲリオン:Ⅱ」の物語を、加筆・修正したものを主に載せています(昔の記事は整理中)。

LAST STAGE「旅立ち」 感想と雑考

2013年06月05日 04時59分51秒 | エヴァンゲリオン 漫画版
 今回は、遂に最終回を迎えたエヴァ漫画版最終話「旅立ち」の、感想と雑考です。
 勿論ネタバレ有りなので、ご注意下さい。


“真っ白な季節の中で”

 冒頭は、降り注ぐ雪によって、一面雪だらけの、どこかの地方都市でした。
 そして、その中を、雪を踏みしめながら歩く人が。

 それは、中学3年生になり、東京の高校に受験しに行こうとする、シンジでした。
 
 そんなシンジに、一本の電話が掛かります。

「はい」
「もしもし」

「うん」
「今、駅に着いた」

「大丈夫だよ、ひとりで」
「心配いらないって」
(この時シンジの顔は、自分をちゃんと見てくれている心配性の叔母に対して、気恥ずかしさと嬉しさの混ざった、年相応の微笑みを浮かべていました。
 そして、どうやらシンジが「人類補完計画」を止めた事によって、世界は修復され、「セカンドインパクト」でズレてしまった地軸も元に戻り、日本には再び四季が訪れる様になった様です)

「うん、わかってる」
「着いたら、また電話するから」

 そして駅に着き、電話を切ったシンジに、声を掛ける人がいました。

「おーい、碇!」
「激励しに来てやったぞォ」

 それは、シンジの友達でした。
 
 その、わざわざ激励しに来てくれた友達に対して、嬉しそうな顔をするシンジ。
(13巻のシンジの過去の回想では、シンジは遊びに誘ってきたクラスメイトを作り笑いで断っており、クラスメイトから、

「ほっとけよ、あんなヤツ」
「ちょっと頭いいからって、すかしやがって」

 と言われていました。
 しかし、今のシンジは激励に来てくれた友達に対して、本当の笑みを浮かべて話しており、他者とちゃんと、自分の感情に素直になって関わっている様です)

「なんだよ」
「照れくさいから、いいって言っただろ」

「そんなこと言うなって」
「受験票ちゃんと持ったか?
 緊張しすぎて腹こわすなよ」

「しかし思い切ったなおまえも。
 東京の高校受験するなんて」
「おばさんよく許してくれたな」

「うん。最初はそんな金はないって反対されたけど」
「だって、この辺ろくな高校ないだろ」

「うるせえッ」
「オレ達はそのろくでもない高校に行くんだよ」

 そんな年相応のやり取りをしながら、シンジは照れながらも笑って、

「冗談だって」
「ほんとは、なるべく早くあの家出たかったんだよ。
 あの学校なら寮があるし」

 と言っていました。
 
 最初は、どういう意味か測り兼ねていましたが、シンジの叔母が、東京へ一人で受験に行くシンジを心配して、電話を掛けている事から、叔父と叔母、そしてその息子との関係は良好の様なので、恐らくは、最後に父として、ゲンドウがシンジに言った、

「生きろ」
「生きて」
「自分の足で地に立って歩け」

 この言葉と、母であるユイの言葉を受けて、優しい叔父と叔母にあまり甘えずに、自立した生活を送ろうという、シンジの意志だと思いました。

「そっか…」
「まあ、がんばれよ。
 おまえは頭いいから大丈夫だろうけど」

「オレ達も大学は東京を受験するつもりだからさ」
「一足先に行って待ってろ」

「うん」

《2番線列車参りまーす
 白線から下がってお持ちください》
 
 そして電車が到着し、シンジは乗り込みながら、笑顔で友達に、

「ありがとう」
「来てくれて嬉しかった」

 そう言いました。
 そして、そんなシンジに友達も笑顔で、

「おう」
「がんばれよッ」

 とシンジに言いました。

 その友達に、お互いの姿が見えなくなるまで、とても嬉しそうな顔で、手を振り続けるシンジ。
 
 その後、シンジは外の景色を見ながら、物思いに耽ります。

“僕には”
“将来なりたいものなんて何もない”

“夢とか希望のことも考えたことがなかった”
“今までなるようになってきたし、これからもずっとそうだろうと思ってた”
“だから”
“何かの事故やなんかで死んでしまっても別にかまわないと思ってた”

“けど” 
“最近思うんだ”
“希望が見えないのは”
“僕が希望を探してないからじゃないかと”

 そして、

「ママ。
 あれなぁに?」

 と、母親に聞く幼い女の子の声によって、シンジは外に立つ、十字の物体を見ます。
 
 それは、形が少し変わった、石化して地球に落ちた量産機でした。

 その娘の質問に対して、母親は、

「あれはね、遺跡」

「いせき?」

「そういせき」

「えらい学者さん達がいろいろ調べているんだけどね」
「わからないんだって」
「いつから建ってるのか」
「誰が何のために建てたのか」

 と言っていました。
 
 しかし、それは紛れも無く、この世界が「サードインパクト」後の世界である事の、確たる証でした。

 そして、シンジは東京に着き、人混みの多さに悪戦苦闘します。

《明城学院前ーー
 明城学院前ーー
 ドア閉まります
 閉まるドアにご注意ください》

「あ…待って、降ります、すいません」
「ふう。
 聞いてないよ、こんなラッシュ」 

 そんなシンジに、ある声が聞こえました。

「いたい、いたい、いたい」
「降りるって言ってるでしょ」
「通してよ」

「大丈夫?」
「君…」
「つかまって」

 そして、シンジはその声の主に手を伸ばし、掴んで引き寄せました。

 それは、アスカでした。
 
 驚いた様な顔を浮かべるシンジ。

「ありがと」
「助かったわ」

「……ってちょっと」
「いつまで手握ってんのよ」

 そんなアスカに対して、シンジは、

「君…」
「前にどっかで会ったこと…、
 ない…?」
 
 と質問します。
 しかし、アスカは、

「キモッ」
「放してよ」

「あんたなんて、これっぽっちも知らないんですけど。
 ひょっとしてあたしがかわいいからナンパしてんの!?」

 と、シンジの事は、どうやら全く憶えていない様でした。
 そしてシンジは、ナンパと勘違いされそうになり、慌てて、

「え…あ…、ちがうよ。
 ぜんぜんそんなつもりじゃ…」

 と、言うと、アスカは、

「あら?
 それはそれでムカつくわね。
 まあいいわ」

 と言いました。

 そして、戸惑ったままのシンジに、

「助かったし、お礼だけは言っとくわ」
「ダンケシェ~~~ン(Danke schon)」

 と言いながら、アスカは明るい笑顔で去って行こうとし、そんなアスカにシンジは、

「あ…、ちょ…」

 と言いましたが、アスカはそのまま、シンジの前から去って行きました。
 そして、そのまま呆然としているシンジに、声を掛ける人がいました。

「すっげぇかわいい子だったなあ」
「気の強そうなトコがまたなんとも…。オレ好み。
 東京にはあんなかわいい子がいるんだなァ」

「な!!」
「え!?」

 それは、ケンスケでした。

「………」
「………」
(シンジの服装を見るケンスケ)

「君もお上りさんだろ?
 受験生?
 ひょっとして明城学院付属受けるの?」

「う…うん。
 そうだけど」

「そうか。
 じゃあライバルだな」
「お互いがんばろう!」

 そう言って、激励を込めて、シンジの背中を叩き、去っていくケンスケ。

(いて…)

 そんなケンスケの言葉に、シンジは笑いながら、

「うん」
「がんばろう」

 と言いました。

“がんばろう”

“自分の歩く道は自分の足で探すんだ”
“道は平坦ではなく曲がりくねっているかもしれない”
“雨に打たれ、風に巻かれ、凍える日もあるかもしれない”
“けれど”
“太陽が、きっと行き先を照らしてくれる”

“僕の未来は”
“無限に広がっている”

 そして、シンジの持っているバックには、ミサトの十字架がありました。

 そしてその十字架が、太陽の光を受けて、輝いていました。

―――END―――


 それでは、全体的な感想と雑考です。

 これで、めでたく最終回を迎えたエヴァ漫画版。
 最終話を読んだ限りでは、シンジは恐らく、前話で父と母に別れを告げた後に目覚めると、ユイが居なくなってから預けられていた、叔父の家に居たのだと思います。
 そしてシンジの様子を見るに、表面的には、ゲンドウに呼ばれて東京に来た以降の事を、覚えていないのだと思われます。

 しかし、魂に確かに刻まれた、ユイやゲンドウ、そしてレイの言葉や想いを胸に、これまでを生きてきており、そして、これからも生きていくのだと思います。

 また、日本の人々は「サードインパクト」が起こる前段階の、初号機と量産機9体のS2機関の共鳴による、周辺への大爆発によって、日本列島ごと消し飛んでいたので、その人々が生き返っている事から、ミサトさんやリツコさん、青葉や日向やマヤ、ヒカリ、そしてそれ以前に死んだトウジや加持さんも、どこかで生きているのではないか、と思いました。
(トウジとヒカリは高校で、シンジと再会しそうです。勿論、アスカとケンスケも。
 それで、アニメの様に先生がミサトさんで、保険の先生がリツコさんなのかもしれません)
 ここらへんは、コミック最終巻だと思われる14巻にその後が掲載されて、ミサトさんや加持さんが少し登場するかもしれない、と思っています。
 何はともあれ、主要人物は生き返り、シンジもまた未来に向かって強く生きていくという事で、結局シンジが父と母に別れを告げた後に、何がどうなったのかは分からないのですが、そういう謎は抜きに、この結末は素直に嬉しかったです。

 そして、これからの人生を、強い想いで歩んでいくであろうシンジに、幸せな未来を。
 
 そう思いました。


 今回の感想と雑考はここまでです。
 最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
 これが参考になれば、嬉しい限りです。
 
 それでは、また。
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Unknown (通りすがり)
2013-06-05 15:06:00
トウジではなくケンスケですよ?
返信する
通りすがりの人へ (kento)
2013-06-05 17:22:05
まずは、コメントありがとうございます。

そして、初めまして。

誤字の指摘誠にありがとうございました。
すぐに直したので、もう大丈夫だと思います。
教えて戴きありがとうございました!!!
返信する
Unknown (シンジン)
2013-06-05 20:40:48
ヤングエースを買う前にネタばれ画像を少し見てしまい頭がおかしくなってしまいました(笑) 言葉で表すには難しい最終回でしたがとてもいいラストだったと僕も思います。                                                                                              ちなみに最終回の画像を見た時に仮面ライダー龍騎という作品で一度だけ流れたINORIという曲の歌詞が頭に浮かびました。最終回のシンジへの旅立ちを歌っている感じなのでニコニコ動画にupされているので時間があれば聞いてみて下さい!!!!!
返信する
ループについて (みおこ)
2013-06-06 12:43:54
はじめまして。ざっとブログ拝見しました。
質問ですが、ループは公式で否定されているのになぜループとおっしゃるのでしょうか?よろしくお願いします。
返信する
シンジンさんへ (kento)
2013-06-07 07:23:56
まずは、コメントありがとうございます。

はい。賛否両論ありそうなラストかもしれませんが、少なくとも自分もとてもいいラストだと思いました。

それと、勧めてくれた「INORI」という曲なのですが、
”inori/164 feat.GUMI”
というタイトルであっているでしょうか?
「INORI」で検索した所、いろいろ出てきたので、これであっているのか自信がなくて。なのでこの返信コメントに気が付いたら、詳しく教えて戴ければ幸いです。

それでは、また。
返信する
みおこさんへ (kento)
2013-06-07 08:44:57
まずは、コメントありがとうございます。

そして、初めまして。

ええと、まずは少し勘違いさせてしまってみたいですが、自分の考えは正確にはループではないんです。

“ TVシリーズからのエヴァファンが噂する「ループ説」。オフィシャルな発表がないので、人によって解釈は違うのだが、要するにエヴァンゲリオンの世界が何度か反復して繰り返されているのではないかという説である。新劇場版は旧作をリビルド(再構築)したものなのだが、エヴァの世界の中で同じことが繰り返されていると推測しているファンが多くいる。つまり、新劇場版は旧劇場版をリメイクした話ではなく、旧劇場版の続きの話が、新劇場版であるということだ。”

これは、他のブログにあったループ説の要点が載っていたので、載させてもらったものです。
自分が言っていたのは厳密には繰り返しではなく、単に旧劇の続きが新劇(パラレルやループでもなく、ふつうに旧劇から数億年後の世界が新劇ではないか、と)だという可能性が一番高いのではないか、という事が言いたかったんです。

要するに、エヴァの世界の時間経過は自分達が生きている現実世界と同様の流れではないか、と。

そして、なぜ公式で否定されている(?)のに自分はこの説を推すのか、というのは実は自分は最近まで、公式でこの説が既に否定されていた、という事を知らなかったんです。

自分は、エヴァの本格的な考察(?)を始めたのが2012年の年末からで、考察の仕方もほかの人の考察を読まず、「序」、「破」、「Q」の本編だけをじっと見て自分なりに感じたこと、こういう意図があってこういう物語になったのではないか、という感じで書いたので。

というのも、勉強でもそうですが、基本的に難しい問題はまず自分の頭でじっくり考えてから、答え(ここでは考察)を見ないと自分の意見が不確かなままでは、ほかの人の意見に引っ張られてしまうので(少なくとも、自分はそういうタイプなので)。

なので、ほとんどの考察はそうやって書いたもので、そうやって自分なりに新劇をじっと見てみると、旧劇からの続きの可能性が一番高い、と思いました。

だから、この説を推していました。

その後、自分なりに新劇の考察をひととおりやった後に、少しずつ他の人の考察などを見たので。

そこで、公式で否定されていた(?)という意見を聞いたので。
ただ、もしかしたら自分の説は公式で否定はされてないのかもしれない、と思いました。

長くなりましたが、要するに自分が新劇が旧劇の続きなのではないか、というのは、自分なりに新劇を見て、考察した結果、その可能性が最も高いと思ったからです。

とりあえずは、こんな所で。

長文になりすみません(汗)。

それでは、また。
返信する
説明不足ですいませんでした。 (シンジン)
2013-06-07 15:50:08
Googleかニコニコ動画で(仮面ライダー龍騎 INORI)と検索すると出てくるので試してみて下さい。ちなみにkentoさんが教えてくれたINORIもなんやかんやいい歌でした(笑)
返信する
終わりと始まり (きょうこさん)
2013-06-07 23:48:02
こんばんはkentoさん。お久しぶりです。

私は、旧劇からの古株にも関わらず、漫画版エヴァはあまり読まずここまで来た人間なのですが(爆)、
その立場で言わせて頂くと、シンプルに「いい終わりだな」と思いました。
それも、ただ結末を迎えたというのではなく、シンジたち登場人物のその後・未来が明るいものになることがはっきり想像できる、「新たな始まり」につながる終わりなのだと思いました。

できたら、新劇場版の「シン・エヴァンゲリオン」も、シンジたちの未来・その後が明るくなることを想像できる結末であって欲しいです。
そうなることを信じていますが。
返信する
Unknown (チアキ)
2013-06-08 22:41:32
どうもkenntoさん。
コメント遅くなりましたm(_ _)m

まだ最終回は呼んでいないのですが、この記事を読んでだいたいの話は理解できました。
率直な感想としては、「シンジも受験する歳になったのか~」と若干おかしなことに・・・w
個人的には、この最終回はサードインパクトが起こった数億年後の世界で、シンジやその他のキャラクター達は、僕らが知るシンジたちとは別人なのだろう、と解釈しました。
なので正直、「ふーん・・・?」といった具合で、皆さんほどこみあげてくるものはないのですが、別人とはいえ、シンジであり、アスカであることには変わりないので、よかったなぁとは思いますw

“僕には~”のところは第一話と同じ文言ですが、一話では、“何かの事故やなんかで死んでしまっても別にかまわないと思ってた”で途切れています。
最終話でその続きを知ることができて、シンジの「負のスパイラルからの脱却」、つまり変化、成長が確認できた気がします。
「わざわざ東京の高校を受験するってことは、何か目標が見つかったのね。良かったじゃん」と思ったのですが、
「なるべく早くあの家を出たかった」ってオイw
やはりまだ発展途上なんだな、と思いました。

「LAST STAGE」ではありますが、シンジは新たなステージへ。シンジが変わることによって、周囲の人たちも新たなステージへと旅立てるのではないか・・・そんな気がしました。
返信する
シンジンさんへ (kento)
2013-06-10 10:32:26
まずは、コメントありがとうございます。

一応ニコニコ動画のタイトルは
”仮面ライダー龍騎 最終回エンディングテーマ INORI”
であっていますか?

この曲の最後に流れた
”未来でみんなが傷つかないで済むように、いつでも祈っている”
という部分が印象に残りました。
自分は仮面ライダー龍騎を見たことがないので、どういうふうな終わりだったのかは分かりませんが、この曲を聞く限り良い終わりだったのだと感じました。
紹介していただきありがとうございました。

それでは、また。
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