20代後半は時間があったからか、ずいぶんと本を読みました。
でも最近はビジネス書が多くなり、小説等を読む機会はめっきり減っています。
ただ見渡すと自分の周りには大変な読書家(年に100冊とか(汗))が多く、そんなメンバーといると『また読んでみようかな
』なんて思えてきます。
でも大変残念な話ですが、年齢を重ねるとともに感動することに鈍感になって来ているようです。
この春、私が大学生の時に何度も読み返した【ノルウェイの森】が映画化されました。
俗に言うハルキストほどではありませんが、たいていの村上春樹氏の本を読んだ私としては
まさに15年ぶりくらいに映画館に行きたくなり(初めて嫁さんを誘って二人で)見に行った映画です(笑)。
でも、当時感じた切なさとか悲しさなどは感じられず、ただ単に退屈で眠たい2時間でした。
映画の内容云々もあるかも知れませんが、20代の頃と体力だけでなく心の琴線センサーが鈍くなって来ているんだと、落ち込んでいました。
そんな中で、上司から勧められた本を読みました。

タイトル:永遠のゼロ
作者:百田尚樹
2006年頃に発表された小説ですが、2009年に表彰されているようなベストセラーとなっていますので、ご存知・既読の方もいると思います。
600ページくらいあり分厚い本ですが、一気に読めます。(私も正味6時間で読みました)
あらすじは、主人公(26歳)のおばあさんが亡くなった時に、実のおじいさんが実はゼロ戦パイロットで特攻で亡くなっていた事を知り、フリーライターの姉が仕事で特攻隊について本を出したいということで、とそのおじいさんがどんな人だったかをインタビュー形式で聞いていき、色々な方面からその人物像を知って行くと言う内容です。
【自分の命を大事にする臆病者】
【誰よりも優れたパイロット】
見る人によって色々な評価が分かれる人物像に、そしてその設定とリアリティ溢れる展開に引き込まれまくります。
【娘に会うまでは死ねない。妻との約束を守るために】
主人公のおじいさんの宮部久蔵氏の言葉です。
(世界が帝国主義の時代、そして日本全体が貧しい中戦争に赴いた男たちの感覚を、
今の平成の時代に生きる私が語るのは無粋の極みなので割愛します)
ゼロ戦のエースパイロット級のキャリアを持ちつつも、
トレーニングを欠かさない
臆病すぎるほどの警戒心
無茶なドッグファイトを避ける
特攻への打診には断固拒否
そう、生きて帰るために。
当然ながら、ことある毎にこの態度について上官達に激怒されますが、彼はまったくブレません。
でも、結局彼は終戦間際に絶対に生きて帰れない特攻を志願してそして亡くなりました。
生きて帰ることが出来る可能性があったのにもかかわらず彼はそれを選びませんでした。
宮部少尉は私を睨みつけように言いました。
『一機も守れなかった』
宮部さんは悲痛な声で言いました。
『ただの一機も守れなかった!』
「仕方がないと思います」
『仕方がないだと!』
宮部少尉は怒鳴りました。
『何人死んだと思っている!直掩機(ちょくえんき)は特攻機を守るのが役目だ。たとえ自分が堕とされてもだ。しかし俺は彼らを見殺しにした』
宮部少尉は膝を抱え、頭を垂れました。その肩は小さく震えていました。
私はかける言葉を失いました。宮部少尉の中に自分を責める心と暗い絶望があるのを感じました。
『俺の命は彼らの犠牲の上にある』
「お言葉ですがそれは違うと思います」
『違わない。彼らが死ぬことで、俺は生き延びている』
その言葉を聞いたとき、宮部少尉の心がどれほど苛(さいな)まれているかを知りました。あの人は優しすぎたのです。
※引用-P522
宮部氏の戦闘機乗りとしてのプロフェッショナルな部分ときわめて当たり前な人間的な部分の葛藤の中で
最後の決断をした様な気がします。
圧倒的に不利な状況の中で必ず死ぬ作戦の特攻に向かうとき、
【無駄死にではないのか?】と言う究極の疑問・自問の中で、
恋人の為、家族の為、ふる里の為、そしてこの国を護るための大義を作り、その日を迎えたのだと思っています。
この宮部氏も現状にヤケを起こした訳ではなく、家族の為だけでなく、この国を護る為に
【飛びっきりの特攻】を成功させてやろうと思い出の二一型ゼロ戦と共に仕掛けたんだと思います。
その後、残された奥さんと娘さんは、宮部氏を戦時中にかかわった人たちと奇妙な縁で助けられながら
主人公や姉らの世代へと繋がります。
戦時中は日本人全員が国を護るために命を顧みず戦い、
その犠牲があったからこそ、白人の植民地化を逃れる事ができ、
生き残ったものは、今の日本の豊かさを築き上げた。
私は今近代における大先輩達の功績をもっと知るべきであり、学ぶべきであると痛感しています。
なぜなら現代の日本と言う国がいかに先輩達の犠牲・努力の上に成り立っているかが分かるからです。
作中ではさらに軍上層部の極めて官僚的な作戦が優秀なパイロット・兵士達を犠牲にし、
これは現代に通じることなのではと指摘しています。
大先輩達の歴史を学び、今の平和な日本に感謝するとともに
主権を有する国民の一人としてよりよい国となるように、
何よりもまずは、自分自身がより勤勉で善良な市民になろうと強く思います。
あくまでも小説ではありますが、
受験勉強では学習し得なかったリアルな歴史がそこにありました。
日本人である事を誇りに思える1冊です。
でも最近はビジネス書が多くなり、小説等を読む機会はめっきり減っています。
ただ見渡すと自分の周りには大変な読書家(年に100冊とか(汗))が多く、そんなメンバーといると『また読んでみようかな

でも大変残念な話ですが、年齢を重ねるとともに感動することに鈍感になって来ているようです。
この春、私が大学生の時に何度も読み返した【ノルウェイの森】が映画化されました。
俗に言うハルキストほどではありませんが、たいていの村上春樹氏の本を読んだ私としては
まさに15年ぶりくらいに映画館に行きたくなり(初めて嫁さんを誘って二人で)見に行った映画です(笑)。
でも、当時感じた切なさとか悲しさなどは感じられず、ただ単に退屈で眠たい2時間でした。
映画の内容云々もあるかも知れませんが、20代の頃と体力だけでなく心の琴線センサーが鈍くなって来ているんだと、落ち込んでいました。
そんな中で、上司から勧められた本を読みました。

タイトル:永遠のゼロ
作者:百田尚樹
2006年頃に発表された小説ですが、2009年に表彰されているようなベストセラーとなっていますので、ご存知・既読の方もいると思います。
600ページくらいあり分厚い本ですが、一気に読めます。(私も正味6時間で読みました)
あらすじは、主人公(26歳)のおばあさんが亡くなった時に、実のおじいさんが実はゼロ戦パイロットで特攻で亡くなっていた事を知り、フリーライターの姉が仕事で特攻隊について本を出したいということで、とそのおじいさんがどんな人だったかをインタビュー形式で聞いていき、色々な方面からその人物像を知って行くと言う内容です。
【自分の命を大事にする臆病者】
【誰よりも優れたパイロット】
見る人によって色々な評価が分かれる人物像に、そしてその設定とリアリティ溢れる展開に引き込まれまくります。
【娘に会うまでは死ねない。妻との約束を守るために】
主人公のおじいさんの宮部久蔵氏の言葉です。
(世界が帝国主義の時代、そして日本全体が貧しい中戦争に赴いた男たちの感覚を、
今の平成の時代に生きる私が語るのは無粋の極みなので割愛します)
ゼロ戦のエースパイロット級のキャリアを持ちつつも、
トレーニングを欠かさない
臆病すぎるほどの警戒心
無茶なドッグファイトを避ける
特攻への打診には断固拒否
そう、生きて帰るために。
当然ながら、ことある毎にこの態度について上官達に激怒されますが、彼はまったくブレません。
でも、結局彼は終戦間際に絶対に生きて帰れない特攻を志願してそして亡くなりました。
生きて帰ることが出来る可能性があったのにもかかわらず彼はそれを選びませんでした。
宮部少尉は私を睨みつけように言いました。
『一機も守れなかった』
宮部さんは悲痛な声で言いました。
『ただの一機も守れなかった!』
「仕方がないと思います」
『仕方がないだと!』
宮部少尉は怒鳴りました。
『何人死んだと思っている!直掩機(ちょくえんき)は特攻機を守るのが役目だ。たとえ自分が堕とされてもだ。しかし俺は彼らを見殺しにした』
宮部少尉は膝を抱え、頭を垂れました。その肩は小さく震えていました。
私はかける言葉を失いました。宮部少尉の中に自分を責める心と暗い絶望があるのを感じました。
『俺の命は彼らの犠牲の上にある』
「お言葉ですがそれは違うと思います」
『違わない。彼らが死ぬことで、俺は生き延びている』
その言葉を聞いたとき、宮部少尉の心がどれほど苛(さいな)まれているかを知りました。あの人は優しすぎたのです。
※引用-P522
宮部氏の戦闘機乗りとしてのプロフェッショナルな部分ときわめて当たり前な人間的な部分の葛藤の中で
最後の決断をした様な気がします。
圧倒的に不利な状況の中で必ず死ぬ作戦の特攻に向かうとき、
【無駄死にではないのか?】と言う究極の疑問・自問の中で、
恋人の為、家族の為、ふる里の為、そしてこの国を護るための大義を作り、その日を迎えたのだと思っています。
この宮部氏も現状にヤケを起こした訳ではなく、家族の為だけでなく、この国を護る為に
【飛びっきりの特攻】を成功させてやろうと思い出の二一型ゼロ戦と共に仕掛けたんだと思います。
その後、残された奥さんと娘さんは、宮部氏を戦時中にかかわった人たちと奇妙な縁で助けられながら
主人公や姉らの世代へと繋がります。
戦時中は日本人全員が国を護るために命を顧みず戦い、
その犠牲があったからこそ、白人の植民地化を逃れる事ができ、
生き残ったものは、今の日本の豊かさを築き上げた。
私は今近代における大先輩達の功績をもっと知るべきであり、学ぶべきであると痛感しています。
なぜなら現代の日本と言う国がいかに先輩達の犠牲・努力の上に成り立っているかが分かるからです。
作中ではさらに軍上層部の極めて官僚的な作戦が優秀なパイロット・兵士達を犠牲にし、
これは現代に通じることなのではと指摘しています。
大先輩達の歴史を学び、今の平和な日本に感謝するとともに
主権を有する国民の一人としてよりよい国となるように、
何よりもまずは、自分自身がより勤勉で善良な市民になろうと強く思います。
あくまでも小説ではありますが、
受験勉強では学習し得なかったリアルな歴史がそこにありました。
日本人である事を誇りに思える1冊です。