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炎症性腸疾患の道標/高橋涼介[特別編]

潰瘍性大腸炎、クローン病の病態と治療法から最適な献立・一品料理を掲載。

乳製品について

2009-05-20 23:46:19 | 潰瘍性大腸炎・クローン病の人の食事
Q.乳製品は食べてもいいですか。

A.乳製品を制限するわけは、乳糖と秩脂肪の問題があるからです。一般の人でも、乳糖を分解するラクターゼという酵素が少ないと、消化されない乳糖が大量に大腸に入って異常発酵してしまいます。すると、多量のガスや有機酸が生成され、これが腸管を刺激して下痢や腹痛、腹部膨満などを引き起こします。これを「乳糖不耐症」と呼びます。
牛乳には乳糖が多く含まれますが、チ-ズやヨーグルトなどの発酵食品は乳酸菌によって乳糖がある程度分解されています。そのため、乳糖不耐症の人が食べても問題がないことが多いようです。また、発酵した食品はたんぱく疾患もある程度分解されているので、消化吸収に優れています。
もう一つは乳脂肪の問題ですが、乳製品を液体のまま飲むのと、固体で食べるのとでは、消化管を流れる速度が違います。牛乳など液体の場合、乳脂肪が速い速度で消化管の中を流れてしまい、腸を刺激します。ヨーグルトやチーズなどの固体は、消化管をゆっくり流れるので、腸へね刺激が少なくなるといった効果もあります。
乳糖不耐症がない場合は、乳脂肪に注意すれば牛乳を飲んでもかまいません。ちなみに、牛乳のパックに3.5とか4.2などの数字が書いてありますが、これは100ml 中に含まれている乳脂肪量(g)を表わします。牛乳を選ぶとかの参考になります。

※プロバイオティクス、プレバイオティクス
プロバイオティクスとは、腸内細菌に変化を及ぼして、体に有益な作用を発揮させることを目的に経口投与される生菌のこと。発酵乳、乳酸菌飲料。乳酸菌やビフィズス菌入りの補助食品、整腸剤などに多く含まれます。
プレバイオティクスとは非消化性の成文のことで、特定の腸内細菌を活性化させたり、成長を刺激したりする作用があります。食物繊維やオリゴ糖などにその作用があります。

食物繊維について

2009-05-20 23:44:28 | 潰瘍性大腸炎・クローン病の人の食事
Q.潰瘍性大腸炎における食物繊維の考え方を教えてください。

A.潰瘍性大腸炎の場合、短鎖脂肪酸が傷ついた大腸粘膜を徐々に回復させることが明らかになっています。
潰瘍性大腸炎では、腸管に狭窄がある場合を除いては、食物繊維のきびしい制限は必要ないと考えられます。

Q.食物繊維の種類によって働きになにか違いはありますか。

A.食物繊維は、水にとけない不溶性のものと、水にとける水溶性のものとに分かれます。食べ物には、不溶性と水溶性の両方が含まれていて、どちらか一方だけを含むことはありません。しかし、どちらの食物繊維をより多く含むかによって働きは違います。
不溶性食物繊維を摂取すると、消化液や消化管ホルモンの分泌を促進し、腸管の安静を保てなくなります。
また、腸管に狭窄がある場合は、腸管に食べ物が詰まる原因になるので、控えてください。しかし、それ以外の場合はIBDであってもきびしい制限は必要なく、症状が悪化しないならば摂取してもよいと考えられます。
水溶性食物繊維は腸に与える刺激が少なく、便中の水分を吸収してゼリー状にしたり、胆汁酸を吸着したりする働きがあるので、排便回数が多いときや水様便のときは有用です。また、小腸の微絨毛の栄養源となる短鎖脂肪酸を生成するのも、おもに水溶性食物繊維による作用です。
ただし、口側拡張を伴うような狭窄(腸管が狭くなり、その部分から口の方向に腸管が拡張している状態)がある場合や、出血がある場合などは、特に不溶性食物繊維はできるだけ控えましょう。それ以外の場合は、野菜は一日に150~200gに控えたほうがいいと思われます(一般の人の目標摂取量は350g以上)。皮を除く、小さく切る、やわらかく加熱する、裏漉しをするなど調理にくふうして、腸への刺激をさらに減らしましょう。

Q.不溶性食物繊維、水溶性食物繊維は、どのような食品に含まれますか。

A.不溶性食物繊維で代表的なセルロースは、豆類の皮、山菜、きのこ、海藻、ごぼう、れんこん、こんにゃく、しらたき、とうもろこし、もやし、にら、プルーンなどに多く含まれます。不溶性食物繊維は大量にとると下痢や腹部膨満の原因になります。不溶性食物繊維を多く含む食品を安全に食べるには、繊維に逆らって切る、葉先を使う、やわらかく煮る、裏漉しをする、などするといいでしょう。
ただし、海藻でも、やわらかく煮たわかめ、のりの佃煮、おにぎりに巻いた焼きのりにまで神経質になる必要はないでしょう。
水溶性食物繊維には、ペクチン(りんごやバナナ、桃などに含まれる)やアルギン酸ナトリウム(海藻のぬめりの部分に含まれる)、難消化性でんぷん(ごはんなどの糖質に含まれる)、オリゴ糖などがあります。たとえば水様便や排便回数が多いときに、りんごをすりおろしたり煮たりしたものや、バナナ、桃(缶詰めでもよい)などを食べると、便が有形化して下痢を防ぐことができます。

食物繊維について

2009-05-20 02:06:45 | 潰瘍性大腸炎・クローン病の人の食事
Q.低残渣食(食物繊維が少ない食事)にする目的はなんですか。

A.低残渣にする目的も低脂肪にするのと同様に、腸管の安静を保つことにあります。下痢や腹痛などの病状がある活動期(病状が悪化したとき)や再燃時では、腸管を休ませるために低残渣にします。また、腸管に狭窄がある人も、フードブロッケージ(食べ物が腸管に詰まること)を防ぐために、食物繊維の少ない食事が適しています。
ただ、近ごろの研究では、食物繊維には便を健康な状態にし、腸内環境を整えて腸管粘膜の修復をするなど、IBDにとってよい働きもあることが明らかになりました。低残渣がIBDに適切かどうかは、わからなくなってきています。

Q.クローン病における食物繊維の考え方を教えてください。

A.食物繊維を摂取すると腸管の運動が活発になり、下痢や腹痛などを引き起こすことがあります。そのため腸管の安静を維持すべき期間と、腸管に狭窄がある場合は、腸閉塞の危険性を減らすために低残渣食がすすめられてきました。
症状が悪化したときは、静脈栄養法や成文栄養剤を使った経腸栄養法を行ないますが、こうした低残渣食の状態が長く続くと、小腸の粘膜表面の微絨毛が萎縮し、腸管粘膜の透過性が進んで細菌などが体内に侵入することが問題になっています。
低残渣食によるこのような弊害はなぜ起るのでしょうか。それは、食物繊維が小腸の微絨毛や大腸粘膜の栄養源を作っているからです。大腸に到達した食物繊維の一部は、腸内に存在するビィフィズス菌や乳酸菌によって発酵されて短鎖脂肪酸(酪酸や酢酸、プロビオン酸など)を生成します。この短鎖脂肪酸が、小腸の微絨毛や大腸粘膜の上皮細胞の栄養源になっていて、腸管の病変の治療も促されるのです。

※食物繊維とは?
食物繊維というと、ごぼうや海藻などの筋っぽいものを思い浮かべますが、筋っぽくないものにも食物繊維は含まれます。その定義は、「ヒトの消化酵素で消化されない、食品中の難消化性成文の総体」とされています。
炭水化物は、体内でエネルギーとして利用される糖質と、エネルギーとして利用されない食物繊維とに分かれます。炭水化物以外でも、リグニン(豆類、にんじん、大根、ココアなどに含まれる)やキチン(エビやカニの殻の主成分)、キトサン(キチンから得られる)、ごはんなどに含まれる難消化性のでんぷん、オリゴ糖なども、食物繊維として分類されています。

脂質について

2009-05-18 02:08:00 | 潰瘍性大腸炎・クローン病の人の食事
Q.脂質を少なく、おいしく調理するにはどうしたらいいですか。

A.低脂肪にするには和風献立がいいのですが、毎食では飽きてしまうでしょう。そこで、和風のうま味を洋風や中国風の料理に生かすくふうをしましょう。
たとえば、洋風料理の隠し味にみそやしょうゆを使えば、油の使用量を少なくしても素材のうま味が引き立ち、味にこくが出ます。また、トマトの加工品やきのこ、玉ねぎなどは素材そのものにうま味があるので、シチューなどの具にすれば、油を減らしてもおいしくでき上がります。
油の使用量を減らしたり低脂肪の食品を選んだりすると、食感がパサつくことがあります。その場合、下ごしらえのときに小麦粉やかたくり粉をほかの調味料といっしょにもみ込んだり、煮汁やいため物に水どきかたくり粉でとろみをつけたりすると、材料に味がからまって味わい深くなり、しっとりした口当たりになっておいしく食べられます。
バターやごま油、オリーブ油などには特有の香りがあり、仕上げに少量を加えると香りが引き立ちます。
フライが食べたくなったら、パン粉を少量の油でいためてから、オーブンやオーブントースターで焼いた「フライ風」にするという方法もあります。
いため物のときは、材料を下ゆでしたり、電子レンジで過熱したりしてらいためると、少量の油でもおいしくでき上がります。
また蒸し物は、油を使わない調理法の一つです。
油の使用量を減らすために、調理器具も選びましょう。フライパンはフッ素樹脂加工のものをおすすめします。また、材料の大きさや量に合わせた容量の調理器具を使うと油が効率よく使えます。オーブンやオーブントースター、グリルなども、低脂肪の調理には心強い味方です。

脂質について

2009-05-14 20:47:41 | 潰瘍性大腸炎・クローン病の人の食事
Q.脂質を多く含む食品には、どのようなものがありますか。

A.肉では、たとえば鶏肉の皮はほとんどが脂質です。皮をとり除くと、鶏肉100gで約10gの脂質を減らすことができます。肉の部位によっても脂質の含有量は違います。牛肉や豚肉の場合、もも肉やヒレ肉は脂質が少ない部位で、バラ肉やロース肉は脂質が多い部位です。
魚介類では、ウナギ、ブリ、サバ、サンマなどは脂質(魚の油)が多い代表的なものです。魚の油は炎症をおさえる作用が期待されますが、とりすぎるとほかの脂肪と同じように腸管を刺激するので、やはり量には注意が必要です。
乳製品では、生クリームやバターが高脂肪の食品です。またチーズも、クリームチーズのように乳脂肪80%とほとんどバターに近いものもあるので、要注意です。
そのほか、マヨネーズやドレッシングなどの調味料にも油が多く含まれるので注意してください。また、インスタントラーメンやレトルトカーなどの加工食品、ポテトチップスなどのスナック菓子なども控えたい食品です。

Q.魚の油の炎症抑制作用を期待して、EPA、DHAなどのサプリメントをとるのはいいでしょうか。

A.海外の文献では、クローン病の人に対してEPAやDHAを含むサプリメントなどを投与した結果、再燃率を低くおさえることができたという報告があります。しかし、サプリメントは簡単に摂取できるので、過剰に魚の油をとってしまうおそれがあるのが問題です。何gまでが安全で何g以上が危険であるかといったデータはありませんが、魚の油もとりすぎると下痢の原因になるので、やはり気をつけたほうがいいでしょう。
魚を食べる習慣のない国ならともかく、日本は四方を海に囲まれ、海の幸に恵まれた国ですから、サプリメントに頼らずに魚を食べたほうが安心でしょう。