Q.クローン病の外科治療はどのように行なうのですか。
A.クローン病では、外科的な手術によって病変部を完全にとっても、再発しやすいことが知られています。そこで現在では、腸管の切除は必要最小限にとどめています。
Q.どのようなときに手術をするのですか。
A.腸閉塞、大出血、穿孔、腹膜炎などが合併したときには、手術が必要になります。内科治療だけでうまくいかないときや、狭窄や瘻孔などの合併症があるときも、状態に応じて手術を考えます。
また、肛門部に病変がある場合は患者さんの生活の質(QOL)に大きな影響を与えるので、複雑化しないうちに主治医に相談して適切な管理(場合によっては、切開排膿や、痔瘻をゴムなどでしばって徐々に切っていくシートン法など)を行ないます。シートン法で用いるドレーン(ゴム管のこと)の代わりに、特殊な糸で行う方法(クシャラ・スートラ法)などもあります。
Q.そのほかの治療法にはどのようなものがありますか。
A.近年、抗TNF-α抗体[製品名レミケード]が許可されました。
これは、遺伝子工学で作ったTNF-α(腫瘍壊死因子αといわれ、炎症を起こす物質)を中和しる抗体で、ヒトの遺伝子から作った部分が3/4、マウスからの部分が1/4となっており、点滴で用います。クローン病のほか、慢性関節リューマチなどでも使われていて、欧米では、リューマチなどて計20万例の投与が行なわれています。
日本では、従来のクローン病の治療に反応しない症例や瘻孔(痔瘻など)を伴う場合に、抗TNF-α抗体による治療に保険が適用されます。現在は、瘻孔の有無にかかわらず、まず3回投与を行ない、その後は、8週ごとに維持投与を行なうほうがよい、とされています。
活動期の治療効果は60~80%と高く、効果が現われるまでの期間は2週間程度と短いのが特徴です。1回の点滴で8週間ほど効き目が続きます。ただ、この治療が有効であった場合も、薬の効果が切れると再燃することが多いので、維持投与を行なわない場合はなんらかの緩解維持治療(栄養療法や免疫抑制剤を使用した治療)が必要です。
副作用としては、アレルギー反応(特に点滴時)と、感染症(TNF-αは感染防御にも必要な物質なので)がおもなものです。点滴後はかぜなどに特に注意し、体調をくずしたときは早めに主治医の診察を受ける必要があります。また、結核にも注意が必要です。
そのほかに開発中のものとして、完全にヒト型化した抗TNF-α抗体、白血球除去療法や抗IL-6レセプター抗体などがあります。
…おわりに…
潰瘍性大腸炎やクローン病の人は、日常生活をできるだけよい状態に保ちながら病気とうまくちき合う必要があります。そのためには、病状に応じた生活のコントロールや、食事への配慮が重要です。それらがうまくできるようになるば、けっして怖い病気ではありません。
患者さんが自分の病気について学び、病状を理解し、主治医はそるに対しても適切なアドバイスをするという関係になるたら、これらの病気に打ち勝つことができるのではないでしょうか。また、治療は長期にわたる場合が多いので、医師だけではなく栄養士や看護師、あるいはケースワーカー、そしてなによりも、風邪薬や職場、学校の関係者などの理解と協力がたいせつになると思います。
本記事を利用して、よりよい生活を送っていただければと思います。
A.クローン病では、外科的な手術によって病変部を完全にとっても、再発しやすいことが知られています。そこで現在では、腸管の切除は必要最小限にとどめています。
Q.どのようなときに手術をするのですか。
A.腸閉塞、大出血、穿孔、腹膜炎などが合併したときには、手術が必要になります。内科治療だけでうまくいかないときや、狭窄や瘻孔などの合併症があるときも、状態に応じて手術を考えます。
また、肛門部に病変がある場合は患者さんの生活の質(QOL)に大きな影響を与えるので、複雑化しないうちに主治医に相談して適切な管理(場合によっては、切開排膿や、痔瘻をゴムなどでしばって徐々に切っていくシートン法など)を行ないます。シートン法で用いるドレーン(ゴム管のこと)の代わりに、特殊な糸で行う方法(クシャラ・スートラ法)などもあります。
Q.そのほかの治療法にはどのようなものがありますか。
A.近年、抗TNF-α抗体[製品名レミケード]が許可されました。
これは、遺伝子工学で作ったTNF-α(腫瘍壊死因子αといわれ、炎症を起こす物質)を中和しる抗体で、ヒトの遺伝子から作った部分が3/4、マウスからの部分が1/4となっており、点滴で用います。クローン病のほか、慢性関節リューマチなどでも使われていて、欧米では、リューマチなどて計20万例の投与が行なわれています。
日本では、従来のクローン病の治療に反応しない症例や瘻孔(痔瘻など)を伴う場合に、抗TNF-α抗体による治療に保険が適用されます。現在は、瘻孔の有無にかかわらず、まず3回投与を行ない、その後は、8週ごとに維持投与を行なうほうがよい、とされています。
活動期の治療効果は60~80%と高く、効果が現われるまでの期間は2週間程度と短いのが特徴です。1回の点滴で8週間ほど効き目が続きます。ただ、この治療が有効であった場合も、薬の効果が切れると再燃することが多いので、維持投与を行なわない場合はなんらかの緩解維持治療(栄養療法や免疫抑制剤を使用した治療)が必要です。
副作用としては、アレルギー反応(特に点滴時)と、感染症(TNF-αは感染防御にも必要な物質なので)がおもなものです。点滴後はかぜなどに特に注意し、体調をくずしたときは早めに主治医の診察を受ける必要があります。また、結核にも注意が必要です。
そのほかに開発中のものとして、完全にヒト型化した抗TNF-α抗体、白血球除去療法や抗IL-6レセプター抗体などがあります。
…おわりに…
潰瘍性大腸炎やクローン病の人は、日常生活をできるだけよい状態に保ちながら病気とうまくちき合う必要があります。そのためには、病状に応じた生活のコントロールや、食事への配慮が重要です。それらがうまくできるようになるば、けっして怖い病気ではありません。
患者さんが自分の病気について学び、病状を理解し、主治医はそるに対しても適切なアドバイスをするという関係になるたら、これらの病気に打ち勝つことができるのではないでしょうか。また、治療は長期にわたる場合が多いので、医師だけではなく栄養士や看護師、あるいはケースワーカー、そしてなによりも、風邪薬や職場、学校の関係者などの理解と協力がたいせつになると思います。
本記事を利用して、よりよい生活を送っていただければと思います。