その1、その2って書くといつ終わるのかわからないから前編、後編にしてみた。
「素数と無限の話:その1」と「素数と無限の話:その2」で無限がいかに我々から程遠い場所にあるのか、という事を書きました。
今回は、この【無限】という言葉について、詳しく触れていこうと思います。
【無限】とは、読んで字のごとく、「限りが無い」事です。
無限大といえば限り無く大きいこと、無限小といえば限り無く小さいことを指します。
無限という言葉自体は、かなり身近な存在と思います。小学生でも頻繁に使ってると思います。
数学の中で無限が出てくるのは、数IIIが初めてでしょう。数列の極限を扱うときにみたいな感じで、無限大の記号である
が初登場します。
本題に入る前に、無限に関する有名なパラドックスについて話しましょう。
おそらく一番有名なものは「ヒルベルトの無限ホテルのパラドックス」でしょう。
ヒルベルトとは、数学者の名前です。このパラドックスの内容は簡単です。
とあるホテルがあります。外見は何の変哲も無い普通のホテルですが、普通と違うところが一つだけあります。それは、客室が無限個ある事です。
このホテルはとても人気で、長期休暇にもなるとすぐに満室になってしまいます。
ある日、一人の男がこのホテルを訪ねてきました。しかし、生憎本日は満室。ホテルの支配人は男に予約を取って後日また来るように勧めた。
しかし男はどうしても今日、このホテルに泊まりたいと言って聞かない。
そこで困ったホテルの支配人は、宿泊客全員に「お手数ですが、1つ数字の大きい客室に移動してください。」と頼んだ。
1号室の客は2号室に、2号室の客は3号室に、100号室の客は101号室に、n号室の客はn+1号室に・・・という具合で、全ての宿泊客が移動をした。
そしてこの男は、無事このホテルの1号室に泊まる事が出来た。
現実世界では絶対にこのようなホテルは存在しませんので、満室から空室が生まれる事などありませんが、無限という概念を使えばこのような事が起こるのです。
感覚的には絶対に起こらないような事が、理論上起こってしまうパラドックスが数学にはいくつかあります。
それでは本題に入ります。この【無限】が現代の数学者にとっても、いかに抽象的で、捕らえ所の無い概念であるかと言う話をしましょう。
今回は【無限個】について扱います。
高校で習った集合を思い出してください。習ってない人は、「集合=物の集まり」だと思っていれば何ら問題はありません。
集合の中に入っている”物”を要素と言います。
例えば、あるクラスには、40人の生徒がいるとします。すると、クラス←集合、生徒←要素という事が言えます。
ここで、次の命題(ACという名前を付けておきます)
【無限個の(空でない)集合の中から要素を1つずつ取り出して、新しい集合を作る事が出来る】
の真偽について考えて行きましょう。
先ほどの例を使えば、この命題ACは【無限個のクラスの中から、評議委員を1人ずつ選んで、評議会を作る事が出来る】という命題に言い換えられます。
もし取り出すクラスが有限個だったら、これは明らかに正しいです。実際に、どの学校でもこれと同様の事を行っています。
しかし問題は【無限個】という言葉です。これがかなり厄介。
細かい話をすると、有限個のクラスなら、1組、2組、3組のように、順番をつけて取り出す事が出来ます。
しかし、はたして、クラスが無限個あったとすると、有限個の時のように順番をつけることなく、一斉に取り出すことが出来るのでしょうか?
今回の問題は
命題AC
【無限個の(空でない)集合の中から要素を1つずつ取り出して、新しい集合を作る事が出来る】
は正しいか、間違いか
です。
ちょっと抽象過ぎますが、皆さんなりに【無限】というものについて考えてみてください。
ゼノンのパラドックス、バナッハ・タルスキーのパラドックスと、無限に関するパラドックスは多そうですね。
日記(?)、毎回楽しみにしています!
(暗号全く解ける気が…(苦笑))
バナッハ・タルスキーのパラドックスは、まさしく選択公理を仮定すると起こるパラドックスですね!これはもう少し勉強したら、触れたいなと思っています。
楽しみにしていただいてるのであれば、幸いです。これからも頑張って書かせていただきます!
暗号是非挑戦してください!!