すそ洗い 

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2006年5月からの記録
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千葉・酒々井町 バラバラ殺人 弟殺した姉・竹内愛美

2024年03月01日 | ヒトゴロシ


実の弟を殺害して遺体を切断、冷蔵庫に遺体を隠したり、ごみとして捨てたりした千葉県酒々井町(しすいまち)のバラバラ殺人事件。殺人や死体損壊・遺棄などの罪に問われた竹内愛美(えみ)被告(26)に対する千葉地裁の裁判員裁判は、23日に検察側が懲役18年を求刑し、結審した。猟奇的な事件として注目されたが、法廷で被告は「ちっちゃい骨にしようと思った」などと、不可解な言い訳に終始した。

裁判で愛美被告は、弟の諒さん=当時(21)=の死体を損壊・遺棄したことについては概ね認めたものの、殺人罪については争う姿勢を示した。弁護側は、包丁を持つ諒さんが暴行する状況に危険を感じた愛美被告が、諒さんを包丁で刺し死なせてしまったもので、殺意はなかったとして正当防衛を主張していた。





2016年に千葉県酒々井町(しすいまち)で起きた姉弟間の殺人事件 



「翔と連絡が取れない」  そんな連絡を受けて友人たちは2016年9月12日の昼過ぎ、森本翔さん(仮名、当時21)の住む、千葉県酒々井町の一軒家に向かった。 「Twitter(当時)を毎日更新しているのに、更新が途絶えて心配だったことと、彼自身、不幸なことが続いていて、首を吊ろうとしたこともあったので、何かあったんじゃないかと思った」  とのちに語る友人が心配しながら一軒家のインターフォンを押すと、玄関先に出てきたのは翔さんの姉の森本麻里(仮名、当時25)だった。

「翔は今、家にいない」と言われたが、友人は信じなかった。過去にも麻里から「いない」と言われて帰宅したところ、実は翔さんは部屋で寝ていたということがあったからだ。家に入らせてほしいと麻里に告げるも「お腹の病気で玄関を汚したから入れられない」などと断られ、押し問答が続いた。  

そんなタイミングで合流した別の友人が外から翔さん宅のWi-Fiに接続し、翔さんがいつも使っているタブレット端末が自宅Wi-Fiに接続状態のままだということが分かる。職場である特別養護老人ホームへの通勤に使っている車も停められたまま。「いない」という姉の返答に友人たちはますます疑念を抱いた。  

夕方までこう着状態が続いたが、友人は意を決して警察に通報。警察官が中に踏み込んだところ、室内から切断された翔さんの遺体が見つかった。姉の麻里は翌日、死体損壊と死体遺棄容疑で逮捕され、のちに殺人で再逮捕。起訴へと至った。

 遺体発見から約1年半後の2018年2月、姉の麻里に対する裁判員裁判が千葉地裁で開かれた。起訴されていたのは2016年8月31日ごろに翔さんの身体枢要部を刺して殺害したという殺人罪のほか、友人らが家を訪ねてくる日まで、翔さんの遺体を包丁やノコギリなどで切断し、バラバラにした遺体のうち肉片をごみ集積所やバイト先のゴミ箱などに遺棄・骨を冷凍庫に隠匿したという死体損壊・遺棄罪。

さらに翔さんを絶命させたのち、彼のクレジットカードを用いてメルカリで花柄ワンピースなど4点を購入したという電子計算機使用詐欺罪にも問われていた。  

麻里は初公判罪状認否で公訴事実をほぼ認めたが殺人罪についてのみ「殺したという殺意はありません」と殺意を否認し、弁護人も「自らの身体を守るための行為であり正当防衛だった」と主張した。  体操服のような青いジャージにメガネ、ショートヘアの小柄な麻里は法廷でペコペコとお辞儀をしながら証言台の前に移動した。人定質問で職業を問われ「スーパーのレジ打ちです」と答える。彼女は事件当時、弟の翔さんとふたりで一軒家に暮らしていた。ふたりだけで実家を出たわけではなく、ここが元々家族の住む実家だった。きょうだいの生い立ちは複雑だ。

 麻里は1991年4月に、父と母の間に長女として生まれた。下には次女、そして翔さん、三女がいる。2000年から6人で、のちに事件の現場となる酒々井町の家に住み始めたが、2008年ごろに父親が精神疾患により休職し、自宅で療養生活を送るようになった。自殺未遂を図り救急車で搬送されたこともあるという。  

2011年に両親が離婚し、母親が出て行き、ほどなく三女も家を出て母親のもとへ。一軒家には残された4人で住んでいたが、2014年に父親が死亡し、次女も出て行った。

以降、2016年の事件まで、この家に麻里と翔さんとで暮らす。  

両親の離婚当時、父親に経済力はなかったが、きょうだいは4人とも、母親と一緒に家を出ることを拒み、父親との一軒家での暮らしを選んだ。かねてからの母親の虐待行為が少なからず関係していたようだ。

母親は子供たちが小さい時から体罰を加えており、特に翔さんに対しては顕著だったという。生前に翔さんからこれを聞いていた元交際相手は法廷でこう述べた。 「母親のことは『あの人』と呼んでいました。ご飯を作ってくれないとか、掃除機で叩かれたとか、小さい時は頻繁に暴力を受けていたと言っていました」

母親の弟であり、麻里や翔さんから見れば叔父にあたる男性も調書でこう語る。 

「姉は麻里や翔くんなど子供たちに対して、理由はよく分からないがよく怒っていた。次女と翔くんはよく怒られていて毎回ではないが頭を叩かれたりしていた。自分の母からは姉のことを『一番育てるのが大変だった。アイロンで椅子を壊したり、タンスを壊したり、モノに当たって大変だった』と聞いている。  子供達は姉を嫌っていたと思う。離婚した時も自分についてくると姉は思っていたらしいが、実際は誰もついて行かず、父のもとに残った。父親が亡くなっても子供達は姉に連絡することなく、葬儀の手続きを自分たちだけでやった。『たまに電話しても出てもらえない』と言っていた」  学生時代にマイケル・ジャクソンのモノマネをした麻里を「マリケル」と名付けた同級生も、麻里が学校に持ってきていた弁当に強いインパクトを受けたと調書で述べる。

「ふと見ると、種がついたままの野菜を使った何かのおかずが入っていた。『なにそれ』と聞くほど変わったおかずでした。他の時にもたまにお弁当を見ると、いつも、私の母なら作らない、見たこともないものが入っていて、麻里さんは恥ずかしそうに食べていました」

  一方の父親は病気になるまでも、母親によれば「あまり話をせず、育児に全く無関心で、子供の名前を呼ばない、抱かない、話をしない。自分の部屋にこもっていた。運動会にもついてこないし、連れて行っても端っこに立っているだけ」だったという。

4人のきょうだいたちは、そんな両親に育てられた。  特に翔さんに対しての母親の虐待は眼に余るものがあったようだ。

長女の麻里が大学生になった時に両親が離婚し、のちに父親が死んだ。経済力のない父親の代わりに、麻里は大学を辞め、仕事についた。未成年で学生だった翔さんや妹たちにスマホや服などを買い与えていたという。  

麻里の精神鑑定を担当した鑑定人は、彼女を「機能不全家族で育ったサバイバー」だと語っていたが、それは被害者である翔さんも同じだった。  

一軒家に残されたサバイバーのきょうだいに何があったのか。麻里は被告人質問で詳しく尋ねられても「あっ、はっきりとは覚えてないです」「はっきり覚えてないです、すみません」など、とにかく“覚えていない”を連発したが、きょうだいと親しかった関係者たちはさまざまなことを記憶していた。

 かつては仲が良かったというが、事件前は険悪な状態にあったと、ふたりに近い関係者たちは口を揃える。その理由のひとつは“お互いの生活態度”だった。まず麻里は勤務先の同僚に自宅前まで送ってもらった日、こんなことを話していたことがあるという。 

「弟が突然猫を拾って、飼い始めた。部屋に閉じ込めて世話をしない。しっかり世話しなさいって注意したところなんだ」 

 麻里と同じ勤務先だった、彼女の元交際相手も法廷で「だんだん仲が悪くなっていった。『自分のものを勝手に使う』と言っていた。暖房器具とかを勝手に使われると……。

翔くんが部屋でゲームをしていることがあり『うるさい』とか『近所迷惑にならないか』とか心配していた。最後に会った日は『弟が妹の部屋を勝手に使う』とため息をついていた」と明かした。  険悪なふたりは生活スペースも別にしており、翔さんは2階の自室、麻里は1階にいることが多かったという。翔さんに来客があったときも、1階のキッチンで調理したものを2階に持って行き、友人をもてなしていた。

 そんな翔さんも同様に、麻里への不満を周囲に漏らしていた。 「共有スペースやリビングを姉に汚くされるとか、生活費は折半なのに、姉はなかなか払ってくれないとか言ってました」(翔さんの友人の証言) 「部屋を見ると高そうなものを買っていた。金がないと言っていたのに、急に買い物し始めたと」(翔さんの元交際相手の証言)  友人らは、生前の翔さんが「とにかく真面目できっちりして几帳面」であること、また「かなりの綺麗好き。潔癖入ってたので相当だった」と、綺麗好きだったと口を揃えた。翔さんは姉が整理整頓しないところに不満を抱いていたことは分かる。  友人のひとりは「父親が亡くなってから不幸なことが続いていた。飼い猫がいなくなったか死んだかして、交際相手とは別れたり、タイヤが4つパンクしたとかそういうことが立て続けに……」と事件直前の翔さんが精神的にダメージを受けていたとも話す。  そして麻里逮捕時に翔さんの“音ゲー部屋の騒音が事件の原因”などと報道されたことに苦しんでもいた。 「嘘の、事実と異なる報道が多すぎてショックを受けています。夜中に友人を連れ込んで音ゲーしていてうるさかったんじゃないかと報道がありましたが、翔くんの性格的に夜型ではないし、音ゲー部屋の隣は麻里さんの部屋ではない。翔くんが働いてなくて遺産を使い込んでいるという報道もあって、心が痛い」(翔さんの友人の証言より) 

さて当の麻里について、元交際相手はその性格を「子供のまま大人になったような人。明るく元気」だったと述べたが、加えて「複数のことに気を配れず、作業や他のことに注意を向けると、他がおろそかになる。時間にルーズでバイトもギリギリに来ていた。待ち合わせして先に来たことがない。周りから自分がどう見られるかを非常に気にしており、私が彼女を送り迎えすることも、周りがどう思うか気にしていた」とも冷静に分析する。  不思議な一面もあったようだ。翔さんの元交際相手は「自宅に麻里さんから、麻里さんと翔くんの母親になりすまして電話がかかってきたことがある」とも明かした。「おたくの娘さんが入り浸って迷惑なので……と言ってきました。電話を受けた私の母親は『あんたお母さんじゃないでしょ』と反論したみたいです」という。 

そんな麻里はサバイバーとして失われていた人生を取り戻そうとしたのか、元交際相手との交際当時「もう一度高校をやり直したい」と勉強をしていたようだ。さらに「弓道やスケート、ボーリング、バレエ、ピアノ、ドラム、ダーツ、卓球など」計9つの習い事をこなしていた。スーパーの給料で、どのようにやりくりしてそこまでの習い事を続けていたのかと思いきや、「父親の生命保険金」を受け取っていたようだ。そしてまさにこれが、翔さんが抱いていたもうひとつの大きな不満だった。 

父親は自身の生命保険の死亡保険金受取人を長女である麻里としていた。年150万円が10年にわたって支払われることになっており、麻里はこれを複数回受け取っていたが、翔さんは姉が父親の死亡保険金を受け取っていることを聞かされていなかった。知ったのは事件直前。家にあったハガキを見て、察したのだという。複数の友人たちが、翔さんから聞いていた。 「翔の家に行ったとき、ハガキを見せてもらい『姉に150万円振り込まれてる。父の保険金だと思うけど、何も話聞いてないんだけど』と言っていた。前々から翔は、姉に部屋や風呂を汚されるとか言っていたので、自分の案として、姉にその保険金を持たせて、違う住まいを探してもらうのはどうかと言った」(翔さんの友人の証言) 「まず翔は、お父さんの死亡当初、財産をきょうだいで分けると言っていました。だけど、分ける予定だったのに、姉が全部使い込んでるという話をしていました。家賃や光熱費は折半なのに、しばらくお姉さんは払ってなくて、翔が代わりに払って、後から大きな額を返してきたり、部屋を見ると高そうなものを買っていたり。お金がないと言っているのに急に買い物をし始めました。翔はその様子を見て、おかしいと思って確認したら、何度か(麻里の口座に)お金が振り込まれていたそうですが、でもすぐに引き出されて口座に残ってないと言っていました」(翔さんの元交際相手の証言)  翔さんの勤務先上司は「仕事の理解が早く、専門学校卒でも夜勤をなかなか任せられないのに、翔さんは5ヶ月で仕事を覚えた」と、翔さんの働きぶりを高く評価していた。非常勤としての採用から4ヶ月で正社員となり、その後昇給していたという。21歳の若さながら「貯金が趣味」(元交際相手の証言)でもあった。  真面目にコツコツと人生を進めているなか、姉が父親の死亡保険金を密かに受け取っており、しかも折半するはずの生活費も支払わずに散財していれば、怒りが湧くことは想像に難くない。 

だが事件の日、どういった経緯により、きょうだい間で刃物を持ち出す諍いとなったのかは判然としないままだ。麻里が言うには、直前に翔さんの部屋に行き、母親の話をしたという。
「少し前に母親が叔父と家に来ましたが、弟が『不法侵入だ』と言ったということがありました。弟が母を毛嫌いするのは当然悪くないと思いますが、叔父はそんなことないのに、母と来ていただけで敵扱いしていたので、叔父はそんなふうではないし、心配してきてくれたのだと説得する形になって……」(麻里の被告人質問での証言)  母親を憎むのは分かるが叔父には敵意を向けるな……と長く説得したところ、激昂して揉み合いになり、一度は逃げたが、包丁を握って弟に向かっていったところ、太ももの辺りに刺さったと思う……と麻里は語った。 「意識して刺したいと思って刺したわけじゃないです。弟の動きが見えて私も動いてしまった感じです」  こうして翔さんを刺したのち、麻里はいつも行く焼肉屋に行き、ひとりで焼肉を食べてから、家に戻って遺体を解体しはじめたという。
 被告人質問では「異世界に急に飛んだような……カーテンっていうか、離れているような、薄い膜のようなものが張られているみたいな……」など、乖離の症状があったというような証言も飛び出し、弁護人も冒頭陳述で「過剰適応や感情の麻痺があった」と述べていたが、麻里は法廷でしきりに泣いており、元交際相手が証人出廷した際には立ち上がって「ごめんね、今までありがとう!」と発言するなど、むしろ感情をあらわにする場面が多く見られた。  肝心な殺害経緯の大部分を「あっ、覚えてないです」と繰り返した麻里だが、元交際相手の言葉を振り返ると、本当に覚えていなかったのか、それとも、殺したと認めたくなかっただけなのか、分からなくなる。 「もし麻里が翔くんを殺していたら、絶対人に言わないと思う。なぜなら麻里は周りの目を非常に気にする。麻里が翔くんを殺したことを知られてしまうのは彼女にとって最悪なことだからです」(麻里の元交際相手の調書)  検察は懲役18年を求刑したが、一審・千葉地裁は殺人罪の成立を認めず傷害致死罪を適用し懲役10年の判決を言い渡した。さらに二審・東京高裁は一審を破棄し「過剰防衛」を認め、懲役7年とした。2019年7月、最高裁でこれが確定している。 




 
 

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